否定的レビューが多いようですが、良書だと思います。
私は特に哲学を専攻するわけではない学生ですが、当然本分とするものが別にあるので、分厚い哲学書をとるわけには行きません。
こういう人間にとって、様々な哲学の「要約」はとてもありがたいものです。
本書は一貫してなるべく客観的な主張の要約と、著者の主観的な感想の繰り返しで構成されています。私はこの文章構成が非常によく考えられていると感じました。
哲学を学ぶ意義は、自身にとって「よい」生き方を悟ることにあります。しかし、著者が再三主張している通り、今古典となっている哲学書はその書かれた時代背景抜きでは語れません。
したがって、現代に生きる読者が哲学者の徹底した思考の末のエッセンスを理解するためには、時代のバイアスを取り除き、我々の人生に適用可能な形に昇華させる必要があります。
気の遠くなりそうなほど難易度の高いそのプロセスを、著者が代行してくれていると考えることができます。当然それが万人にとって完璧な説明であるとは思っていませんが、費用対効果を考えると準最適です。
そして、本書は「哲学名著」の紹介であり、これ一冊をよんで我々が自分の哲学を構築できるというものではありません。これほど計算機の性能や通信網が発達した世界で生きた哲学者は一人として登場しません。
本書を読み終わり、巨人の肩の上に乗りつつ自分にとって「よい」生き方について思い悩んで初めて、本書を手に取った意味があると言えます。その意味で言えば、レビューを書いている私もまだ「未読了」です。
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