本書は米国の金融、財政システムがいかにインチキで歪んだシステムから成り立っているのかを明らかにし、それらがもたらす破壊的な影響とその解決方法を丁寧に解説しています。日米では多少のシステムの違いがあるとはいえ、本書に書かれている内容の多くは日本の現状にも当てはまると思います。
民間銀行の集まりにすぎない連邦準備制度が貨幣の発行権を保持しているおかしさ、銀行が何もないところから融資という形で貨幣をつくり(いわゆる信用創造)それに金利をかけることで国民を恒久的に負債の鎖で縛っている状況、さらにこの負債の網が社会全体を絡み取り、国民の生き血を吸っている現状を詳細に解き明かしています。
酷いインフレが起こる原因は政府による無責任な財政支出が原因なのではなく、民営銀行がマネーサプライを”負債”によって膨張させていることが真の理由であり、さらに銀行が発行する通貨の多くは住宅ローンの”収益化”によって作られており、この住宅融資は借り手の単なる返済約束を不動産によって担保された”資産”に変身させているだけにすぎないにもかかわらず、借り手の債務不履行の際には銀行はその不動産を手に入れることができるのです。銀行はこうして得た利益をデリバティブという所詮インチキなねずみ講にすぎないものに巨額を投資し、支払い不能に陥った時には”大きすぎて潰せない”として国民の血税で定期的に救済される仕組みを作っています。その他にも筆者は連邦準備制度と民間銀行が結託して築き上げてきた様々ないかさまシステムを詳細にあげています、そしてそれらの多くは他の人達がすれば犯罪行為として認識されるものであると述べています。
このような状況を改善するためには硬貨や紙幣だけではなく融資として発行されるクレジットも含むすべての貨幣を政府が発行し、連邦準備制度は廃止もしくは完全国有化し、さらに大手デリバティブ銀行の第三者会計審査を実施し、支払い不能が見つかった銀行は管財処分し国有化する解決方法を筆者は提案しています。
その他にも様々な改善方法を筆者は述べていますがすべては”ハゲタカ資本主義”から”国民資本主義”に社会を返還させるためのものばかりです。さらにそのようなことを実施すれば政府は国民から所得税を取る必要さえなくることを論理的に解説しています。
現代貨幣理論、いわゆる”MMT”がネットなどで最近よく取り上げられています。財政均衡論よりははるかにましとは思いますが少し疑問に感じるのは、国債発行も借金である以上”金利”という副産物を生みその金利払いには税収の一部が使われていることです。さらにMMT論者の人達は現代の貨幣発行の中心は融資による”信用創造”でありその多くは政府による借金、つまり国債発行であると解説していますが、それは事実としても金利が付いたお金が社会を満たすことによる弊害にはあまり言及していないように思います。
やはりこの筆者の提言のように金利が派生する国債発行ではなく、金利のつかない貨幣を政府自らが発行し(そのための必要な法改正を実行し)、民間の融資活動は信用創造ではなく既存の資金の再利用、あるいは政府から借りた資金の融資に限定するのがより良い方法だと思います。
本書は”全国民が読んだら歴史が変わる”名著だと思います、ぜひ読んでください!
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