朔太郎よ。哀しみの中に居て、一人祝福された詩人よ。貴方は幸せを知っているのです。晩年の作であろう『虚無の歌』で貴方は言っているではありませんか。
「私は老い、肉慾することの熱を無くした。墓と、石と、蟾蜍とが、地下で私を待っているのだ」
「今や、かくして私は、過去に何物をも喪失せず、現に何物をも失はなかった。私は喪心者のやうに空を見ながら、自分の幸福に満足して、今日も昨日も、ひとりで閑雅な麦酒を飲んでる。虚無よ！雲よ！人生よ」
幸せな方よ！どうか先にやってて下さい。私も後から、貴方に会いに向かいます。
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