楽曲アーティストのRayflowerについての詳細は定かではないが、それを
補って余りある存在感に、まず圧倒される。そして次の楽曲への期待感が
いやがおうにも高まる。その本作「裏切りのない世界まで」は、1stマキシ
にして両面2曲ともアニメ『裏切りは僕の名前を知っている』OP&EDテーマ。
序幕を告げるピアノイントロに導かれ、開幕する激しくダークなロックテイスト楽曲。
特にその中で抑え気味ながら存在感のある端正なヴォーカルに心を持っていかれる。
クールな風情に込み上げる熱さが、その確かな実力を快く彩る。加えて本編アニメに
即したテーマ性のある歌詞に引き付けられ、つい何度もリピートしてしまうタイトル曲。
ED曲も、その歌声の端正な情熱と楽曲のこだわりに独特の世界があることを実感する。
アニメタイアップ(黒執事など)のヴィジュアル系ロックバンドを、よく見かける
ようになった近年であるが、そのイメージ戦略がアーティストの楽曲そのものにも
よい影響を与えている気がする。特に女性向け作品とロックテイストという、一見
ミスマッチにも思えるコンピレーションが、実はその本質を捉えていたりも。どことなく
BL的な本作であるが、その独特の女性特有の美意識やアイデンティティが激しく生真面目な
ロック楽曲に色を添えている。いや、むしろそのダークな激しさ、劇的な命の息吹
そのものに「愛」という本質をみつける―そのことを実感する良クオリティの本作。