実はこの前に読んだ選書の出来があまり良くなくて(少なくとも僕は好きではなくて)、少し購入を躊躇っていたのだが読んでみると、平易で充実な内容であることに気付き、これは当たりだなと感じています。
プレスの時代から、現代に至るまでのイギリスにおけるメディアの歴史を丁寧に記述しながらも、読み物としても引き付けられるエピソードをバランスよく配置しています。社会史的な視点をもった一連のメディア研究(パトリス・フリッシーやキャロリン・マーヴィン)を読んだ後にこちらを読むと、イギリスからヨーロッパ、アメリカにかけての近代のメディア環境の様子がすっきりと整理されたような気になってしまう。選書と侮るなかれ。
僕が特に読んでみたらいいのではと感じたのは、これからイギリスのメディア研究の大学院に進まれる学生の皆さん。僕自身修士をイギリスでもとっているのですが、これを読んでいたらもっとすっきり話が分かったかなあと思いました。資料編も添付されているので、イギリスに持ち込んでも前半は役にたつかと。
一点だけ気になったのは(読み物として読まれる方は問題ないと思います)、参考文献がタイトル順に並ぶので、著者順で探す癖のある方には少し戸惑いがあるかもという点ぐらいでしょうか。
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英国メディア史 (中公選書) 単行本(ソフトカバー) – 2011/11/9
政治権力と戦い、大衆の興味をかきたてる! 新聞・放送の生成変転と、個性豊かなメディア人たち。500年の歴史を活写した大著
- 本の長さ429ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2011/11/9
- ISBN-104121100042
- ISBN-13978-4121100047
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
「はじめにプレスありき」といわれた初発期から、「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」の廃刊まで。500年を超える変転のすがたを描くなかで、政治権力と絶えず緊張関係にあり、多様なジャーナリストによって担われた特異な歴史を活写。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
小林/恭子
1958年生まれ。成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、米投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ」の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウォッチ」、ニュースサイト「ニューズマグ」を運営しながら、新聞業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1958年生まれ。成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、米投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ」の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウォッチ」、ニュースサイト「ニューズマグ」を運営しながら、新聞業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2011/11/9)
- 発売日 : 2011/11/9
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 429ページ
- ISBN-10 : 4121100042
- ISBN-13 : 978-4121100047
- Amazon 売れ筋ランキング: - 914,494位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 427位イギリス・アイルランド史
- - 3,720位ヨーロッパ史一般の本
- カスタマーレビュー:
著者について
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新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」には、英国の国立公文書館にある歴史上の面白エピソードをたくさん入れました。良かったら、書店などでお手に取ってみてください。成城大学芸術学科映画科を卒業後、読売新聞の英字紙「デイリー・ヨミウリ」(現「ジャパン・ニュース」)に記者として勤務。2002年渡英し、フリーランスジャーナリストに。英国を中心に欧州各国の社会・経済・政治事情を執筆。連載「英国メディアを読み解く」(「英国ニュースダイジェスト」)、「欧州事情」(「メディア展望」)、「最新メディア事情」(「GALAC])ほか多数。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年3月26日に日本でレビュー済み
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4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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ベスト1000レビュアー
題名のとおり、15世紀から21世紀までの英国メディアの歴史を非常に丹念に追った本。この600年は、もともと反権力としてはじまったメディアが権力の一部になっていく過程でもある。新聞は3S(戦争と政治と宗教)と密接にかかわりあいながら発展し、そして、3S(セックスとスポーツとスキャンダル)によって社会の隅々にまで浸透していった。インターネット、SNSといった新しいインフラが普及するなか、新聞、テレビといったオールドメディアはどのように変容していくのか。ロンドンを久しぶりに訪れたすぐ後に読み始めたこともあり、新発見とともに、いろいろと腑に落ちることがあった。
個人的には、印刷業の黎明期から、ラジオ放送が始まるまでの新聞業界の話がおもしろかった。娯楽や広告との縁がまだ薄かったころの新聞の存在意義は、社会の公器としての役割であり、政治や戦争の動向にも直接的な影響力を与える力があった。いま、その役割は新聞ではなく、ソーシャルメディアが負っているといっていいだろう。印刷物が世の中に出回りはじめてから600年。その歴史をたどることで、今起きているSNSの普及や、電子書籍の浸透がメディアにとって、社会にとってどういう意味をもつものなのか、冷静に考えることができる。翻訳書、新聞、ラジオ、テレビ。オールドメディアとされているこれらも、出てきた当時は世の中を驚かし、ときの権力者をあたふたさせ、巨大なビジネスチャンスを生んだのである。
著者のリサーチ力、構成力はすばらしいが、イギリスのメディア全般に相当の興味をもっていないと最後まで読み切るのはかなりの重労働。どの章にも面白いエピソードが満載なので、「ラジオ以前」の活字メディアで一冊、電波メディアで一冊、マードックで1冊のようにテーマをしぼり、別の本にしてもよかったのではないかと思う。また、著者自身の洞察や、日米との比較などが入ると、さらに読者層はひろがると思う。折に触れて読み返せば、そのたびに新しい発見がありそうだ。
個人的には、印刷業の黎明期から、ラジオ放送が始まるまでの新聞業界の話がおもしろかった。娯楽や広告との縁がまだ薄かったころの新聞の存在意義は、社会の公器としての役割であり、政治や戦争の動向にも直接的な影響力を与える力があった。いま、その役割は新聞ではなく、ソーシャルメディアが負っているといっていいだろう。印刷物が世の中に出回りはじめてから600年。その歴史をたどることで、今起きているSNSの普及や、電子書籍の浸透がメディアにとって、社会にとってどういう意味をもつものなのか、冷静に考えることができる。翻訳書、新聞、ラジオ、テレビ。オールドメディアとされているこれらも、出てきた当時は世の中を驚かし、ときの権力者をあたふたさせ、巨大なビジネスチャンスを生んだのである。
著者のリサーチ力、構成力はすばらしいが、イギリスのメディア全般に相当の興味をもっていないと最後まで読み切るのはかなりの重労働。どの章にも面白いエピソードが満載なので、「ラジオ以前」の活字メディアで一冊、電波メディアで一冊、マードックで1冊のようにテーマをしぼり、別の本にしてもよかったのではないかと思う。また、著者自身の洞察や、日米との比較などが入ると、さらに読者層はひろがると思う。折に触れて読み返せば、そのたびに新しい発見がありそうだ。
2012年2月11日に日本でレビュー済み
イギリスの新聞の歴史を紹介しながら、イギリスの近現代史をたどることのできる異色の本。
新聞はまさにイギリスが創り上げて、現在の姿にしてきたことがよくわかる。
1500年頃活版印刷をワインづくりの圧縮機をヒントに(これがプレスの語原)として始めたウィリアム・キャクストン。
ヘンリー8世が1516年に始めた郵便制度が17世紀になり一般国民が利用できるようになってニュース配信が始まったペニーポスト制度。
広告と購読料を収入源とするニュース媒体が出てきたのが1600年代半ば。
報道の自由を求めてウィルクスが国王と戦ったのが1763年。
同じ頃王室や政治家など支配階級をユーモアたっぷりに表現する風刺画が大流行する。
そして蒸気力を使った輪転印刷機による大量印刷と広告掲載をしながら販売を行う新聞というビジネスモデルをはじめたタイムズの創刊が1785年。
社説の始まりやロビー記者制度の始まりもこの頃。
ニュース配信専門会社ロイターの始まりが1850年。
などなど、日本がお手本にした制度は、随分と早くから出来上がっていたのだと驚かされる。
ジャーナリズムのあり方もすでにこの時代に築き上げられていった。
同様に、テレビ放送の始まりとBBC(英国放送協会)の視聴料収入をもとに運営される公共放送という形態も日本がお手本にしたことがよくわかる。
その後のオーストラリア人実業家マードック氏によるサンやタイムズの買収と娯楽路線、相次ぐ値下げ合戦、無料ペーパーメトロの出現。そして盗聴事件の発生など、新聞業界を揺るがす大事件が続いて今に至っている。
本書は史実だけを丹念に追ったものだけに、インターネットによる情報革命については軽く触れらているのみだが、このような長い歴史観でメディアを見てみると、今や明らかに新聞という媒体の凋落が読みとれる。
それにしてもこの著者の取材力には敬服する。
中でもあのジョージ・オーウェルはもとBBCの記者本名エリック・ブレアで1984はBBC海外放送局がモデルで政府やメディアによるプロパガンダを風刺したという話は印象的である。
メディアとは何か、ジャーナリズムとはどうあるべきか、改めて大きな視点で考えさせられた。
新聞はまさにイギリスが創り上げて、現在の姿にしてきたことがよくわかる。
1500年頃活版印刷をワインづくりの圧縮機をヒントに(これがプレスの語原)として始めたウィリアム・キャクストン。
ヘンリー8世が1516年に始めた郵便制度が17世紀になり一般国民が利用できるようになってニュース配信が始まったペニーポスト制度。
広告と購読料を収入源とするニュース媒体が出てきたのが1600年代半ば。
報道の自由を求めてウィルクスが国王と戦ったのが1763年。
同じ頃王室や政治家など支配階級をユーモアたっぷりに表現する風刺画が大流行する。
そして蒸気力を使った輪転印刷機による大量印刷と広告掲載をしながら販売を行う新聞というビジネスモデルをはじめたタイムズの創刊が1785年。
社説の始まりやロビー記者制度の始まりもこの頃。
ニュース配信専門会社ロイターの始まりが1850年。
などなど、日本がお手本にした制度は、随分と早くから出来上がっていたのだと驚かされる。
ジャーナリズムのあり方もすでにこの時代に築き上げられていった。
同様に、テレビ放送の始まりとBBC(英国放送協会)の視聴料収入をもとに運営される公共放送という形態も日本がお手本にしたことがよくわかる。
その後のオーストラリア人実業家マードック氏によるサンやタイムズの買収と娯楽路線、相次ぐ値下げ合戦、無料ペーパーメトロの出現。そして盗聴事件の発生など、新聞業界を揺るがす大事件が続いて今に至っている。
本書は史実だけを丹念に追ったものだけに、インターネットによる情報革命については軽く触れらているのみだが、このような長い歴史観でメディアを見てみると、今や明らかに新聞という媒体の凋落が読みとれる。
それにしてもこの著者の取材力には敬服する。
中でもあのジョージ・オーウェルはもとBBCの記者本名エリック・ブレアで1984はBBC海外放送局がモデルで政府やメディアによるプロパガンダを風刺したという話は印象的である。
メディアとは何か、ジャーナリズムとはどうあるべきか、改めて大きな視点で考えさせられた。



