約100年前に軽く見積もって20人以上犠牲となったオクラホマ州での殺人事件の話。100年前とは言え大きな事件の為、私が知らないだけで結構有名な事件なのかと思ったが、著者曰くアメリカ人でも大半が知らない事件らしい。
1870年代、白人たちの都合で他の地域から追い出されたオセージ族と言うアメリカ先住民がオクラホマ州の一画に移住する。痩せて農耕には向かないため、白人にとっては無用と思われた土地なのだがオセージ族が移住後に石油が発見される。
当時のオセージ族には賢いリーダーがおり移住するにあたり地下資源等々にも権利が及ぶような条件で契約していた。そのため全米の石油発掘業者が事業を行う際オセージ族に掘削権のリース料を払う形になりオセージ族全体に莫大な金が転がり込むようになる。
移住から40数年後、オセージ族は全米でも屈指の富裕層となっていた(アメリカ人が自動車を持つ割合は10人に1人に対しオセージ族は1人あたり平均で10台保有していた)。有色人種や先住民に強い差別がある時代のアメリカで、オセージ族は白人を使用人に雇い、人によっては白人と結婚している者もいた。
事件の始まりはオセージ族のある姉妹の長女(アナ)の失踪から始まる。失踪から一週間後、アナは頭を拳銃で撃たれた死体となって発見される。さらに時を同じく別のオセージ族の男性がアナと同じように頭を拳銃で撃たれて死亡していた。
その後、別の犯罪で捕まった男がアナの離婚した元夫(白人)からの依頼でアナを殺したという自供をする。元夫は逮捕されるが何も証拠はない上に自供した犯罪者との接点もなく釈放される。理由は分からないが嘘の自供だった。
殺されたアナの妹(モリ―)は地元有力者である男の甥(白人)と結婚しており、その有力者である叔父の力で検察を動かしさらなる捜査を実施するも容疑者不明で迷宮入りとなる。そして数か月後アナとモリ―の母親も謎の病気で死亡。母は毒により殺されたのではないかとモリ―は疑いを持つ。
先住民族に無関心な司法当局を動かす為、資金力だけはあるモリ―たちは犯人探しに懸賞金を賭け、大牧場の経営者でお金持ちの叔父は都会から凄腕の私立探偵を雇うなどするも捜査は進展しない。さらには他のオセージ族、親先住民的な弁護士、ワシントンで連邦当局に働きかける事を約束をした石油業者の男など、次々に不審な死が続く。
この本は3部構成で、第1部はモリ―の身の回りで起こる不審死とオセージ族周辺の社会情勢、モリ―やオセージ族に関係する人物紹介。第2部は司法省捜査局(FBIの前身)局長フーヴァーの野心により派遣される捜査官の紹介と事件捜査から解決にいたるまで活躍と事件の真相、そして裁判。第3部は事件解決後、残った謎に著者が迫る内容。
金はあってもまともな国民として扱われない先住民に対し、極悪非道な白人たちと先住民から搾取するインチキ極まりない制度、正義のかけらもない地元司法関係者が絡むアメリカの暗黒史。
見出しにミステリーとして読めるノンフィクションとは書いたが、フィクションならミステリーのお約束は無視のすっきりしない話で、目的はほぼ明確に分かるが、登場人物たちの供述や発言が嘘にまみれ、誰が誰を殺したか完全にははっきりとしない複雑な犯罪。
著者は資料に基づいた事実のみを真面目に書いており、自分の推測は入れておらず至って硬派な内容。
若干の不満点としては、本の最初に【主な登場人物】として12人ほど紹介されてはいるのだが、その程度では全く足りないほど登場人物が多く、メモしながら読まないと「この人誰だっけ?」となる。(私の記憶力が弱いだけかもしれないが)
不謹慎だがノンフィクションであるにもかかわらずエンターテイメント性がある事件で面白かった。個人的には映画化して面白くなる本はほとんど無いと思っているが、この本に限っては映画化したほうが分かりやすくなるかもしれないので期待できる。(帯にスコセッシとディカプリオで映画化と書いてあった。)
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花殺し月の殺人――インディアン連続怪死事件とFBIの誕生 単行本(ソフトカバー) – 2018/5/17
| デイヴィッド グラン (著) 著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます この著者の 検索結果 を表示 |
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米英で50万部!
スコセッシ&ディカプリオ映画化!
アメリカ探偵作家クラブ賞(最優秀犯罪実話賞)受賞
《ニューヨーク・タイムズ》40週連続ベストセラー
《ウォール・ストリート・ジャーナル》ほか、年間ベストブック17冠
1920年代、禁酒法時代のアメリカ南部オクラホマ州。先住民オセージ族が「花殺しの月の頃」と呼ぶ5月のある夜に起きた2件の殺人。それは、オセージ族とその関係者20数人が、相次いで不審死を遂げる連続殺人事件の幕開けだった――。
私立探偵や地元当局が解決に手をこまねくなか、のちのFBI長官J・エドガー・フーヴァーは、テキサス・レンジャー出身の特別捜査官トム・ホワイトに命じ、現地で捜査に当たらせるが、解明は困難を極める。
石油利権と人種差別が複雑に絡みあう大がかりな陰謀の真相は? 米国史の最暗部に迫り、主要メディアで絶賛された犯罪ノンフィクション。
スコセッシ&ディカプリオ映画化!
アメリカ探偵作家クラブ賞(最優秀犯罪実話賞)受賞
《ニューヨーク・タイムズ》40週連続ベストセラー
《ウォール・ストリート・ジャーナル》ほか、年間ベストブック17冠
1920年代、禁酒法時代のアメリカ南部オクラホマ州。先住民オセージ族が「花殺しの月の頃」と呼ぶ5月のある夜に起きた2件の殺人。それは、オセージ族とその関係者20数人が、相次いで不審死を遂げる連続殺人事件の幕開けだった――。
私立探偵や地元当局が解決に手をこまねくなか、のちのFBI長官J・エドガー・フーヴァーは、テキサス・レンジャー出身の特別捜査官トム・ホワイトに命じ、現地で捜査に当たらせるが、解明は困難を極める。
石油利権と人種差別が複雑に絡みあう大がかりな陰謀の真相は? 米国史の最暗部に迫り、主要メディアで絶賛された犯罪ノンフィクション。
- 本の長さ368ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2018/5/17
- ISBN-104152097655
- ISBN-13978-4152097651
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
1920年代、禁酒法時代のアメリカ南部オクラホマ州。先住民オセージ族が「花殺しの月の頃」と呼ぶ5月のある夜に起きた2件の殺人。それは、オセージ族とその関係者20数人が、相次いで不審死を遂げる連続殺人事件の幕開けだった―。私立探偵や地元当局が解決に手をこまねくなか、のちのFBI長官J・エドガー・フーヴァーは、テキサス・レンジャー出身の特別捜査官トム・ホワイトに命じ、現地で捜査に当たらせるが、解明は困難を極める。石油利権と人種差別が複雑に絡みあう大がかりな陰謀の真相は?米国史の最暗部に迫り、主要メディアで絶賛された犯罪ノンフィクション。アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)受賞!
著者について
アメリカのジャーナリスト(1967年、ニューヨーク出身)。《ニューヨーカー》のスタッフ・ライターを務める。《ニューヨーク・タイムズ・マガジン》、《ウォール・ストリート・ジャーナル》、《アトランティック》などにも寄稿。ジョージ・ポーク賞ほか受賞歴多数。著書『ロスト・シティZ』(2009)は《ニューヨーク・タイムズ》ベストセラーの1位となり、25カ国語に翻訳されている。他の著書にThe Devil and Sherlock Holmes(2010)。本書(2017)は、《ニューヨーク・タイムズ》ベストセラー・リストに40週連続でランクインするなど大きな話題を呼び、全米図書賞の最終候補に選ばれたほか、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞の最優秀犯罪実話賞を受賞した。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
グラン,デイヴィッド
アメリカのジャーナリスト(1967年、ニューヨーク出身)。“ニューヨーカー”のスタッフ・ライターを務める。ジョージ・ポーク賞ほか受賞歴多数。著書『ロスト・シティZ』(2009)は“ニューヨーク・タイムズ”ベストセラーの1位となり、25カ国語に翻訳されている
倉田/真木
翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
アメリカのジャーナリスト(1967年、ニューヨーク出身)。“ニューヨーカー”のスタッフ・ライターを務める。ジョージ・ポーク賞ほか受賞歴多数。著書『ロスト・シティZ』(2009)は“ニューヨーク・タイムズ”ベストセラーの1位となり、25カ国語に翻訳されている
倉田/真木
翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2018/5/17)
- 発売日 : 2018/5/17
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 368ページ
- ISBN-10 : 4152097655
- ISBN-13 : 978-4152097651
- Amazon 売れ筋ランキング: - 106,056位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 65位アメリカ史
- - 12,049位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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2018年5月24日に日本でレビュー済み
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31人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2020年6月18日に日本でレビュー済み
この間見た「アイリッシュマン」に続くスコセッシとデニーロの次作(+ディカプリオ)ということで読んで見た本。1920年台のオクラホマでの石油利権をめぐるインディアンの連続怪死事件に関するノンフィクション。FBIの捜査で解決したかに見えたのですが、100年後の調査でさらに驚くべき真相が明らかになります。
アメリカとヨーロッパによる黒人搾取の歴史への抗議が連日ニュースのトップを占める中、インディアンに対する収奪の歴史を鋭く描いた本です。お勧めします。
アメリカとヨーロッパによる黒人搾取の歴史への抗議が連日ニュースのトップを占める中、インディアンに対する収奪の歴史を鋭く描いた本です。お勧めします。
ベスト500レビュアー
原題は「Killers of Flower Moon(5月の満月の殺人者)」で邦題は拙いだろう。以下、今では差別語となっているインディアンという呼称を用いるが、これは訳文でそう表記されているので、ご容赦を。本作のヒロインはオクラホマ州のインディアンのある部族のオセージ族(保留地が豊富な石油埋蔵のため資産家)の4人姉妹の次女。第一部において、物語はヒロインの姉の失踪・殺害から始まるが、どちらかと言うと、19世紀後半~20世紀前半(事件は1920年代)のオセージ族の年代記及びアメリカの開拓史という体裁である(ヒロイン一族を初めとする写真が満載)。記録から事件が連続殺人かつ史実である事が分かる。
第二部において、FBIの前身である捜査局の捜査官ホワイトの捜査が始まるが、こちらも記録文学の趣きが強い(こちらもフーヴァーやホワイトや犯人(!)等の写真が満載)。FBIの成立過程(これで副題-FBIの誕生-の意味が分かった)やホワイトの半生が綴られる。更に、フーヴァーの"人となり"や当時の賄賂・買収・偽証が横行する腐敗した警察・司法機構の様子なども紹介される。勿論、ホワイトの捜査過程や泥沼化した裁判(陪審員は白人12名、インディアン達を殺した罪で白人を有罪とする陪審員が居るだろうか?)の模様が中心であるが。判決後、高潔なホワイトは捜査局を去り、フーヴァーはFBIを設立する。
第三部(時は21世紀初頭)において、著者の分身である記者が石油枯渇のために今は寂れたオセージ族の住む街を訪れ、推理とは言え、第二部までは闇であった事件の深部を炙り出す。題名からミステリと思うと落胆するが、インディアンとFBIに関するノンフィクションだと分かると違った重みがある。インディアン(先住民)に対する思い遣りをベースに、インディアン蔑視及び金持ちインディアンからの強奪という倫理に悖るアメリカ史を卓越した調査力(巻末の参考文献の夥しい事)及び取材力で"つまびらか"にした力作だと思う。
第二部において、FBIの前身である捜査局の捜査官ホワイトの捜査が始まるが、こちらも記録文学の趣きが強い(こちらもフーヴァーやホワイトや犯人(!)等の写真が満載)。FBIの成立過程(これで副題-FBIの誕生-の意味が分かった)やホワイトの半生が綴られる。更に、フーヴァーの"人となり"や当時の賄賂・買収・偽証が横行する腐敗した警察・司法機構の様子なども紹介される。勿論、ホワイトの捜査過程や泥沼化した裁判(陪審員は白人12名、インディアン達を殺した罪で白人を有罪とする陪審員が居るだろうか?)の模様が中心であるが。判決後、高潔なホワイトは捜査局を去り、フーヴァーはFBIを設立する。
第三部(時は21世紀初頭)において、著者の分身である記者が石油枯渇のために今は寂れたオセージ族の住む街を訪れ、推理とは言え、第二部までは闇であった事件の深部を炙り出す。題名からミステリと思うと落胆するが、インディアンとFBIに関するノンフィクションだと分かると違った重みがある。インディアン(先住民)に対する思い遣りをベースに、インディアン蔑視及び金持ちインディアンからの強奪という倫理に悖るアメリカ史を卓越した調査力(巻末の参考文献の夥しい事)及び取材力で"つまびらか"にした力作だと思う。
2019年11月29日に日本でレビュー済み
三部構成の最初の二部は残されている資料をもとに書かれているのか、事件のあらすじを読んでいるようで、それほど面白さは感じませんでしたが、三部目は筆者が実際に現地に赴いて取材をしているので、グッと面白みが増します。そして、徐々に事件の全容が明かにされますが、人種差別の根深さにただただ驚かされるばかりです。「インディアン」は差別用語だから「ネイティブ・アメリカン」と呼びましょうと言われても、逆にわざわざ「ネイティブ・アメリカン」なんて呼び名を変えて呼ぶほうが差別なんではないかと今まで思ってましたが、集団で形成される差別の感情の大きさには恐ろしさすら感じました。ただ、もう少しFBIの誕生という点に焦点をあてたり、取材に赴いた筆者が「ずっと聞きたくてうずうずしていた話」を省略しないで書いててくれたら、もっと面白かったのになと、それだけが残念です。




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