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街道をゆく 20 中国・蜀と雲南のみち Kindle版
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言語日本語
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出版社朝日新聞出版
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発売日2008/12/30
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ファイルサイズ2955 KB
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
中国・江南の旅に区切りをつけて飛んだ「蜀」の国、四川省。いまなお広大な田畑を潤す古代のダム都江堰の存在感は大きく、「おそらく年を経てもわすれないたぐい」の記憶と書かせた。さらに足を伸ばした「古代西南夷」の国、雲南省では、日本の稲作文化の源泉を検証。「少数民族のショーケース」ともいえる地への念願の旅に、生来の小民族好きの著者の筆も踊っているかのようだ。
--このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
司馬/遼太郎
1923年大阪府生まれ。大阪外事専門学校(現大阪外国語大学)蒙古科卒業。60年『梟の城』直木賞受賞。75年芸術院恩賜賞受賞。93年文化勲章受章。96年死去。主な作品に『国盗り物語』(菊池寛賞)、『世に棲む日日』(吉川英治文学賞)、『ひとびとの跫音』(読売文学賞)、『韃靼疾風録』(大仏次郎賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
1923年大阪府生まれ。大阪外事専門学校(現大阪外国語大学)蒙古科卒業。60年『梟の城』直木賞受賞。75年芸術院恩賜賞受賞。93年文化勲章受章。96年死去。主な作品に『国盗り物語』(菊池寛賞)、『世に棲む日日』(吉川英治文学賞)、『ひとびとの跫音』(読売文学賞)、『韃靼疾風録』(大仏次郎賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B00NPR966E
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2008/12/30)
- 発売日 : 2008/12/30
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 2955 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 198ページ
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 146,939位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 1,732位直木賞受賞(26-50回)作家の本
- - 7,121位歴史・地理 (Kindleストア)
- - 17,606位日本の小説・文芸
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
5つ星のうち4.3
星5つ中の4.3
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年7月10日に日本でレビュー済み
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かつて劉邦が治め、諸葛孔明が活躍した地・蜀(四川省)。諸葛孔明を祀った武侯祠を訪れ、『三国志』や英雄たちに思いをはせる。また、かつて雲南省で暮らしていた民族「西南夷」が日本人の祖先ではないかとの思いを巡らせ、昆明へ向かう。
役に立った
2013年8月16日に日本でレビュー済み
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週刊朝日1982年3月19日〜9月3日号に連載
蜀のみち、雲南のみち
はるかな地/入蜀/蜀人の清潔/コンニャク問答/成都散策/風薫る海椒/鬼の肉/古代のダム/潅県の農家/孔明と紙/陳寿と孔明/孔明の政治/葛巾の像/浣花村/竹の園/古代西南夷/銀樺の町/睡美人/しん池登高記/大航海者/昆明の昼寝/人間の集団のおそろしさ/イ族の村/石造アーチ橋/張飛の図/昆明路傍
三国(魏呉蜀)時代とは狭義では後漢滅亡(220年)から、広義では黄巾の乱の蜂起(184年)による漢朝の動揺から、西晋による中国再統一(280年)までである
229年までに魏(初代皇帝:曹丕)、蜀(蜀漢)(初代皇帝:劉備)、呉(初代皇帝:孫権)が成立、中国国内に3人の皇帝が同時に立った
魏は長安、洛陽を含む現在の黄河流域、呉は長江以南、蜀は四川省成都、重慶を含んだ地域である
蜀の劉備と諸葛孔明の話に尽きる、雲南は少数民族が多い土地であることも知る
コンニャクを食すのはこの地域と日本人だけであることも知る
司馬の中国旅は、日本の旅に比べると、19巻20巻といつもより早く読み終わってしまったのは説明口調がいつもより少ないせいであろうか
成都は数年前大地震で有名になったが人口は1300万、四川省全体で8000万という大きな省で近隣の工業都市である重慶はさらに多く2900万人にもおよび、この両都市が内陸部の中心をなしている
蜀のみち、雲南のみち
はるかな地/入蜀/蜀人の清潔/コンニャク問答/成都散策/風薫る海椒/鬼の肉/古代のダム/潅県の農家/孔明と紙/陳寿と孔明/孔明の政治/葛巾の像/浣花村/竹の園/古代西南夷/銀樺の町/睡美人/しん池登高記/大航海者/昆明の昼寝/人間の集団のおそろしさ/イ族の村/石造アーチ橋/張飛の図/昆明路傍
三国(魏呉蜀)時代とは狭義では後漢滅亡(220年)から、広義では黄巾の乱の蜂起(184年)による漢朝の動揺から、西晋による中国再統一(280年)までである
229年までに魏(初代皇帝:曹丕)、蜀(蜀漢)(初代皇帝:劉備)、呉(初代皇帝:孫権)が成立、中国国内に3人の皇帝が同時に立った
魏は長安、洛陽を含む現在の黄河流域、呉は長江以南、蜀は四川省成都、重慶を含んだ地域である
蜀の劉備と諸葛孔明の話に尽きる、雲南は少数民族が多い土地であることも知る
コンニャクを食すのはこの地域と日本人だけであることも知る
司馬の中国旅は、日本の旅に比べると、19巻20巻といつもより早く読み終わってしまったのは説明口調がいつもより少ないせいであろうか
成都は数年前大地震で有名になったが人口は1300万、四川省全体で8000万という大きな省で近隣の工業都市である重慶はさらに多く2900万人にもおよび、この両都市が内陸部の中心をなしている
2016年7月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
三国志で有名な蜀を取り上げた巻ということで、興味を持って読んでみました。
諸葛亮は奇士であり、政治家史の中ではなく物語の中で生きる人、という評価にうなずけました。
既に強大な国になっていた魏にも、それなりの勢力を持つ呉にも仕えられたのに、わざわざ領土も持たない劉備に仕え、新たに一国を興そうと図るのは、ロマンこそあれど現実的には無理のある計画でした。
そのため40年ほどで蜀は滅びますが、諸葛亮と劉備の名は不滅のものとして今も残っている、というのが歴史の面白いところですね。
巻末には「中国への侵略の事実を受け止めるだけの精神的・知的体力を失うと日本はつかのまに衰弱する」という旨の警句が載っています。
この予言は現在の日本において実現してしまっており、30年前にすでにそれを見抜いていた司馬氏の慧眼に感嘆すると共に、今後の日本の道行きに不安を感じずにはいられませんでした。
諸葛亮は奇士であり、政治家史の中ではなく物語の中で生きる人、という評価にうなずけました。
既に強大な国になっていた魏にも、それなりの勢力を持つ呉にも仕えられたのに、わざわざ領土も持たない劉備に仕え、新たに一国を興そうと図るのは、ロマンこそあれど現実的には無理のある計画でした。
そのため40年ほどで蜀は滅びますが、諸葛亮と劉備の名は不滅のものとして今も残っている、というのが歴史の面白いところですね。
巻末には「中国への侵略の事実を受け止めるだけの精神的・知的体力を失うと日本はつかのまに衰弱する」という旨の警句が載っています。
この予言は現在の日本において実現してしまっており、30年前にすでにそれを見抜いていた司馬氏の慧眼に感嘆すると共に、今後の日本の道行きに不安を感じずにはいられませんでした。
ベスト1000レビュアー
三国志で劉備元徳が建国した舞台として日本人には馴染め深い蜀と、完全に未開で蛮族の暮らす辺境として描かれる雲南の地をめぐる紀行。施政者としての諸葛亮孔明も日本でお馴染みだが、現代でも色濃く昔日の面影が残っている様子に感興を覚えた。三国志では諸葛亮に征伐された辺境の地でイメージの良くない雲南だが、実際は気候に恵まれ1年中花が咲いているような暮らし易い土地であり、日本に似ているようだ。現代でも少数民族の暮らすこの地に日本人のルーツを見出す司馬遼太郎の見解はとても興味深い。とても一般の日本人が気軽に行ける地ではないが、いつかは行ってみたいと思ったのは私だけではあるまい。
2015年10月3日に日本でレビュー済み
朝日文庫/司馬遼太郎=著『街道をゆく 20』のレビュー。
副題は「中国・蜀と雲南のみち」。
「蜀」といえば、『三国志』でおなじみの国名だ。
当然、劉備や孔明についても述べてある。
蜀漢の首都・成都には孔明の祠廟である武候祠(ぶこうし)もある。
司馬の文章からは、劉備にも孔明にも好意的なことがうかがえる。
劉備は死を前にして孔明に言ったという。
「もし私が死んで、子(劉禅)が皇帝として役不足だと思ったら、君が皇帝になれ」と。
この言は、儒教社会においては尋常なことではない。
「劉備の人間的魅力はこの遺言に尽きているといってよい」。
本巻でよく分かることは、中国が多民族国家であるということだ。
五十六種ともいわれる少数民族は、それぞれが別国人といっても良いぐらいの文化的多様性を持っており、第19巻の『中国・江南のみち』でも、「その多様性はヨーロッパ大陸の諸国間の文化のちがいよりも、よほどはなだしいぐらいだ」と司馬は述べていた。
ヨーロッパでさえひとつの国家にすることが困難(というより不可能)なのに、それ以上の多様な文化を持つ民族を、一党独裁の強権と軍事力でかろうじてまとめているのが中国なのだ。
中国が国内外に高圧的な言動をとる背景に、上述のようなことがあるのは念頭に置いておかねばなるまい。
なお本巻では、司馬にしてはめずらしく、ある俳優の名前を出している。
「○○ ○は日本映画の伝統のなかで最後に位置する大俳優かと思うが(略)。」
さぁ、誰でしょう!?
読んで見つけて下さいネ(^^)/
副題は「中国・蜀と雲南のみち」。
「蜀」といえば、『三国志』でおなじみの国名だ。
当然、劉備や孔明についても述べてある。
蜀漢の首都・成都には孔明の祠廟である武候祠(ぶこうし)もある。
司馬の文章からは、劉備にも孔明にも好意的なことがうかがえる。
劉備は死を前にして孔明に言ったという。
「もし私が死んで、子(劉禅)が皇帝として役不足だと思ったら、君が皇帝になれ」と。
この言は、儒教社会においては尋常なことではない。
「劉備の人間的魅力はこの遺言に尽きているといってよい」。
本巻でよく分かることは、中国が多民族国家であるということだ。
五十六種ともいわれる少数民族は、それぞれが別国人といっても良いぐらいの文化的多様性を持っており、第19巻の『中国・江南のみち』でも、「その多様性はヨーロッパ大陸の諸国間の文化のちがいよりも、よほどはなだしいぐらいだ」と司馬は述べていた。
ヨーロッパでさえひとつの国家にすることが困難(というより不可能)なのに、それ以上の多様な文化を持つ民族を、一党独裁の強権と軍事力でかろうじてまとめているのが中国なのだ。
中国が国内外に高圧的な言動をとる背景に、上述のようなことがあるのは念頭に置いておかねばなるまい。
なお本巻では、司馬にしてはめずらしく、ある俳優の名前を出している。
「○○ ○は日本映画の伝統のなかで最後に位置する大俳優かと思うが(略)。」
さぁ、誰でしょう!?
読んで見つけて下さいネ(^^)/
ベスト500レビュアー
ちょうどこれから展開する四川と雲南。
その地域を歴史的視点から眺めることの意味を知った。
その地域には、歴史というものが流れていた。
そして、歴史と人と生活が連関していた。
「鍬や鋤などの鉄板のふちに赤味噌や白味噌で壁を築き、
その中央に肉やネギをおく。
煮えるにつれて赤白のみその壁が
だんだん溶け、中身が程良い味になっていく。」
極端にいえば、もともと漢民族
というものは存在しなかった。
高度の土器生産に長じた民族が
最初にこの可能性の高い大陸にやってきて住み着き、
ついで青銅冶金に長じた民族がきて、
殷帝国を造り、さらにそれよりも
治金能力は粗本ながら政治・軍事という
集団統御に長じた民族がやってきて、
この大陸の農業生産を飛躍させ、
新興地主の乱立する乱世の中で
古代的生産社会が崩された。
ついで、西方に発生した遊牧文明が東に移って、
中国大陸の周辺を大きく取り囲むが、
これらとは別に長江(揚子江)水系にあって
稲作を興した民族が、大陸の文明に多様性を与えていく。
長江流域の稲作圏は、当時、楚と呼ばれた。
楚を代表する当時の大親分は、
項羽(紀元前232~202年)であった。
四川省は、古代タイ語系のひとびと。
雲南は、日本の源流になるのではないか?
李白(701~762)
西域の貿易商人の子 イラン系
アア危キカナ 高キカナ
蜀道ノ難キハ 青天ニ上ルヨリモ難シ
竹添井井(進一郎)桟雲峡雨日記 明治9年
熊姓の人を祖とする → 神代
西晋時代(265~316)
左思 「三都賦」に蒟蒻がでてくる。
酢にしたして食ったという。
磨芋豆腐 雪磨芋 芋角
コンニャクは 雲南が自生地で
伝わったのが タイから 台湾 日本へ。
上海には コンニャクを食べる風習がなかった。
そして、いまは日本のコンビニが
上海でコンニャクをおでんにしている。
まわり、めぐる。
杜甫 712~770
48歳の時 成都にはいる。
司馬遼太郎の疑問は、「なぜ杜甫は、仕事をしなかったのか?」
宦官としてすぐれていたのは、
紙の発明をした 政官 蔡倫 後漢中期
明 鄭和 雲南出身
雲南には 優れた人がいたが 今は のんびりしている。
その地域を歴史的視点から眺めることの意味を知った。
その地域には、歴史というものが流れていた。
そして、歴史と人と生活が連関していた。
「鍬や鋤などの鉄板のふちに赤味噌や白味噌で壁を築き、
その中央に肉やネギをおく。
煮えるにつれて赤白のみその壁が
だんだん溶け、中身が程良い味になっていく。」
極端にいえば、もともと漢民族
というものは存在しなかった。
高度の土器生産に長じた民族が
最初にこの可能性の高い大陸にやってきて住み着き、
ついで青銅冶金に長じた民族がきて、
殷帝国を造り、さらにそれよりも
治金能力は粗本ながら政治・軍事という
集団統御に長じた民族がやってきて、
この大陸の農業生産を飛躍させ、
新興地主の乱立する乱世の中で
古代的生産社会が崩された。
ついで、西方に発生した遊牧文明が東に移って、
中国大陸の周辺を大きく取り囲むが、
これらとは別に長江(揚子江)水系にあって
稲作を興した民族が、大陸の文明に多様性を与えていく。
長江流域の稲作圏は、当時、楚と呼ばれた。
楚を代表する当時の大親分は、
項羽(紀元前232~202年)であった。
四川省は、古代タイ語系のひとびと。
雲南は、日本の源流になるのではないか?
李白(701~762)
西域の貿易商人の子 イラン系
アア危キカナ 高キカナ
蜀道ノ難キハ 青天ニ上ルヨリモ難シ
竹添井井(進一郎)桟雲峡雨日記 明治9年
熊姓の人を祖とする → 神代
西晋時代(265~316)
左思 「三都賦」に蒟蒻がでてくる。
酢にしたして食ったという。
磨芋豆腐 雪磨芋 芋角
コンニャクは 雲南が自生地で
伝わったのが タイから 台湾 日本へ。
上海には コンニャクを食べる風習がなかった。
そして、いまは日本のコンビニが
上海でコンニャクをおでんにしている。
まわり、めぐる。
杜甫 712~770
48歳の時 成都にはいる。
司馬遼太郎の疑問は、「なぜ杜甫は、仕事をしなかったのか?」
宦官としてすぐれていたのは、
紙の発明をした 政官 蔡倫 後漢中期
明 鄭和 雲南出身
雲南には 優れた人がいたが 今は のんびりしている。
殿堂入り
本書では、中国の歴史の舞台となった蜀のみちが面白い。
まず、戦国時代。秦が蜀を食糧基地にして中国統一の足がかりとした土木工事の跡、都江堰を訪れる。著者は地形の描写が巧みだが、本書では図も添えて、工事がどのように行われ、それが蜀の地にどれだけの恵みをもたらしたかを詳しく述べる。都江堰は名前だけはよく聞くが、その構造を詳しく解説してくれるのは有難い。
次に三国志の時代。特に孔明を祀った武侯祠を、杜甫の名詩・蜀相を思い浮かべながら訪問する章が本書のハイライトだろう。この章に限らず、数章を費やして孔明とその政治について論じており、著者の三国志観を知ることができて興味深い。要するに孔明は三国鼎立を実現した「時勢のなかの芸術的作者」であり、北伐不成功をもって軍事的才能を云々するより、蜀漢帝国を保たせた驚きを、正史の著者・陳寿は持つべきだったとする。私も同意見だ。
そして唐の時代。杜甫がその人生で穏やかな生活を営んだ浣花渓を訪れる。もちろん杜甫の詩を引用するのだが、著者の漢詩への造詣の深さが披露される。
歴史と詩の舞台、蜀への旅は有意義だったに違いない。
まず、戦国時代。秦が蜀を食糧基地にして中国統一の足がかりとした土木工事の跡、都江堰を訪れる。著者は地形の描写が巧みだが、本書では図も添えて、工事がどのように行われ、それが蜀の地にどれだけの恵みをもたらしたかを詳しく述べる。都江堰は名前だけはよく聞くが、その構造を詳しく解説してくれるのは有難い。
次に三国志の時代。特に孔明を祀った武侯祠を、杜甫の名詩・蜀相を思い浮かべながら訪問する章が本書のハイライトだろう。この章に限らず、数章を費やして孔明とその政治について論じており、著者の三国志観を知ることができて興味深い。要するに孔明は三国鼎立を実現した「時勢のなかの芸術的作者」であり、北伐不成功をもって軍事的才能を云々するより、蜀漢帝国を保たせた驚きを、正史の著者・陳寿は持つべきだったとする。私も同意見だ。
そして唐の時代。杜甫がその人生で穏やかな生活を営んだ浣花渓を訪れる。もちろん杜甫の詩を引用するのだが、著者の漢詩への造詣の深さが披露される。
歴史と詩の舞台、蜀への旅は有意義だったに違いない。
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