『語る禅僧』以来、南直哉さんの言葉に惹かれ、
この本を読んでみました。
玄侑宗久さんとの対談『〈問い〉の問答』や
『自分をみつめる禅問答』の刊行後に起きた
大震災について、頭脳明晰な僧侶はなにを語ったか――。
無力さを自覚するということ。
人間は弱い存在と自覚すること。
そして、自分の物語をどう構成するか、問いを立てること。
南さんらしく、
だれもが頷けるような、当たり前のキャッチーなことは書いていない。
ただ、自らを問い続けることの大切さを切々と伝えています。
「今回の震災で、象徴的にこの社会がだめだと思ったのが、被災地での百二歳の方の自殺でした」
「百二歳まで生きた人間がなぜ、自殺しなくてはならないのか。僕は久しぶりに泣きました」
ここを読んだとき、改めて問い続けることの重要性が心に刺さりました。
ほかに釈徹宗さんの「そもそもの仏教論」は、とってもわかりやすく、
ご自身が失明された田口弘願さんの
「『目が見えないからこそ、見えることがあるでしょう?』なんて言ってくださる方がいます。
私が見えなくなっていちばんに思ったのは、見えないものは見えない、という当たり前のことです。
しかし同時に、目の見えている人は物をちゃんと見ているのかというと、
そうでもないことがわかりました」
の一文は印象に残りました。
さらにメディアで大活躍の小池龍之介さん、
被災者にあえて「がんばれ」と言った河野太通さん、
5人の僧侶の話が読めて、じつにありがたい1冊でした。
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