シニカルなコメディを理解できない日本では評価が少なかった作品だが、フラバルの原作、メンツェルの演出、ブジェジナの音楽がうまく融合した作品だった。日本ではなじみの少ないブジェジナの「この素晴らしき世界」が廃盤になって久しいので、久々に聞ける独特の雰囲気がうれしい。
チェコ本国では出版されず、イギリスの原版らしいが、最近のサウンドトラックCDの発売のご多分に漏れず、中身はほとんど輸入盤のままだ。申し訳程度に入っている日本語解説も、タワーレコードの店員が(販売店かよ!)書いたものだが、ほぼ英語の解説を訳している程度でこれといった目新しい記述もない。チェコ映画にしても、メンツェルにしても、ブジェジナにしてももっと書くことが沢山あるはず。かってのサントラ出版会社のSLC関係者には、チェコ映画に詳しい人が「厳重に監視された列車」「スイートスイートビレッジ」などの映画解説を書いていたではないか。
金をかけずにCD販売をしているのだろうが、もう少し努力をすれば日本版の付加価値も上がるはず。この程度だったら、タワーレコードでも販売している安めの輸入盤を買うことをお勧めする。