ソシュールの「遺稿・草稿」というものはちょくちょく発見されていて、フランスでは今でもそうしたものが
出てくると専門誌に掲載されるし、ソシュール研究は現在でも継続中である。
本書は19996年に発見されたもので、かなりの数の遺稿類が出てきたが、「一般言語学」についてのものが沢山
出てきたために、それらをまとめてフランスでも出版されている。
だからといって本書に新しいソシュールの思想的な発見につながるようなものが出てきたかというと、本書以前
に出てきたものより重要とも思えない内容だが、それでも資料的価値は高い。
本書はソシュールの遺稿を邦訳したものだが、極めて残念なことに巻末に存在するはずの「用語索引」などが
一切ない。
これはこうした類の本としては致命傷で、はっきりいって翻訳者はこれでもまともな仕事といえるのかどうかと
問いたい気持ちだ。
はたして出版過程における脱落やミスなどにより、このような不完全で無様な翻訳書が出来てしまったのか、
なんのアナウンスも指摘も見かけないので、私には判断のしようが無いのだが、こともあろうに「岩波書店」と
いう出版会社の重鎮であるところから、このように中途半端な邦訳本が出版されたことに、驚きを隠せない。
『フェルディナン・ド・ソシュール「一般言語学」著作集』としてその「第一巻」である本書出版が「2013年
5月31日」であるが、2018年現在でも続巻が出ていない状況を考えると、おそらくは出版社と翻訳者双方の瑕疵
と考えて間違いないだろう。
購入される方は、くれごれもそうした「不備」があることを承知の上で、フランス語の原書も用意することをお
すすめしたい。
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