日本では騒音問題について書かれた本は驚くほど少ない。
現在発売されている一般向けに書かれた騒音の専門書はこれしか無いようだ。
音がどう響くか、被害者と訴えられた加害者がどんな心理的状況に陥るか、
統計なども元にしながら書いている。
騒音問題が悲惨なのは、被害者だけでなく加害者もが被害者意識を持ち、
ひたすらこじれてしまうことが多いことだ。
この本では主に、殺人事件などの訴訟に発展した事例に多くのページが割かれている。
取り上げている問題は、集合住宅の上階の物音、近所の子どもや犬の声、などだ。
専門家向けというよりは一般向けの内容。(しかしその割に値段は高い。)
資料性は高いと思うが、著者の意見については首をかしげる部分が多い。
残念だったのは、著者の誤った見解がほとんど正されていないこと。
「今の学校は子どもを甘やかしているから騒音への耐性が下がったのだ」といった
根拠のまるで無い論を堂々と語るのは専門家としていかがなものだろうか。
「昔の日本人は西洋人と違って騒音をあまり気にしなくて偉かった、
そうした感性と取り戻すべきだ」というようなノスタルジックな考えは
経済成長における環境の変化の一切を無視してしまっている。
自動車や鉄筋建築物や拡声器が少なかった時代と感覚を単純比較をするのは
いくらなんでもナンセンスというものである。
騒音に対する見解については、パオロマッツァリーノの「怒る!日本文化論」のほうが
共感できる。被害者と加害者を曖昧にしてはならないのだ。
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