本書は、詭弁や虚偽のようなもの……レトリックについての本である。
相手を論破・説得するためには単純な論理よりもレトリックめいた物言いや考え方が有用であると説き、それらについての使用例や考え方などについて語られている。
たとえば「論理的ではない」物言いやものの味方の例として「お前も同じ」「誰が言ったかが大事」というような『人に訴える議論』が挙げられている。これらは論理的ではないが議論の場では説得力を持つ。こういった表現を用いるのは是か非か!?……などというようなことについて諸々書かれている。
上記の点について個人的なまとめをするなら、これは第4章だが、その他、章ごとに概略をまとめると、
第1章は「恣意的な問いには例外や反証を問いで突き返せ」、
第2章は「定義と因果関係という複数の論拠を混ぜるな」、
第3章は「恣意的な定義づけは相手に説明させろ」、
第4章は「正義原則(公平の原則)に基づいて、相手の立証責任・説明責任へと論点を移行させろ」
第5章は「問いの恣意的な前提はその論拠を立証させろ」、
多分不足しているが。色々引用文献などもあるが、平易な文章で書かれており、哲学や論理学の素養がなくともなかなかに読みやすかった。
惜しかった点は少ない。ひとつは、議論が、対立意見同士の討議という形式を前提としており、協議的な合意形成という観点がなかったこと。ひとつは、なんでそれで人々が説得されるかについて結果論的にしか答えていないところだ。ただ、前者は紙幅の関係で、後者はそもそもこれ誰が説明できるのかという点で難しいところだろう。
そんなわけで「正当な論理」を信奉していた僕にとってはちょうどいいカルチャーショックになる、けれども腑に落ちる手ごろな一冊であった。
購入オプション
| 紙の本の価格: | ¥770 |
| 割引: | ¥ 77 (10%) |
|
|
|
| Kindle 価格: |
¥693
(税込) |
|
獲得ポイント:
|
7ポイント
(1%)
|
論より詭弁~反論理的思考のすすめ~ (光文社新書) Kindle版
-
言語日本語
-
出版社光文社
-
発売日2007/2/20
-
ファイルサイズ347 KB
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
議論入門 ──負けないための5つの技術 (ちくま学芸文庫)Kindle版
段落論~日本語の「わかりやすさ」の決め手~ (光文社新書)Kindle版
詭弁論理学 改版 (中公新書)Kindle版
論理病をなおす! ――処方箋としての詭弁 (ちくま新書)Kindle版
入門!論理学 (中公新書)Kindle版
難解な本を読む技術 (光文社新書)Kindle版
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
著者は、論理的思考の研究と教育に、多少は関わってきた人間である。その著者が、なぜ論理的思考にこんな憎まれ口ばかりきくのかといえば、それが、論者間の人間関係を考慮の埒外において成立しているように見えるからである。あるいは(結局は同じことなのであるが)、対等の人間関係というものを前提として成り立っているように思えるからである。だが、われわれが議論するほとんどの場において、われわれと相手と人間関係は対等ではない。われわれは大抵の場合、偏った力関係の中で議論する。そうした議論においては、真空状態で純粋培養された論理的思考力は十分には機能しない。
--このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
香西/秀信
昭和33年香川県生まれ。筑波大学第1学群人文学類卒。同大学院博士課程教育学研究科単位修了。琉球大学助手を経て、宇都宮大学教育学部教授。専攻は修辞学(レトリック)と国語科教育学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
昭和33年香川県生まれ。筑波大学第1学群人文学類卒。同大学院博士課程教育学研究科単位修了。琉球大学助手を経て、宇都宮大学教育学部教授。専攻は修辞学(レトリック)と国語科教育学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B00ISQNWPS
- 出版社 : 光文社 (2007/2/20)
- 発売日 : 2007/2/20
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 347 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 144ページ
-
Amazon 売れ筋ランキング:
- 18,508位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 139位光文社新書
- - 989位倫理学・道徳 (Kindleストア)
- - 1,020位自己啓発 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
こちらもおすすめ
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.9
星5つ中の3.9
63 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年8月23日に日本でレビュー済み
違反を報告
Amazonで購入
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
ベスト1000レビュアー
Amazonで購入
古代ヨーロッパに源流を見いだせる「リベラルアーツ(自由七科)」とは
・文法学
・論理学
・修辞学
・算術
・幾何学
・音楽
・天文学
であるらしい。
本書はそのうち、「修辞学」と「論理学」についての
基本的な考え方を理解するのにうってつけの本と言える。
最近では、SNSでのクソリプもよくあるらしいが
そういう、リアル以外の場所で他人とコミュニケーションするときにも
本書の内容は十二分に役立つと言えるだろう。
・文法学
・論理学
・修辞学
・算術
・幾何学
・音楽
・天文学
であるらしい。
本書はそのうち、「修辞学」と「論理学」についての
基本的な考え方を理解するのにうってつけの本と言える。
最近では、SNSでのクソリプもよくあるらしいが
そういう、リアル以外の場所で他人とコミュニケーションするときにも
本書の内容は十二分に役立つと言えるだろう。
2019年7月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
論理学に関する本を読んだならば、こちらもセットで読んでおくのがよいかと思います。
論理的な正しさが必ずしも歓迎されるわけではないという現実には、日常の議論の場で頻繁に出くわします。その際に、やはり論理学なんて使えないものだ、と論理の価値を過小評価して貶めてしまわないためにも、この本の内容が防衛手段として役立ちます。
ただし、引用部分と筆者が書いた文の区別が分かりづらい箇所(生成文法理論者に関する部分など)があったので、引用部分はそうと分かるような表示にすべきだと思う。
論理的な正しさが必ずしも歓迎されるわけではないという現実には、日常の議論の場で頻繁に出くわします。その際に、やはり論理学なんて使えないものだ、と論理の価値を過小評価して貶めてしまわないためにも、この本の内容が防衛手段として役立ちます。
ただし、引用部分と筆者が書いた文の区別が分かりづらい箇所(生成文法理論者に関する部分など)があったので、引用部分はそうと分かるような表示にすべきだと思う。
2014年12月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人間関係をはじめとする様々な力関係の不均衡が生じる実社会では、議論において形式的な論理的思考など役には立たない。
そこで筆者が提唱する弱者の戦略が、レトリックであり詭弁である。
日常的な議論の場において溢れているのはむしろ詭弁の方である。
われわれ弱者にはすでに無意識にこの詭弁論的手法を身に付けている者が多いのではないだろうか。
普段は意識することのないそうした詭弁を論理的に分析しているのが本書であり、論理学の面白さに気づかされる。
本書を読んだからといって、議論において相手を爽快に喝破できるようになるものではない。
そもそも著者の勧める詭弁(というより議論そのもの)とは、弱者自身の自己防衛術でしかないのだから。
そこで筆者が提唱する弱者の戦略が、レトリックであり詭弁である。
日常的な議論の場において溢れているのはむしろ詭弁の方である。
われわれ弱者にはすでに無意識にこの詭弁論的手法を身に付けている者が多いのではないだろうか。
普段は意識することのないそうした詭弁を論理的に分析しているのが本書であり、論理学の面白さに気づかされる。
本書を読んだからといって、議論において相手を爽快に喝破できるようになるものではない。
そもそも著者の勧める詭弁(というより議論そのもの)とは、弱者自身の自己防衛術でしかないのだから。
2014年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
難解なレトリックを日常の例をもって説明しているので、非常に分かりやすいです。
詭弁を肯定も否定もせず、メリット・デメリットを述べる公平な立ち位置も気に入りました。
個人的な意見としては、自分は議論好きと思っていましたが、読後には、議論なんてただの言葉遊びだったんだなと考えが変わりました(笑)
それは極端な一例かもしれませんが、新たな視点を得られる良書だと思います。
詭弁を肯定も否定もせず、メリット・デメリットを述べる公平な立ち位置も気に入りました。
個人的な意見としては、自分は議論好きと思っていましたが、読後には、議論なんてただの言葉遊びだったんだなと考えが変わりました(笑)
それは極端な一例かもしれませんが、新たな視点を得られる良書だと思います。





