ニュートン光学・ゲーテ色彩論・シュタイナー色彩学へと、近年の色彩研究は発展してきました。ルドルフ・シュタイナーは独自の精神科学=人智学の構築にあたって、芸術的要素を不可欠のものとして重視した人物です。
白黒の線描画が頭に関わるのに対して、彩色画は心を開き、潤わせます(彫塑は生命を強め、音楽は魂に触れます)。自然界に現われているさまざまな色の源を、シュタイナーは心の世界( 輝く色彩の海)に探究し、魂の世界を音楽の源泉と見ました。自然界の生命、色とりどりに輝く雲海のような心の世界、天空の音の響く魂の世界が、彼の研究テーマでした。
そのように色彩の世界を重視したシュタイナーですが、彼が色彩について語った講義をまとめたものは、シュタイナー全集のなかで本書だけです。
華やかな色、淡い色、渋い色など、日本の美術は比類ない奥行きを示しています。庶民も通人・粋人も天賦の色彩感覚・美的感覚に恵まれた日本では、シュタイナーのスピリチュアルな色彩論は容易に受容されることと思います。
芸術家・美術愛好家だけでなく、自然の彩りを味わう人々、生活空間における色彩の働きを知ろうとする人々に、本書で語られている内容は大きな示唆を与えるはずです。
内容(「BOOK」データベースより)
ゲーテ色彩論を発展させたシュタイナーの宇宙的色彩論全訳。
レビュー
読み物としても面白いシュタイナーの色彩論です。
色彩の本質を知ることは、魂を大きな生命力で満たし、生き生きと健康にする手だてでもあります。 --「出版社からのコメント」
著者について
西川隆範(にしかわ・りゅうはん)1953年、京都市に生まれる。シュタイナー幼稚園教員養成所講師、シュタイナーカレッジ客員講師を経て、育児のかたわら、精神史・文化史を研究。おもな著書・訳書に,『シュタイナーの宇宙進化論』『神秘学概論』『音楽の本質と人間の音体験』(いずれもイザラ書房)ほか
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
シュタイナー,ルドルフ
哲学博士。1861年旧オーストリア=ハンガリー帝国(現クロアチア)クラルイェベックに生まれる。1925年スイス・ドルナッハにて没す。ウィーン工科大学で、自然科学・数学・哲学を学ぶ。ゲーテ研究家・著述家・文芸雑誌編集者として、世期末のウィーン、ワイマール、ベルリンで活躍。二十世紀になると、このような一連の活動の成果を踏まえて「アントロポゾフィー(人智学)によって方向づけられた精神科学」へと足を踏みいれる。スイス・バーゼル市近郊ドルナッハにみずから設計したゲーテアヌムを建設し、普遍アントロポゾフィー(人智学)協会本部とした
西川/隆範
1953年、京都市生まれ。シュタイナー幼稚園教員養成所(スイス)講師、シュタイナー・カレッジ(アメリカ)客員講師をへて、シュタイナーの翻訳および研究と、執筆活動に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)