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池上英洋

西洋美術史入門・実践編 (ちくまプリマー新書) (日本語) 単行本 – 2014/3/5

池上英洋 (著)

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本の長さ

201ページ
言語

日本語
出版社

筑摩書房
発売日

2014/3/5
ISBN-10

4480689133
ISBN-13

978-4480689139
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商品の説明

内容（「BOOK」データベースより）

美術品の「物理的側面」と「精神的側面」を鑑賞しその社会性を読み解く、これが美術史の実践です。本書ではエジプト美術から現代絵画まで多くの実践例を紹介。前著『西洋美術史入門』から、もう一歩奥の世界へ誘います。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

池上/英洋
1967年広島県生まれ。東京芸術大学卒業、同大学院修士課程修了。東京造形大学准教授。専門はイタリアを中心とした西洋美術史・文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

出版社 : 筑摩書房 (2014/3/5)
発売日 : 2014/3/5
言語 : 日本語
単行本 : 201ページ
ISBN-10 : 4480689133
ISBN-13 : 978-4480689139

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たたた

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2014年9月25日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

初心者にもわかりやすい内容ですので、ヨーロッパなどで美術館に行かれる方は、読んでおくとよいと思いました。

1人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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美術史の見かたや姿勢などを具体的に記した書

2014年7月27日に日本でレビュー済み

第１章「ひとつの作品をじっくりと読んでみよう」は実践編に相応しく筆者の得意としている「ローマの教会にあるバロック期の天井画」を選んで説明してありました。
取り上げられたサンティニャーツィオ教会の天井画ですが、確かにローマのパンテオンからすぐ近くにあり、当方もガイドに連れられて訪れ、非常に印象に残っている教会の一つです。
「イエズス会による世界伝道」を描き出しており、「四つの大陸のイメージ」はイエズス会の布教活動で捉えられている印象を表現していました。

27ページ以降に記してありますが、ここの天井画はだまし絵になっています。説明を受けて実際に見てみても、実際の建築物のようで、とても絵で描かれたようには見えません。
ただし、30ページ記載「だまし絵のクーポラ」にあるように「採光塔が、円の外周近くに寄っている」ことで理解しましたが。

なお、口絵はカラーで16ページあり、この天井画も５点掲載してありますが、実際のイメージより印刷物が暗いですね。自分の写真と比較しましたが、「四大陸の寓意」のアメリカ部分はもっと明るい印象で写されていました。印刷のせいでしょうか。なお、本文の絵画・彫刻の写真は全てモノクロでしたので、少し分かりづらいです。

この章でも問いかけられていますが、なぜそのような作品がその時代にその地域で描かれたのかを筆者は大切にしています。
「制作動機と主題選択」に詳しいのですが、「プロテスタント勢力に押しまくられているような状況にあって、イエズス会は失地回復の世界伝道の先頭に立っている」のを描き出しているのを見ると理解しやすいです。

第２章「美術作品の何を見るか　一次調査と『主題と社会』」も興味深いテーマを詳述してありました。「美術作品とはなにか」の項目に筆者の思いと大切な指摘がなされているので少し引用いたします。
「人が本能的に『美しい』と感じるような『絶対的な美』の存在が確認されていない以上、筆者は『美しい』や『醜い』といった美的判断を、『良い』『悪い』ではなく、個人的な『好き』『嫌い』に近いものとして扱うべきだと考えています」と述べ、「作品をそれでも『良い』『悪い』で判断する行為は『美術批評』の範疇にあり、『美術史』ではそのような行為はできるだけ避けて、客観的な指標のみに基づくのが本来あるべき姿だと考えます」(少し略)「単にその文章の書き手による、明確な基準を持たない印象に基づく判断であれば、学問的に正しいとは言えないので注意が必要です」という姿勢が美術史研究には必要なのが理解できるでしょう。学問姿勢と立ち位置の関係かもしれません。

著者の池上英洋氏は、東京芸術大学卒業、同大学院修士課程を修了し、國學院大學文学部准教授を経て、現在は東京造形大学准教授で、イタリアを中心とする西洋美術史・文化史を専門とする研究者です。これまで多くの著作を精力的に表している方ですので、本書の記述も著者の肉声がストレートに伝わるような魅力的でかつ平易な記述でした。

取り上げられた具体例もほとんど知らていない指摘なので、美術愛好家に好まれることでしょう。
「ツタンカーメンとネフェルティティ」「あらわれたふたつの顔　カマッジョーレの修復のケース」「ゴッホはいつからジャポニスム画家となったか「クリムトのジャポニスム」「奪われる美術品　戦争と所有者」などは特に興味をひきました。関心のある方は是非ご一読を。

9人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

美術品は鑑賞者と社会が“創って”いくものであることを改めて教えられた

2014年4月28日に日本でレビュー済み

　著者は東京藝術大学出身で、現在は東京造形大学准教授。専門はイタリアを中心とした西洋美術史・文化史とのこと。この書の正編にあたる『西洋美術史入門』 (ちくまプリマー新書)を２年前に読んで大変感銘を受けた憶えがあり、続編が出来（しゅったい）したと聞いて迷うことなく手にした次第です。

　美術史研究をする上で重要なのは、「なぜその作品を、その地域と時代に描く必要があったか」を考えること。つまり美術作品は、それ自体が自立して「美」として存在することはなく、「それを生み出し、かつ享受する社会があってはじめて成立するもの」だから、社会の要請、鑑賞者の視点といったものを抜きには語ることができないことを、著者は強調します。

　ネフェルティティ像とツタンカーメンのマスクは古代エジプトの美術品の中でも日本人にはとりわけ良く知られているものですが、この二人が姑と女婿の関係にあたるのだとか。
　その姻戚関係もさることながら、興味深く読んだのは、人間的な表情をたたえたネフェルティティと無表情なツタンカーメンの差についてのくだりです。美術史的に解読すると、ネフェルティティの夫アメンヘテプ四世が一神教を導入したためエジプト王自身は神の地位から降り、引いてはその妻の像が人間くささを持つ結果となった一方、ツタンカーメンは多神教を復活させて自らも現人神として君臨したため、人間的な表情がそのマスクには与えられなかったというのです。

　また、キリスト教像は、12世紀末までは「勝利者としてのキリスト」として目を見開いた形で表現されていましたが、13世紀初頭にはアッシジの聖フランチェスコの言葉を受けて「人間性と弱さをもった存在として」目を閉じて描かれるようになったという説明にも大いに頷かされました。
　しかし、13世紀から20世紀まで信者の前にあった＜目を閉じた像＞が、12世紀以前の＜目を開いた像＞へと“修復”された例を引いて、美術作品と鑑賞者の間に流れていた長い歳月についてはどう考えるべきか、その最適解がないことのもどかしさにも著者は触れています。
　「作品はそれを観る人がいてはじめて美術品となるものなので、必然的に後世それを持つ人、眺める人たちが“創って”いく部分も非常に大きいのです」（184頁）。
　
　美術史研究とは何か、と学生やその保護者に質問されることが多いという著者が、その回答として書いた書であるだけに、「です・ます」調の平易な語り口で綴られています。美術の好きな大人の読者だけでなく、まさに進路を決める必要に迫られた年齢の高校生の読者にも大変参考になることでしょう。

19人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

yamashina

得がたい本

2016年4月24日に日本でレビュー済み

　正編にあたる『西洋美術史入門』よりも、独断的でなく、確かに美術史の本です。個人的にはこちらのほうだけでよかったかな、と思っています。個々の作品を深く検討するという立場ですので　イコノグラフィーとイコノロジーだけではんく、様々な話題・方法を総動員していますので充実していて面白い。

　冒頭のローマ、サンッティニャーツォ教会の天井画の分析は、観る視点位置をも論じた優れたものです。ただ「サンッティニャーツォ」は「セイント　イグナチウス　デ　ロヨラ」のイタリア御表記だと最初に言えば混乱しないのにな、と思いました「セイント」がないからすぐ納得できないのです。

　そして、特に、第2章の冒頭「美術作品とはなにか」という節では「ある名画は、人類滅亡後にもまだ名画であり続けるか」という思考実験を紹介して深い議論を呈示していますし、そのあとの「いつ、どこで、誰が」「年代と帰属の決め方」なども簡潔ながら的確です。

　108～１１８Pで「修復」の深刻な問題を論じていることは、非常に素晴らしい。特に制作されてから現在にいたる他への影響他からの影響という問題（ヒストリシティー）が重要であるという議論は立派です。

　最後に、いかにも講義録らしく、「まとめ」として実践的な方法論が乗っているのも立派ですね。参考文献は最小限で、無駄に多くないのはかえってよいかもしれません。迷いますからね。

　みな、こんな風ならいいのに、なんか変な議論があるのは、残念です。例えば、例えば、８２ｐの「絵巻と壁画の鑑賞方法の違い」ですが、比較対象が間違っています。障屏画と比べないとダメでしょ。洛中洛外図のような障屏画にも平行遠近法が主流なのをどうみるか？と議論しないといけないと思います。また、木の文化と石の文化（119p～）もひどい議論ですね。私は「全部腐朽して粉になっていても神像は神像」とおっしゃられていた宮司さんのお話をよく憶えております。伊勢神宮などは「堀立柱」の技術的問題から出た例外ではないでしょうか。１６６ｐの聖チェチェリーアがキャンバスに移されたのはパリに来て5年後であり輸送とは関係ありません。

多少の問題はあるとはいえ、得がたい本なので５☆にいたしました。

8人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

大類浩平

まともだが薄い

2019年4月16日に日本でレビュー済み

　『西洋美術史入門』の続編。価値判断は学問ではなく、美術史とは客観的な指標に基づく（p49）とするなど学者としては真っ当な認識である。太平天国の乱の死者数は第一次世界大戦での死者を上回る（p130）というのをこれで知った。ただ、200ページ以上あるにしては内容が薄すぎる。

1人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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