この本は結果的に苦しみを増やす可能性が高い。
本来のマインドフルネスはエゴを捨て去ること。
語源は仏教の核心的な教えの一つ、八正道の中の「正念(Sati:サティ)」のこと。
念という漢字を分解すると、「今」と「心」。
正しく今にあること。
つまり過去の感情や印象からおこるエゴや執着にとらわれず、今という真実のみに心をとどめること。
それが「今、ここ」にあること。
念の文字本来の意味は「おもう」ということらしいが、念の文字自体がマインドフルな状態を示しているのでしばしこの説明がなされる。
そしてマインドフルネスの実践において、最も重要なのは「主体と客体という分別がなくなる」こと。
つまり「私」と「私以外」の分別がなくなること。
エゴではない「本来の自分」を取り戻すこと。
これは別に宗教やスピリチュアルのお話しではなく、幼少の頃にすべての人が感じていたものだ。
マインドフルネスを世に広げるきっかけとなったといわれている、ジョン・カバットジン博士の「マインドフルネスストレス低減法」にも下記の記述がある。
----------
”自分が一つの全体である”という感覚は、すぐに思い出すことができます。
それは、遠くまで探しにいかなくても、いつも自分の中にある漠然とした感じ、あるいは子供のころにおき忘れてきた記憶の中にあるからです。
その記憶はあなたにとって、なじみ深いもののはずです。
それを感じることさえできれば、まるで長い間留守にして家に戻ったときのように、すぐに「これだった」とわかるものなのです。
マサチューセッツ大学医学部名誉教授
ジョン・カバットジン
『マインドフルネス ストレス低減法』
(北大路書房 2007年)
----------
これはアドラーの個人心理学でいう「共同体感覚」にも繋がるものといえる。
(アドラー博士自身は瞑想やマインドフルネスとは無関係だが、意味としては同義ということ)
しかし、この本に限らず昨今のマインドフルネスブームでは、それとは真逆のこと、つまり「エゴを強化すること」と同列でマインドフルネスを扱っている。
その結果どうなるだろうか?
はじめは瞑想で気持ちが少し落ち着くので、よい気持ちになるかもしれない。
しかし、瞑想を続けると微細なこころの動きに気がつくようになるので、人の深いところにある思考を掘り起こす。
これは絶対にそうなる。
なぜならそれが瞑想の本質だからだ。
その思考は普段あなたが隠している思考だ。
人はその思考から逃げるために、楽しいことを求めたり自分を強くしようとしている。
そして、ほとんどの場合その思考には強い感情が伴う。
瞑想をすることで、いずれその思考や感情に向きあうことになるということだ。
瞑想は人の「意識」に関するメソッドだ。
「意識」は「あなたという存在そのもの」にかかわる。
私は長年瞑想と自己探求の実践をしてきて、今はまったく苦しみがない。
厳密にいうと、苦しむ人が消えたのだ。
しかし、その道程では実に苦しみ抜いた。
もし手軽に苦しみを減らす(無くするのではない)ことを目的にする、もしくは前向きに進むためだとしても、本質的な知識と経験をもった瞑想指導者、もしくは医学的な知見をもち臨床経験豊富なドクターから指導を受けることをおすすめする。
この本の内容を安易に受け入れ、中途半端な知識で瞑想に手を出すと精神が引き裂かれる可能性もある。
また、もし瞑想本来の目的である方向に進んだとしても、事前の知識がなければ大きな苦しみや迷いをともなう可能性がある。
実際にマインドフルネスによって、苦しみが増したというケースも多い。
また瞑想で精神のバランスを崩してしまう人もいる。
先述の理由を鑑みれば当然だろう。
そういう危うい面もあるということを、理解した方がよいと思う。
本来、マインドフルネスや瞑想は、エゴから人を解放して苦しみを捨て去るための気づきの技術のひとつ。
それがこの本のように、エゴによってエゴを強めるために利用されている。
結果、苦しみは消えるどころか増していく。
まるでジョークのような話だと思わないだろうか。
もう一点。
はじめに書いたとおり、マインドフルネスはそもそも八正道の中の一つの要素だ。
八正道はその名の通り、八つの教えで構成されている。
八正道はいわゆる悟りを得るだけではなく、この世界でバランス良く生きるための教えでもある。
その中から都合良く一つ(正念)だけを取り出していることに違和感は感じないだろうか?
そのことも心にとどめておいた方が良いと思う。
自分を操り、不安をなくす究極のマインドフルネス (日本語) 単行本 – 2020/8/21
メンタリストDaiGo
(著)
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本の長さ237ページ
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言語日本語
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出版社PHP研究所
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発売日2020/8/21
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ISBN-10456984734X
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ISBN-13978-4569847344
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商品の説明
出版社からのコメント
第1章 今日から「無駄に悩まない」人になる(負のスパイラルは脳を低下させる
緑のなかを歩くと悩まなくなる!? ほか)
第2章 根拠なき自信をもって前を向く(「根拠のない自信」が大きな成功をもたらす
失敗を恐れないメンタルのつくりかた ほか)
第3章 思い込みをやめて、心をリセット(挫折を力に変える方法
必死にがんばってもなぜか成功しない理由 ほか)
第4章 自分の弱みを生きる力に変えよう(コンプレックスを自分の力として活かす方法
欠点を「強み」に変える読み替え法 ほか)
第5章 人生を変えるマインドフルネス瞑想(不安をたった3秒で鎮める“メンタルクリアボタン"
お坊さんとサイコパスの意外な共通点とは? ほか)
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必死にがんばってもなぜか成功しない理由 ほか)
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欠点を「強み」に変える読み替え法 ほか)
第5章 人生を変えるマインドフルネス瞑想(不安をたった3秒で鎮める“メンタルクリアボタン"
お坊さんとサイコパスの意外な共通点とは? ほか)
内容(「BOOK」データベースより)
無駄な思い込みをやめて、根拠なき不安を根拠なき自信に変える。
著者について
慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒。人の心を作ることに興味を持ち、人工知能記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。イギリス発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとしてTV番組に出演。その後、活動をビジネスやアカデミックな方向へ転換、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授として活動。趣味は1日10~20冊程度の読書、猫と遊ぶこと、ニコニコ動画、ジム通いなど。ビジネスや話術から、恋愛や子育てまで幅広いジャンルで人間心理をテーマにした著書は累計330万部を超える。主な著書に『ムダに悩まない理想の自分になれる 超客観力』(repicbook)、『知識を操る超読書術』(かんき出版)、『「好き」を「お金」に変える心理学』『最高のパフォーマンスを実現する超健康法』(以上、PHP研究所)、『ワンコイン心理術』『ワンフレーズ心理テクニック』(以上、PHP文庫)などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
メンタリストDaiGo
慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒。人の心を作ることに興味を持ち、人工知能記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。イギリス発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとしてTV番組に出演。その後、活動をビジネスやアカデミックな方向へ転換、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授として活動。ビジネスや話術から、恋愛や子育てまで幅広いジャンルで人間心理をテーマにした著書は累計330万部を超える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒。人の心を作ることに興味を持ち、人工知能記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。イギリス発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとしてTV番組に出演。その後、活動をビジネスやアカデミックな方向へ転換、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授として活動。ビジネスや話術から、恋愛や子育てまで幅広いジャンルで人間心理をテーマにした著書は累計330万部を超える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社より
マインドフルネスというのは、ひと言でいうと 「気づき」。それを強化してくれるのが瞑想。

無駄な思い込みをやめて、根拠なき不安を根拠なき自信に変える!
自分に振り回されないための心理学とマインドフルネス瞑想法。
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2021年2月22日に日本でレビュー済み
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2020年8月16日に日本でレビュー済み
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彼のYouTubeやニコニコ動画を見ていれば、ほとんど重複した内容になってます。それをある程度ひとまとめにしたモノと捉えれば価値があり、情報の整理や繋がりを作ることができると思います。
2020年8月21日に日本でレビュー済み
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マインドフルネスは自分が読んでる本で良く出てる言葉ですが、あまりきちんと理解していませんでした。
マインドフルネスとは「他人の評価や意見、感情に囚われずに自分の本質をありのままに見つめ、迷うことなく人生を全うすること」とのことでした。簡単に言うとマインドフルネスは「気づき」であり、それを強化するのが「瞑想」などということでした。
本を読む中で自分の気質や挫折体験など、色んなことに目を向ける機会をもらいました。まずは日々自分を他人の目線で客観的に見る練習から始めていこうと思います。
マインドフルネスとは「他人の評価や意見、感情に囚われずに自分の本質をありのままに見つめ、迷うことなく人生を全うすること」とのことでした。簡単に言うとマインドフルネスは「気づき」であり、それを強化するのが「瞑想」などということでした。
本を読む中で自分の気質や挫折体験など、色んなことに目を向ける機会をもらいました。まずは日々自分を他人の目線で客観的に見る練習から始めていこうと思います。
2020年8月24日に日本でレビュー済み
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マインドフルネスということで不安の考え方を安定させたいと思い購入しました。
そして中身を見たら想像以上に様々な不安の状態に対する解決方法、手段が書かれてありその種類に圧倒されました。
おすすめの読み方としては目次を見て、これだって思う部分だけ読む!これが一番かなと思います。気になって全部読んだんですけど頭の中で色々な解決方法手段が混ざって逆に混乱しました(笑。
改めて自分に本当に必要な部分だけを抽出してそこを重点的に読むということをやりたいと思います!
そして中身を見たら想像以上に様々な不安の状態に対する解決方法、手段が書かれてありその種類に圧倒されました。
おすすめの読み方としては目次を見て、これだって思う部分だけ読む!これが一番かなと思います。気になって全部読んだんですけど頭の中で色々な解決方法手段が混ざって逆に混乱しました(笑。
改めて自分に本当に必要な部分だけを抽出してそこを重点的に読むということをやりたいと思います!
2020年9月9日に日本でレビュー済み
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ストレスが身体に出やすいため偏頭痛やら胃痛やらで寝込むことが度々。この度も難聴を発症し3日寝込みました。でも新しいことや挑戦したいことがあるのに、いちいちストレスに負けていたら何もできないじゃんかと思い、前々からチャンネル登録していたDaiGo氏のこの本を購入しました。
不安を感じやすい方、ストレスを感じやすい方のための本だと思います。私の場合ですが、身体に出るほどのストレスをどう活かしていくかの道筋が見えました。(あくまで個人の感想、もちろん病気はお医者さんには行くべきです、難聴のお薬はもらいました)
瞑想についても、読む前は良いのはわかるけどなぜ良いのかがわからなかったのですが、丁寧に解説してくださっていて納得して実践できそうです。
多分著者様はレビュー読まれないと思いますが、スタッフさんが読んでくださると信じております。大変感謝しております。
不安を感じやすい方、ストレスを感じやすい方のための本だと思います。私の場合ですが、身体に出るほどのストレスをどう活かしていくかの道筋が見えました。(あくまで個人の感想、もちろん病気はお医者さんには行くべきです、難聴のお薬はもらいました)
瞑想についても、読む前は良いのはわかるけどなぜ良いのかがわからなかったのですが、丁寧に解説してくださっていて納得して実践できそうです。
多分著者様はレビュー読まれないと思いますが、スタッフさんが読んでくださると信じております。大変感謝しております。