この本は、妊娠、出産の場で子供を亡くされた親、家族と向き合い、寄り添いながら感じたこと、考えたこと、学んだことを医師である私のほか、助産師、看護師、臨床心理士、そして多くの体験者の方々と何度も意見交換をしながら丹念に作り上げた本です。
決して、「こんなときは、こうしなさい」というものを示した本ではなく、 「あなたは、あなたのままでいいのです」ということ、その日、その時にあなたが感じたこと、そう感じたあなた自身を大切にしてほしいということ、 そして、医療者はそれを受容してゆこうという考えのもとにまとめた本です。
専門家の間でも、関わり方には多くの意見の相違があります。 これはとても健全なことです。
それは、人の生き死には決して画一化、マニュアル化することができないからです。
ところが、それぞれの悲嘆、感情のに蓋をせず、受容してゆくこと、子どもを亡くした親、家族に寄り添ってゆくという総論と、 流産、死産であっても、新生児死亡であっても、親にとっては、自分の子ども、「赤ちゃん」がなくなったことにかわりはないという見解は全員が一致するところでした。
ひとりの人間としてわたしたちが「赤ちゃんの死」と向き合うことは、結果的には自分自身と向き合うことにつながります。までのように、そこから目をそらしてゆくことは一見楽なようですが、実は自分の生き方を窮屈にしているあり方です。
事実から目を背けることではなく、きちんと悲しみと向き合ってゆくこと。
その事実を忘れようとするのではなく、「共存」してゆくこうとすること。 これは、妊娠、出産の場に限らず、人が生きていく上での根っことなる本質のひとつではないでしょうか。
多くの医療従事者が臨床の場で感じてきた疑問や葛藤、体験者と家族の様々な思いが、この本を開くことで何かしらの「気づき」へと転換されることができれば、とても嬉しいです。
「あなたはあなたのままでいいのです」
赤ちゃんの死を前にした時、医療従事者としてどのように患者・家族に寄り添えばよいのか、患者・家族は何を望み、どのようなケアを受けたいのか、医師・助産師・看護師・臨床心理士の実践と患者・家族の体験談でつづる赤ちゃんの死への関わり方とこころのケアをまとめた本。
内容(「MARC」データベースより)
赤ちゃんの死を前にした時、医療従事者としてどのように患者・家族に寄り添えばよいのか。医師・助産師・看護師・臨床心理士の実践と患者・家族の体験談で綴る、赤ちゃんの死への関わり方とこころのケアをまとめた本。
著者について
1961年生まれ、産科医。 学生時代より世界諸国を放浪。現在も国、地域を超えて妊娠、出産の現場に広く関わっている行動派医師。 専門は周産期医学、胎児生理学、多胎妊娠。 妊娠、出産のあり方とその周辺環境、ウイメンンズヘルス、育児メディア等への関心も深く、主として母子、家族の視点でとらえた現場からの意見と情報を積極的に社会へと発信している。
赤ちゃんの死に関する講演や、天使ママ自助グループのアドバイザーなど、赤ちゃんの死について活動も勢力的にとりくんでいる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
竹内/正人
葛飾赤十字産院第二産科部長、産婦人科医、医学博士。1961年生まれ。米国ロマリンダ大学留学を経て、1995年に日本医科大学大学院卒業。専門は周産期医学、胎児生理学、多胎妊娠。学生時代より、世界諸国を放浪。現在も、国、地域を超えて妊娠、出産の現場に携っている行動派医師。妊娠、出産のあり方とその周辺環境、ウイメンズヘルス、育児メディア等への関心も高く、「赤ちゃんの死」に関する講演等も各地で行っている。出産のヒューマニゼーション研究会幹事、NHK「すくすく子育て」すくすくサポーター等、主として母子、家族の視点でとらえた現場からの意見と情報を積極的に社会へと発信している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)