君の名はから一旦はなれ、元の新海作品的映像美が展開される。
そのリアルさは、彼の一番のこだわり。
まるで実写の様で。でも実写の余計な部分を省いた美の表現はほれぼれするぐらい素晴らしい。
一方ストーリーはというと、相変わらずの今一つ。
映像並みの作り込みがない。
27にとっての高校一年=中学出たてが恋愛対象になったらちょっとアブナイ。
男女を入れ替えたら、変質者感に納得がいくことだろう。
主人公は料理が出来、バイトも頑張り、目標をしっかり持っているのに、
自分の進路に自信を持たないあたりがよくわからない。
どうみても自分に自信がない子には見えない。
子供のころは空が近かったとか、満員電車の表現とか。
田舎育ちが上京したようなセリフを展開したが、
主人公は東京の都心育ちで意味が分からない。
高校は義務教育ではないのだから、将来したいことがあるならきちんと卒業しようと思うだろうところ。
また、靴を本気で目指すなら、海外に出ることも考えて語学を真剣に学ぶだろうということを考えても、
雨の日の1限目のさぼりが納得いかない。
そして、1限目の時間枠とシーンが合わない。
御苑は9時オープンだ。しかも雨の日の鉛筆書きは湿気で困難だ。
御苑で雨のシーンを描きたかったためのストーリー立てではないかと思われる。
つまるところ、映像構成にストーリーをつけてみました。
それがいつもの新海作品。
これも見事にそのパターンに仕上がっている。
映像面では素晴らしいものの、「オレすごいだろう」的な無意味なカットもそこそこある。
例えば兄の登場シーンの靴のカット、玄関のドアノブのカット。サスペンスならありだが、
兄の登場にこの演出は必要だったのか?
主人公が学校の階段を下りるカットの意味はなにかなど。
また、映像の設定掘り下げはキャラ同様に不十分。
水で強風を表現したのに、その後に木々から落ちる大きな水滴は垂直に落ちる。
先生のベランダのメタルシェルフには錆がなく、観葉植物では使われない
緑のスリット入りのプラプランターがいくつかある。
キャラ設定に紐づく描写は映像も含めて雑。
この人の作品は、アニメと音楽のみで構成した方がより完成度が上がる。

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