著者 スティーブ・ソレイシィ ありがちなビジネス英語の本には結構笑わされてしまうことが多い。あんな小難しい、入り組んだ言い回しを羅列して言っている人はまずいません。いったいどうしてそういう表現集が存在するのだろう、かねがね僕はそう疑問に思っていました。外国人と円滑なコミュニケーションを図ることが目的ではなく、一人で「へぇー、これはこういう意味なんだ」と勉強した気になるだけの本。僕にはそういった「ビジネス英語」本は本当に謎です。
そのようなビジネス英語本は一笑にふせばいいのですが、残念ながら、「やはり英語は難しい」と悪影響を及ぼしている気もします。僕が英会話を教えた経験の中でも、ある「ビジネス英語」の本をがんばって勉強しているのにいつまでたっても会話ができない生徒がいました。単語はなんとなく知っているが、どうも話せるようになりません、と。
僕からみると明らかに難しいことにこだわりすぎだけど、本人は真剣です。永遠にゴールラインが現れないマラソンを走らされているかわいいそうなビジネスパーソン。特殊な言い回しばかりをズラリと載せちゃう、そういうビジネス英語本の罪は重いと感じました。
本書は、決して、そういった「ビジネス英語」を熟知するための本ではありません。そもそも、これだけしっかりとした「ビジネス英語」というジャンルが存在するのは日本だけ。世界のビジネスパーソンが互いの意思疎通に用いているのは、基本的な英語。それを、丁寧に、正確にそして流暢に話しているだけです。本書は、そういう能力、つまり、教養ある一人の大人として世界に通用する、コミュニケーション能力を育成できるように工夫して、著しました。
英語でビジネスを行うのに、小難しい言葉、長い文章は不要です。せいぜい、自分の専門分野のほんの一握りの単語を知ってさえいれば、あとは、ごく基本的な表現を身につけるだけ。
ビジネス界には許さないことが一つあります。難しいことを言おうとして、その英文を組み立てるのに余計な時間がかかり、相手を待たせてしまうこと。そんな失敗の場面にしばしば出くわします。これでは、世界の人々と本物のコミュニケーションを図れません。まるでキッチンからまったく料理がでてこないレストランにいるような感じを与えてしまうのです。どんなに高級なことを言おうとしても、結局出てこなくては、料理がおいしくても意味がありません。
だから、社内・社外のコミュニケーションを潤滑に図るには、基本的な言葉を丁寧に、正確に、そしてペラペラに操ること。これが大切な「ペラペラ・ビジネス・コミュニケーション」です。
内容(「MARC」データベースより)
世界に通じる自己紹介の3ステップは? どうしても説得したいときには? 価格を丁寧に尋ねるには? 「ぜひ、よろしくお願いいたします」は? 「英語でどう言えばいいの?」が瞬発的に言えるようになるテキスト。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ソレイシィ,スティーブ
アメリカ・フロリダ州出身。1990年英語指導助手として岐阜県に初来日。1998年早稲田大学大学院政治経済学部でマスコミュニケーション理論を学び同大学院修士課程を修了。2009年青山学院大学大学院国際政治学研究科博士課程を修了。拓殖大学、東洋英和女学院大学の専任講師を経て、2011年ソレイシィ研究所(株)を設立。現在、同研究所の代表として日本の「英語が使える国の仲間入り」を目指した英語教材の企画開発、英語教授法の研究と人材育成、英会話コーチ、セミナー、講演などを行っている。BBT大学教授。NHKラジオ第2放送『英会話タイムトライアル』講師(2012年4月~現在)
ソレイシィ,ロビン
バージニア州生まれ。パンアメリカン大学卒業後、IBMなどの企業に勤務。米国会議員の秘書を務めた後、1972年にフロリダ州に移住。老人福祉の会社を通じ、講師としてさまざまなセミナーを担当した。在日中は、子どもから大人まで、幅広い層への英会話教授を経験(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)