知的で繊細な演技が印象深いジェイク・ギレンホールは元々好きな役者だったが、厳格で骨太な父親役にボーン・アイデンティティーのCIAコンクリン役でも嵌まっていたクリス・クーパー、聡明で開明的な担任教師役にジュラシックパークⅠ~Ⅲでも植物学博士を演じたローラ・ダーンが脇を固める実話作品。この情報だけで興味をそそられる筈なのに、これまで観ていなかったのが不思議な程に素晴らしいヒューマンドラマだ。
実話なので過剰な演出や軽薄なシナリオがなく安心。設定は邦画の「フラガール」が近く、丁寧な作風は洋画の「ショーシャンクの空に」が近い。シンプルなストーリーなのに、切り口が多面的で全く飽きないから、何れの作品も長く愛され続けるのだろう。
戦後米国での産業の新陳代謝が進む中、片田舎の炭坑の街を舞台に、そこで生きる炭坑夫達の濃いクローズドコミュニティーが生き生きと描かれており、その分、主人公が見上げる星空を横切るスプートニクの光跡が、儚くも美しい夢として際立っている。
米国は日本と違って今でも大学は自分の金で行く所なので、学資ローンが無い時代は奨学金を貰える程の得意分野がなければ多くは高卒で終わる。人生の隘路に追い込まれたロケットボーイズの夢への渇望と結束と試練、彼らを精神面で支える担任教師と技術面で支える炭坑夫達、子供への愛情と責任の持ち方の違いで交錯する父母が偏りなく語られ、とても充実した気持ちになれるのだ。
特にクリス・クーパーの存在感が抜群。炭坑の誰もが尊敬するプロ魂と技術で管理責務を果たす頑迷な職業倫理観を持つ父親は、子のジェイクにとっては最大の壁だが、実に重々しく迫真の演技だった。我が子の為に愛情を圧し殺して現実を諭し続ける孤高の姿が冴え渡り、当時米国の典型的な愛国労働者の父子を象徴的に魅せてくれた。故に最後のロケット打上げシーンは胸に熱いものが込み上げて来る。
本作には驚きも偶然も必要無い。若者が夢と努力と友情を育めるだけの、大人達の健全な社会性と地域共同体意識が有ればそれでいい。でも現代はその一番大事な部分が危機に瀕しているのではないか?と問い掛けて来る大変厳しい映画でもある。
Blu-rayは人肌や衣服類、青空や自然を克明かつ色鮮やかに映し出し、炭鉱内や星空も見易く、声優も完璧。親も子も背筋を延ばして貰える、文句なしの名作です。
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