豊田章男は、いったい何者なのか。
「失われた30年」と呼ばれた平成の時代において、トヨタ自動車は国内でもっとも時価総額を伸ばした企業だ。1989年に約9兆円だった同社の時価総額は、2020年2月時点で約25兆2200億円にのぼる。2位のソフトバンクグループ11兆5300億円に2倍以上の差をつけて、国内企業トップである。自動車メーカーの中でも世界一だ。
(中略)
「豊田章男は、“突然変異”ですよ」
と、ある役員は評する。突然変異、すなわち、章男は、その出自やトヨタの企業風土では説明できない稀有な経営者だということなのか。章男の心の奥底には、いったい、何が秘められているのか──。
(「はじめに」より)