大手デベロッパー出身で東京の不動産市場に精通し、わかりやすい解説を個人的に高く評価している牧野氏の最新刊である。
今回のテーマは「街」。これまで東京23区の地域差は「行政区」や「駅」という視点が中心だったが、これからは「街」になるというのが著者の見解だ。
この背景には、働き方改革の進展などで自宅や郊外オフィスなどでの勤務が普及し、職住接近という「通勤」利便性の優先度が低くなることで、一日の大半を過ごす「街」の重要性が拡大するという見立てがある。
周囲を見れば、自分や知り合いの会社でも在宅勤務はごく普通に認められるようになっているし、フレックス通勤はもはや当たり前だ。
会社にとっても都心のオフィスに社員全員分の机を確保するのは無駄が多いし、ネット環境の充実で自宅での仕事も特に困ることはない。加えて通勤の解消で労使ともに時間の有効活用ができるし、通勤交通費の削減にもなる。逆に目立ったデメリットは特にないはずだ(サボリをどう監視するかは別にして)。
この結果、ブランド志向や投資需要に基づいた現在の都心の一部の人気地域(広尾、四谷など)を除けば、相続ラッシュと農地の放出という供給拡大要因もあって不動産価格の下落は避けられない、という。
ということで東京の不動産の先行きは総じて明るくはないのだが、今後「ライフスタイルなど自分自身を軸にさまざまな角度から住む『街』を選ぶ」(p104)という人が増えてくれば、街の魅力度や特徴などで本書のタイトル「街間格差」が広がるというのが著者の真意だ。
この「街」を選ぶための具体的な解説が、第3章「街間格差」にある「ブランド住宅街に住む」「外国人街に住む」などの街のカテゴリー別の説明と、第4章の「輝く街、くすむ街」にある23区の行政区分別の分析だ。
特に、23区については将来性の「ある街」「ない街」を具体名を挙げて解説しており、賛否両論はあろうが、専門家の意見として参考になるのは間違いない。
著者は「おわりに」で、これまで日本人は住まい選びで価格や通勤、ローンなど「家」のことしか考えてこなかったが、これからはより多くの生活時間を割くことになる「街」のことをもっと考えてもよいのではないか、と提案している。
駅の規模や利便性、商業施設などハード面の充実度に加えて、今後はコミュニティの活性度や住民意識の高さなどソフト面の取り組みが不動産選択のカギのひとつになる可能性は高そうだ。
【追記】
私自身、通勤の利便性から墨田区、江東区、江戸川区などに都合10年以上賃貸住まいをしたことがあるが、この経験を踏まえて本書に書かれた23区の街分析について一言。
まずは台東区。ここで「浅草に住むなら喧騒を避けて千束あたりがよさそう」としているが、ここは別名「吉原」、全国屈指のソープランド密集地区である。その手の嗜好があれば話は別だが、常識的には住宅街としては不適格だろう。
次に江東区。「おすすめは門前仲町」とあるが、昨年の東洋経済の調査によれば東京メトロ東西線の門前仲町-木場間の混雑度は199%で全国トップである。この駅付近に住んだこともあるが、朝の通勤電車では利用者の顔がドアの窓ガラスにへばり付いていつも見事に変形していた。もはや「痛勤」のレベルである。
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街間格差-オリンピック後に輝く街、くすむ街 (中公新書ラクレ) 新書 – 2019/1/9
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東急線、京王線、下北沢が凋落! 足元に迫る「街間格差」に今すぐ備えよ!
「家を買うなら五輪後」とまことしやかに語られる東京23区。しかしこの瞬間、大きな変化はすでに起こっていた! 不動産事情に詳しく、多くのベストセラーを抱える著者曰く、「働き方改革」に象徴されるライフスタイルの変化に伴い、住まい探しの絶対的価値基準「沿線ブランド」「都心まで○分」が崩壊。各街の”拠点化”が進んだ先に新たな格差が露呈し始めたという。湾岸タワマン、団地、観光地――。東京で暮らすなら、足元に迫る「街間格差」に今すぐ備えよ!
【目次】
はじめに
家を買うなら本当に「オリンピック後」?/「通勤する」東京から「どこにも行かない」東京へ/「街間格差」が広がり始めた
第1章 2020年以前―何が東京を形作ったの
東京を形作ったものとは/河川とともに整備された東京/東京の道路が曲がりくねった理由/東京の地下鉄が使いにくい理由/「山の手」と「下町」から成る東京の住宅地/「劣化する街」と「劣化しない街」の違いとは/進学校は人の流れに沿って生まれる/観光客ではない外国人の増加/オリンピックより先の「東京」を形作るもの
第2章 2020年以後―「働く」「暮らす」東京の再発見
激変した「住みたい街ランキング」/なぜ「自由が丘」「下北沢」「たまプラーザ」が順位を落としたのか/「働き方」がランキングを変えた/「楽しみ方」がランキングを変えた/この先の東京で起こること①「相続ラッシュ」/この先の東京で起こること②「農地の放出」/揺らぐ「駅から徒歩何分」「都心まで電車で何分」という価値基準/「上り電車」中心から「下り電車」を売りにする戦略へ/東急線から見る「沿線ブランド」崩壊/すでに東京の空き家数は日本一/これから進むのは「街のスポンジ化」/「通勤」しない時代の住まい選びとは
第3章 街間格差―あなたの人生は住む「街」で決まる
「練馬区いじり」の思い出/「23区格差」「駅間格差」から「街間格差」へ/ブランド住宅街に住む/湾岸タワーマンション街に住む/外国人街に住む/オフィス街に住む/観光地に住む/団地に住む/高台(山の手)に住む/川沿い・運河沿いに住む/下町に住む/ターミナル駅街に住む/学生街に住む/公園・役所の近くに住む/住まいの値段に振り回されるな
第4章 輝く街、くすむ街―この区ならあの「街」に住もう
千代田区…磐石なブランドと中途半端さが同居
中央区……如実な「街間格差」がある区
港区………開かれた街と閉ざされた街の混在
新宿区……さまざまな言葉が飛び交う
渋谷区……東京五輪の核として
大田区……予見される大量相続を乗り越えられるか
品川区……海岸側と内陸側で別の顔を持つ
世田谷区…求められる「脱・高級住宅地」
目黒区……完成されきった東横線に待つ未来とは
中野区……東京人の変化にいち早く適合した成功区
杉並区……「JR沿線が強く、郊外ほど弱い」典型
練馬区……必要なのは「人口増加の受け皿」からの脱却
豊島区……「池袋以外」に目を向けて
文京区……ターミナル駅以外はすべてある最強区
板橋区……東京での立ち位置が問われる区
北区………「新駅」に運命が左右された街々
荒川区……賑わいのある場所が限定的
台東区……観光客急増を背景に活力があふれる
足立区……北千住の成功を生かすことができるのか
墨田区……新旧の観光地を活かせ
葛飾区……三つの区域で分かれる盛衰
江東区……清澄白河と東雲はどこで違ってしまったのか
江戸川区…人が集まりにくい構造に置かれた区
第5章 東京の未来―「住まい探し」から「街探し」の時代
「会社ファースト」時代の終わりに/「通勤利便性」が消失した先で何が起こるのか/これからの「住まい選び」の価値基準とは/「街間格差に備えよ」という本当の意味/必要なのは「新陳代謝」/二地域居住のススメ/この先、東京は
など
「家を買うなら五輪後」とまことしやかに語られる東京23区。しかしこの瞬間、大きな変化はすでに起こっていた! 不動産事情に詳しく、多くのベストセラーを抱える著者曰く、「働き方改革」に象徴されるライフスタイルの変化に伴い、住まい探しの絶対的価値基準「沿線ブランド」「都心まで○分」が崩壊。各街の”拠点化”が進んだ先に新たな格差が露呈し始めたという。湾岸タワマン、団地、観光地――。東京で暮らすなら、足元に迫る「街間格差」に今すぐ備えよ!
【目次】
はじめに
家を買うなら本当に「オリンピック後」?/「通勤する」東京から「どこにも行かない」東京へ/「街間格差」が広がり始めた
第1章 2020年以前―何が東京を形作ったの
東京を形作ったものとは/河川とともに整備された東京/東京の道路が曲がりくねった理由/東京の地下鉄が使いにくい理由/「山の手」と「下町」から成る東京の住宅地/「劣化する街」と「劣化しない街」の違いとは/進学校は人の流れに沿って生まれる/観光客ではない外国人の増加/オリンピックより先の「東京」を形作るもの
第2章 2020年以後―「働く」「暮らす」東京の再発見
激変した「住みたい街ランキング」/なぜ「自由が丘」「下北沢」「たまプラーザ」が順位を落としたのか/「働き方」がランキングを変えた/「楽しみ方」がランキングを変えた/この先の東京で起こること①「相続ラッシュ」/この先の東京で起こること②「農地の放出」/揺らぐ「駅から徒歩何分」「都心まで電車で何分」という価値基準/「上り電車」中心から「下り電車」を売りにする戦略へ/東急線から見る「沿線ブランド」崩壊/すでに東京の空き家数は日本一/これから進むのは「街のスポンジ化」/「通勤」しない時代の住まい選びとは
第3章 街間格差―あなたの人生は住む「街」で決まる
「練馬区いじり」の思い出/「23区格差」「駅間格差」から「街間格差」へ/ブランド住宅街に住む/湾岸タワーマンション街に住む/外国人街に住む/オフィス街に住む/観光地に住む/団地に住む/高台(山の手)に住む/川沿い・運河沿いに住む/下町に住む/ターミナル駅街に住む/学生街に住む/公園・役所の近くに住む/住まいの値段に振り回されるな
第4章 輝く街、くすむ街―この区ならあの「街」に住もう
千代田区…磐石なブランドと中途半端さが同居
中央区……如実な「街間格差」がある区
港区………開かれた街と閉ざされた街の混在
新宿区……さまざまな言葉が飛び交う
渋谷区……東京五輪の核として
大田区……予見される大量相続を乗り越えられるか
品川区……海岸側と内陸側で別の顔を持つ
世田谷区…求められる「脱・高級住宅地」
目黒区……完成されきった東横線に待つ未来とは
中野区……東京人の変化にいち早く適合した成功区
杉並区……「JR沿線が強く、郊外ほど弱い」典型
練馬区……必要なのは「人口増加の受け皿」からの脱却
豊島区……「池袋以外」に目を向けて
文京区……ターミナル駅以外はすべてある最強区
板橋区……東京での立ち位置が問われる区
北区………「新駅」に運命が左右された街々
荒川区……賑わいのある場所が限定的
台東区……観光客急増を背景に活力があふれる
足立区……北千住の成功を生かすことができるのか
墨田区……新旧の観光地を活かせ
葛飾区……三つの区域で分かれる盛衰
江東区……清澄白河と東雲はどこで違ってしまったのか
江戸川区…人が集まりにくい構造に置かれた区
第5章 東京の未来―「住まい探し」から「街探し」の時代
「会社ファースト」時代の終わりに/「通勤利便性」が消失した先で何が起こるのか/これからの「住まい選び」の価値基準とは/「街間格差に備えよ」という本当の意味/必要なのは「新陳代謝」/二地域居住のススメ/この先、東京は
など
- 本の長さ267ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2019/1/9
- ISBN-10412150643X
- ISBN-13978-4121506436
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
「家を買うなら五輪後」とまことしやかに語られる東京23区。しかしこの瞬間、大きな変化はすでに起こっていた!不動産事情に詳しい著者曰く、「働き方改革」に象徴されるライフスタイルの変化に伴い、住まい探しの絶対的価値基準「沿線ブランド」「都心まで○分」が崩壊。街の“拠点化”が進んだ先に新たな格差が露呈し始めたという。湾岸タワマン、団地、観光地―。東京に住むなら、この先やってくる「街間格差」に備えよ!
著者について
牧野知弘
1959年生まれ。オラガ総研株式会社代表取締役。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て、89年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し、ホテルリノベーション、経営企画、収益分析、コスト削減、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT(不動産投資信託)市場に上場。09年株式会社オフィス・牧野設立およびオラガHSC株式会社を設立、代表取締役に就任。15年オラガ総研株式会社設立、以降現職。著書に『なぜ、街の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)『老いる東京、甦る地方』(PHPビジネス新書)『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)『2020年マンション大崩壊』『2040年全ビジネスモデル消滅』(ともに文春新書)など。テレビ、新聞などメディア出演多数。
1959年生まれ。オラガ総研株式会社代表取締役。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て、89年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し、ホテルリノベーション、経営企画、収益分析、コスト削減、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT(不動産投資信託)市場に上場。09年株式会社オフィス・牧野設立およびオラガHSC株式会社を設立、代表取締役に就任。15年オラガ総研株式会社設立、以降現職。著書に『なぜ、街の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)『老いる東京、甦る地方』(PHPビジネス新書)『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)『2020年マンション大崩壊』『2040年全ビジネスモデル消滅』(ともに文春新書)など。テレビ、新聞などメディア出演多数。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
牧野/知弘
不動産事業プロデューサー。東京大学経済学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、日本コマーシャル投資法人の執行役員に就任し、J‐REIT(不動産投資信託)市場に上場。現在オラガ総研株式会社、株式会社オフィス・牧野代表取締役としてホテルや不動産の開発・運用アドバイザリーのほか、事業顧問や講演活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
不動産事業プロデューサー。東京大学経済学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、日本コマーシャル投資法人の執行役員に就任し、J‐REIT(不動産投資信託)市場に上場。現在オラガ総研株式会社、株式会社オフィス・牧野代表取締役としてホテルや不動産の開発・運用アドバイザリーのほか、事業顧問や講演活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2019年1月10日に日本でレビュー済み
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2019年3月3日に日本でレビュー済み
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新宿区のマンションに10年、港区のマンションに25年住み、その35年の間に2回に分けて転勤で計8年間ニューヨークに住んだ経験から、東京の街の在り方には人一倍の関心を持ってきました。その観点から、コメントさせていただきます。
まず、街で「暮らす」だけでなく、「働く」「遊ぶ」「買い物する」「寛ぐ」といった要素が求められるようになるとの論考には全く異論はないが、「通勤利便性」が街を選ぶ際の重要ポイントでなくなるとの説には全く賛成できない。
今後、在宅勤務が拡大して通勤が不要になるので、その視点から家・街を選ぶ必要があると言うが、在宅勤務で生産性を維持できるような職種は極めて限られていることから、残念ながら、そのような夢のような世界は絶対に来ない。
むしろ、大手町、丸の内で進行するオフィス建替えラッシュによるオフィスのさらなる集積に見られるとおり、生産性の観点から、今後、より狭いエリアにより多くの人間が集まって働くようになる。この流れは、脱工業化した世界のどの都市にも共通して見られる。人間の仕事が全てコンピューターに取って代わられるような時代が来ない限り、サラリーマンが通勤から解放されることはない。これから30年後には、より多くのサラリーマンがよりオフィスの近くに集住するようになることは間違いない。
したがって、郊外にますます空き家が増えることになるが、その流れを止めることは、昔の炭鉱地帯に空き家が沢山あるから使えというのに等しいくらい困難なことである。人が集まることによって文化が生まれ、その文化がまた人を引き付けることは、東京やマンハッタンを見れば明白である。人口が減る郊外は人を引き付ける魅力を失っていく。もちろん、ごく一部の人間嫌いの人は例外であるが。
清純白河に、しゃれた店が増えたから若者が集まるようになったかの記載があるが、単に、多くのマンションができて、通勤利便性の観点から多くの若者が住み始めた結果として多くのしゃれた店ができただけのことである。原因と結果が逆である。
これから多死社会が進んで相続によって住宅が投げ売りされるようになるとの表現があるが、現在住んでいる古い港区のマンションを見ている限り、そういった現象は全く認められない。当然、高齢者は亡くなっていくが、その子供世代が世田谷区や杉並区から子供を連れて戻ってきており、新陳代謝が図られている。建物の老朽化は避けがたいが、住人の若返りは常に起こっている。なぜ、子供が戻ってくるかというと、通勤利便性と子供の学校区をはじめとする街の魅力のためであることに疑いの余地はない。
街の魅力を通勤利便性だけで語ることができないことは百も承知しているが、現代の脱工業化社会において共働きで人間が働く限り、現役サラリーマンにとっての街選びにおける最大関心事が通勤利便性であり続けることに疑いの余地はない。
まず、街で「暮らす」だけでなく、「働く」「遊ぶ」「買い物する」「寛ぐ」といった要素が求められるようになるとの論考には全く異論はないが、「通勤利便性」が街を選ぶ際の重要ポイントでなくなるとの説には全く賛成できない。
今後、在宅勤務が拡大して通勤が不要になるので、その視点から家・街を選ぶ必要があると言うが、在宅勤務で生産性を維持できるような職種は極めて限られていることから、残念ながら、そのような夢のような世界は絶対に来ない。
むしろ、大手町、丸の内で進行するオフィス建替えラッシュによるオフィスのさらなる集積に見られるとおり、生産性の観点から、今後、より狭いエリアにより多くの人間が集まって働くようになる。この流れは、脱工業化した世界のどの都市にも共通して見られる。人間の仕事が全てコンピューターに取って代わられるような時代が来ない限り、サラリーマンが通勤から解放されることはない。これから30年後には、より多くのサラリーマンがよりオフィスの近くに集住するようになることは間違いない。
したがって、郊外にますます空き家が増えることになるが、その流れを止めることは、昔の炭鉱地帯に空き家が沢山あるから使えというのに等しいくらい困難なことである。人が集まることによって文化が生まれ、その文化がまた人を引き付けることは、東京やマンハッタンを見れば明白である。人口が減る郊外は人を引き付ける魅力を失っていく。もちろん、ごく一部の人間嫌いの人は例外であるが。
清純白河に、しゃれた店が増えたから若者が集まるようになったかの記載があるが、単に、多くのマンションができて、通勤利便性の観点から多くの若者が住み始めた結果として多くのしゃれた店ができただけのことである。原因と結果が逆である。
これから多死社会が進んで相続によって住宅が投げ売りされるようになるとの表現があるが、現在住んでいる古い港区のマンションを見ている限り、そういった現象は全く認められない。当然、高齢者は亡くなっていくが、その子供世代が世田谷区や杉並区から子供を連れて戻ってきており、新陳代謝が図られている。建物の老朽化は避けがたいが、住人の若返りは常に起こっている。なぜ、子供が戻ってくるかというと、通勤利便性と子供の学校区をはじめとする街の魅力のためであることに疑いの余地はない。
街の魅力を通勤利便性だけで語ることができないことは百も承知しているが、現代の脱工業化社会において共働きで人間が働く限り、現役サラリーマンにとっての街選びにおける最大関心事が通勤利便性であり続けることに疑いの余地はない。
2019年1月15日に日本でレビュー済み
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筆者の育ちはいいなと感じた。
僕の育ちは、良くもなく悪くもなく。仕事柄、家庭柄、中から下に住んでいた僕の感想です。
今回の筆者の本の始まりは、河川から道路、地下鉄へと続いた。
環状道路は、八本の内、環でくくっているのは、1号線だけなのか。
進学校の盛衰と街の盛衰が強くリンクしているとは、知らなかった。街選びは、学校選びの時代となっているようだ。
オリンピック開催以降の東京の姿が書かれてる。
人が集まる街ほど不動産の価値が上がるのは、分かっていたが、65歳以上の高齢者が、200万人の大台を越えて、その内の後期高齢者が101万人とも恐い数字を知った。その下の団塊の世代は、郊外へと拡散したのは、筆者の言うように人口動態から見れた。
大量の相続の発生からどうなるかは、想像つく。
もう少し待てば、現在の相場よりずっと安い価格で家を買う、住むが出来る現実が見えている。
投資用マネーには循環があるそうで、、僕が住めそうな現実も、後少しだ!頑張る。
鉄道会社へは、東京都心の上り電車中心の戦略から、下り電車を売りにする戦略への転換を薦めてる。都心から人を招き入れる機能が必要なのだと。僕の収入の柱とは関係ないから、ここは流すとして、色々な線がごった返してきた今、沿線ブランドなんてものは、確かに崩壊してきていると感じる。
オフィスや、商業空間の招致は、新たな街の活性化やブランド作りにはなるが、隣駅を見ると、昔のままとかあるなと思う。街の賑わいは、結局駅近かと思う。
空き家の第一人者である筆者の叫びは、警告とまでなり続けている。
景観、治安、災害は、二次災害を誘発するリスクがあるとのこと。
最終的に、街のスラム化となり、風が吹き荒れるは、避けたいものだ。
税金や維持管理の放置が問題で、街がスポンジのようにスカスカと、恐い表現をされている。
コミュニティの維持が難しく、人が寄り付かない、高齢者の取り残されるというループは危険だと、僕も思う。
空き家問題は、不動産物件の価値を下げるだけでなく、街全体の資産価値を下げると言い切られている。
企業のコワーキング施設、シェアオフィスの会員が大企業、固定費を変動費へ振替は、企業のメリットも大きい。
社員の通勤がなくなるメリット、街で過ごす時間が増える価値は、これまでのように、多くのお金や時間を費やして、住まいを所有しなければならなかった日本人のあり方や生き方まで変えると筆者は言う。
都内のオフィスビルの需要はなくなってくるから、何処かが寒くなることも予測出来る。
ブランド住宅の一つは、震災、災害があった日本では、高台が良いと言われる。
タワーマンションは、外国人投資家や住民層が多岐にわたるため、管理組合のコミュニティ議論の噛み合わないケースの予測もされる。沿岸部のマンションであれば、塩害のリスクも想定されるが、都心から近い、マンション内での施設の健康維持もと良い点もあることに、何れにしても住んでみたい、でも僕にはお金がないとぼやきも出る。
色々な街に住むデメリット、メリットを書かれている。
筆者は、若い世代に新築住宅へのこだわりを一考して、歴史を刻んだ古い建物やコミュニティを大切にメンテナンスしながらの、生活する道も、選択肢にと言っている。
団地の中で若い人、外国人の手により復活している街の歩みも、現実化しているそうだ。
色々な街がある中で、大学のある街は、緑も飲食店も多くありお薦めなようだ。
若い人々と大学と街が繋がるエリアは確かに魅力的だ。
住まいの選択肢は、背伸びをしない範囲で選ぶのは、筆者の言うように大事なことだと感じる。
思えば、治安の良い街、悪い街、安い街、色々と住んできたけれど、いつかは、高い街、賑わいのある街に、根を下ろしたい願望が僕にはある。
日本のライフスタイルの変化が、住まい選びの価値基準を変える、住まい選びを根本から覆すことになる。
自分らしく生きる、
新陳代謝の良い街に住む、
賑わいのある街に住む、
街間格差の中で、住まいの背後にある盛衰が大事と知る。
それぞれの街の集合体のある東京について、細かく書かれていたが、その異なりが面白いと感じた。
街選びは、何にしても懐との相談だから、僕ももう少し、頑張っていく。
良いコミュニティを築けているプラットホームにいたいと切に願う。
この一冊で、毎回思うが、日本の歴史を知り、これからの未来予測を知ることが出来る。
それぞれの心掛けが、街を良く作り上げて行く。良い街に、僕は住みたい。
僕の育ちは、良くもなく悪くもなく。仕事柄、家庭柄、中から下に住んでいた僕の感想です。
今回の筆者の本の始まりは、河川から道路、地下鉄へと続いた。
環状道路は、八本の内、環でくくっているのは、1号線だけなのか。
進学校の盛衰と街の盛衰が強くリンクしているとは、知らなかった。街選びは、学校選びの時代となっているようだ。
オリンピック開催以降の東京の姿が書かれてる。
人が集まる街ほど不動産の価値が上がるのは、分かっていたが、65歳以上の高齢者が、200万人の大台を越えて、その内の後期高齢者が101万人とも恐い数字を知った。その下の団塊の世代は、郊外へと拡散したのは、筆者の言うように人口動態から見れた。
大量の相続の発生からどうなるかは、想像つく。
もう少し待てば、現在の相場よりずっと安い価格で家を買う、住むが出来る現実が見えている。
投資用マネーには循環があるそうで、、僕が住めそうな現実も、後少しだ!頑張る。
鉄道会社へは、東京都心の上り電車中心の戦略から、下り電車を売りにする戦略への転換を薦めてる。都心から人を招き入れる機能が必要なのだと。僕の収入の柱とは関係ないから、ここは流すとして、色々な線がごった返してきた今、沿線ブランドなんてものは、確かに崩壊してきていると感じる。
オフィスや、商業空間の招致は、新たな街の活性化やブランド作りにはなるが、隣駅を見ると、昔のままとかあるなと思う。街の賑わいは、結局駅近かと思う。
空き家の第一人者である筆者の叫びは、警告とまでなり続けている。
景観、治安、災害は、二次災害を誘発するリスクがあるとのこと。
最終的に、街のスラム化となり、風が吹き荒れるは、避けたいものだ。
税金や維持管理の放置が問題で、街がスポンジのようにスカスカと、恐い表現をされている。
コミュニティの維持が難しく、人が寄り付かない、高齢者の取り残されるというループは危険だと、僕も思う。
空き家問題は、不動産物件の価値を下げるだけでなく、街全体の資産価値を下げると言い切られている。
企業のコワーキング施設、シェアオフィスの会員が大企業、固定費を変動費へ振替は、企業のメリットも大きい。
社員の通勤がなくなるメリット、街で過ごす時間が増える価値は、これまでのように、多くのお金や時間を費やして、住まいを所有しなければならなかった日本人のあり方や生き方まで変えると筆者は言う。
都内のオフィスビルの需要はなくなってくるから、何処かが寒くなることも予測出来る。
ブランド住宅の一つは、震災、災害があった日本では、高台が良いと言われる。
タワーマンションは、外国人投資家や住民層が多岐にわたるため、管理組合のコミュニティ議論の噛み合わないケースの予測もされる。沿岸部のマンションであれば、塩害のリスクも想定されるが、都心から近い、マンション内での施設の健康維持もと良い点もあることに、何れにしても住んでみたい、でも僕にはお金がないとぼやきも出る。
色々な街に住むデメリット、メリットを書かれている。
筆者は、若い世代に新築住宅へのこだわりを一考して、歴史を刻んだ古い建物やコミュニティを大切にメンテナンスしながらの、生活する道も、選択肢にと言っている。
団地の中で若い人、外国人の手により復活している街の歩みも、現実化しているそうだ。
色々な街がある中で、大学のある街は、緑も飲食店も多くありお薦めなようだ。
若い人々と大学と街が繋がるエリアは確かに魅力的だ。
住まいの選択肢は、背伸びをしない範囲で選ぶのは、筆者の言うように大事なことだと感じる。
思えば、治安の良い街、悪い街、安い街、色々と住んできたけれど、いつかは、高い街、賑わいのある街に、根を下ろしたい願望が僕にはある。
日本のライフスタイルの変化が、住まい選びの価値基準を変える、住まい選びを根本から覆すことになる。
自分らしく生きる、
新陳代謝の良い街に住む、
賑わいのある街に住む、
街間格差の中で、住まいの背後にある盛衰が大事と知る。
それぞれの街の集合体のある東京について、細かく書かれていたが、その異なりが面白いと感じた。
街選びは、何にしても懐との相談だから、僕ももう少し、頑張っていく。
良いコミュニティを築けているプラットホームにいたいと切に願う。
この一冊で、毎回思うが、日本の歴史を知り、これからの未来予測を知ることが出来る。
それぞれの心掛けが、街を良く作り上げて行く。良い街に、僕は住みたい。
2019年1月31日に日本でレビュー済み
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もっとデータを盛り込んだ骨太の論評かと思ったら、東京育ちの不動産事業者のエッセーだった。
伝聞や主観に基づいて「これからどの町が輝くか、くすむか」、23区それぞれについて簡単に列挙しているが、そもそも「輝く、くすむ」って何なのか、明確に定義されず、よくわからない。
「沿線(通勤の利便性)」でなく「街(職住のどちらにも対応できるインフラなど)」をベースに東京を見直すと、今後住むのに良さそうな街はどこか、という意図のようだが、近視眼的。例えば二子玉川は楽天が去ってしまえば一気に人の流れが変わりかねない。「くすむ」とされた自由が丘も、例えばWeWorkが中規模の拠点でも作って進出したら話はガラッと変わるということ?
これから20-30年先を見越した話をしたいなら、大きな災害の時に火事などのリスクの高さも想定してみて、街が輝き続けられるためになにが必要か、などの洞察が欲しかった。
期待して買っただけに残念。
伝聞や主観に基づいて「これからどの町が輝くか、くすむか」、23区それぞれについて簡単に列挙しているが、そもそも「輝く、くすむ」って何なのか、明確に定義されず、よくわからない。
「沿線(通勤の利便性)」でなく「街(職住のどちらにも対応できるインフラなど)」をベースに東京を見直すと、今後住むのに良さそうな街はどこか、という意図のようだが、近視眼的。例えば二子玉川は楽天が去ってしまえば一気に人の流れが変わりかねない。「くすむ」とされた自由が丘も、例えばWeWorkが中規模の拠点でも作って進出したら話はガラッと変わるということ?
これから20-30年先を見越した話をしたいなら、大きな災害の時に火事などのリスクの高さも想定してみて、街が輝き続けられるためになにが必要か、などの洞察が欲しかった。
期待して買っただけに残念。