本書は色に関する様々な知識が詰め込まれていますが、
(1)光や色彩の効果を説明するためのロジックに飛躍がある。
(2)色彩の効果に関する記述が横断的かつ断片的である。
という難点があり、正直なところ読みづらい本です。
(1)についてですが、例えば、トマトの実に黒い袋を被せるとトマトの実は育たずに腐ってしまいます。
そこから、人間は日光を浴びるべきであり、日光を浴びないと老化が進むと論理を展開します。
適度に日光を浴びることは健康維持に必要であることは認めますが、植物と人間を同列に扱って論じるのは乱暴です。
日光は過剰に浴びてしまうと肌の老化を早めることを私たちは知っています。
またそれ以外に、ラットの実験結果をそのまま人間に当てはめてしまうので論証として行き過ぎを感じました。
さらに地域による人の色の好みを論じた章では、極北地域にはシロクマが多いと書いていますが、それは環境適応の結果であって、人の好みが作用したわけではありません。
(2)については、色に関する知識をだらだらと並べた印象で、体系的に色の作用を理解することができません。
色に関する知識がないと、著者の独り語りのような文章についていくことは困難です。
色彩について知識の少ない人は色彩の効果を軽んじがちです。
しかし本書の場合は、色彩の知識のある人が色彩の効果を大げさに強調しすぎたというのが率直な感想です。
色について、基礎から体系的に学びたいという方は、「図解シリーズ」などの本を手に取ることをお勧めします。
色彩の知識を持った方が、参考程度に本書を読むと良いでしょう。
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