最近のニュースなどのメイントピックをまず分かりやすくおさらいできる。
その上で現代の知の巨人とも言える出口さんの考えを知ることができる。
前書きに書いている通り出口さんの意見が絶対ではなく自分なりに考察することが大事とのこと。
出口さんの考え方は人類の歴史に立脚してる部分が多く、共感できることが多い。
その中で共感できなかったトピックについて書きたい。
「財政赤字は解消するべきか」の章でMMTに言及しており、氏のスタンスはMMTに否定的だ。
日本は家庭にたとえると1030万円の支出があるのに収入が640万円なので、借金が膨らみ1億を超えてしまった。
と日本の財政を家計に例えている。
そもそも国家財政と家計では根本的に構造が異なるので、このたとえは一見分かりやすくしたように感じるが実はかえって誤解を生んでいると思う。
昔からマスコミが政府批判として、彼らは国民1人あたり何百万の借金がある!さあ、大変だ!とアジテートしていたのと同じだ。
イメージしやすい金額に直して、だからダメというのは否定する理由にならない。
もし無理矢理家庭の例に当てはめるなら、その家庭にはいくらでも本物のお金を印刷できるドラえもんがいないといけない。
そんなの変だ!と言われれば変だが、貨幣の発行権を持つ国家とはそういうものだ。
ではインフレにさえならなければ無限に借金していいのか?では税金など払わなくていいではないか?という疑問は残る。
本書にも無尽蔵にお金を擦り続ければ政府の財政規律が弱まり、無駄遣いが常態化してしまう。としているが、それはその通りなので、なんらかの抑制は必要だ。
税金については国庫のために税金を払うと考えるのではなく、サブスクのように日本に住むことのできる会費だと考えると腹落ちしやすい。
つまり日本の治安や文化、利便性、気候などが現在の税金を払ってでも住みたい環境かどうか。
国はサブスクの会員を減らさないために魅力的なサービスを提供し続けなければならない。
結果として、それは日本円の価値を裏付けることになる。日本に住み続けたいから、その会費を払うために日本円を稼ぐ仕事をする。
財政規律の問題とインフレのリスクは残るが、国家が借金を増やすことが子供世代に借金を先送りしているというロジックそのものが根本的に違う。
そもそも国が貨幣を発行できるのだから、それを借金とか赤字とかいう表現を使うから誤解を生むのだと思う。
またインフレについては、インフレとはお金の価値が下がり、物の価値が上がる事を言う。物の価値が上がるには物が不足しなければならない。しかし現在の日本の店には物が溢れており、むしろ在庫過多だ。物が余っている以上、当分はインフレになることも考えにくい。ある程度の国内生産力があり、円には輸入商品を買う信用があるので当分はモノが不足することもないだろう。
お金をどんどん発行しているのが日本だけならば相対的に円の為替が下がり日本は輸入することが難しくなり、国内のモノが不足して、モノの値段が上がる。しかし、そうはなっていない。なぜなら世界中の国々がお金をどんどん発行しているからだ。この中で日本だけがそれをストップしてしまったら相対的に円高になり、日本の製品の国際競争力がなくなる。
経済というものは連動しており、回転している。
一部分だけを切り取ってダウンサイジングして家庭に例えることは正しい見方とは思えない。
このトピックについては私なりの意見を書いてみたが、全体として出口さんの意見は客観的かつ押し付けない感じがとても読みやすい。
この押し付けない感じというのが、教養のある人たちには難しく、議論ではなく論争を生んでしまうのだと思う。
自分の頭で考える日本の論点 (幻冬舎新書) (日本語) 新書 – 2020/11/26
出口 治明
(著)
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本の長さ400ページ
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言語日本語
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出版社幻冬舎
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発売日2020/11/26
-
ISBN-104344986059
-
ISBN-13978-4344986053
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
玉石混淆の情報があふれ、専門家の間でも意見が分かれる問題ばかりの現代社会。これらを自分で判断し、悔いのない選択ができるようになるには、どうしたらいいのか。「経済成長は必要か」「民主主義は優れた制度か」「安楽死を認めるべきか」等々。ベンチャー企業の創業者であり大学学長、そして無類の読書家である著者が、私たちが直面する重要な論点を紹介しながら、自分はどう判断するかの思考プロセスを解説。先の見えない時代を生きるのに役立つ知識が身につき、本物の思考力を鍛えられる、一石二鳥の書。
著者について
1948年三重県生まれ。立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。京都大学法学部卒。1972年、日本生命に入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退社。同年、ネットライフ企画を設立、代表取締役社長に就任。2008年に免許を得てライフネット生命と社名を変更、2012年上場。社長・会長を10年務めたのち、2018年より現職。『人生を面白くする 本物の教養』(幻冬舎新書)、『全世界史(上・下)』(新潮文庫)、『人類5000年史(I~III)』(ちくま新書)、『座右の書 『貞観政要』』(角川新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『還暦からの底力』(講談社現代新書)など著書多数。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
出口/治明
1948年三重県生まれ。立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。京都大学法学部卒。1972年、日本生命に入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退社。同年、ネットライフ企画を設立、代表取締役社長に就任。2008年に免許を得てライフネット生命と社名を変更、2012年上場。社長・会長を一〇年務めたのち、2018年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1948年三重県生まれ。立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。京都大学法学部卒。1972年、日本生命に入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退社。同年、ネットライフ企画を設立、代表取締役社長に就任。2008年に免許を得てライフネット生命と社名を変更、2012年上場。社長・会長を一〇年務めたのち、2018年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2020年12月23日に日本でレビュー済み
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2020年12月11日に日本でレビュー済み
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コロナ、気候変動など旬な話題から、憲法、政治、経済、社会(LGBT、働き方)まで、幅広い22の論点について、『基礎知識』として背景を簡潔に整理した上で、著者の考えを述べた本。自分のポジションとその根拠は明確、かといって全く押し付けがましくなく、忌憚ない議論を心底奨励している姿勢に好感が持てました。出口氏の本は初読ですが、文章から誠実な人柄が滲み出ています。
巷にはエッジの効いた極論を振りかざす『売らんかな本』が溢れていますが、出口氏の主張は至極真っ当。かつ思考にしなやかさを感じます。ご自身を『常識懐疑論者かつ保守主義者』と評していますが、まさにその通り。
何より本書全体を通して、『人間はあまり賢くはないが、それでも理性的な思考があれば、今よりも良い世の中を創ることができる、打てる手はある』という楽観的・ポジティブな信念が貫かれています。
暗いニュースばかりの昨今、ぜひTVを消して本書を読んでみて下さい。元気出ますよ。
巷にはエッジの効いた極論を振りかざす『売らんかな本』が溢れていますが、出口氏の主張は至極真っ当。かつ思考にしなやかさを感じます。ご自身を『常識懐疑論者かつ保守主義者』と評していますが、まさにその通り。
何より本書全体を通して、『人間はあまり賢くはないが、それでも理性的な思考があれば、今よりも良い世の中を創ることができる、打てる手はある』という楽観的・ポジティブな信念が貫かれています。
暗いニュースばかりの昨今、ぜひTVを消して本書を読んでみて下さい。元気出ますよ。
ベスト500レビュアー
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相変わらず著者の本は素晴らしいですね。本書はその名の通り、今の日本の主な論点について自分の頭で考えられるようになるための知識と思考法を授けています。特に重要なのは「タテ・ヨコ・算数」の3つを大切にすること。「タテ=歴史を知る」「ヨコ=世界がどうなっているかを知る」「算数=数字、ファクト、ロジックで裏付ける」ということで、これにより思い込みにとらわれず、玉石混交の情報に騙されないようになると言います。まさに著者なりの「ファクトフルネス」です。
どの論点も面白かったですが、特に以下の箇所が学びになりました。
・考えても分からないなら、自分よりもそれに詳しい専門家に意見を求めるのが一番。利害関係者の話を聞いても公平かつ客観的な判断は下せない。憲法改正のようなイデオロギー上の争いのあるテーマとは異なり、パンデミックのようなケースでは政府の集める専門家に偏りが生じる心配はない
・人間社会はいつの時代も分断と強調、2つの方向に振り子が揺れている
・ナンバー2がナンバー1に追いついてくるとケンカが始まるというのは歴史の常。中国はあくまでもアメリカ主導の世界秩序という枠組みの中でできるかぎり自国の権益を拡大しようと考えている
・かつての派遣国は、覇権を握ったときから例外なく人口が減少傾向に。社会が豊かになったら遊びたいことがたくさん生まれてくるので出生率が低下
・製造業で要請されるのは、偏差値がそこそこ高く、素直で、我慢強く、協調性があり、上司のいうことを聞く人材。要は低学歴産業
・世の中が変わったら法律も変えるべき。だが、憲法は国のあり方を定めたもので、その国のあるべき姿でありビジョンだから、簡単に変えていいものではない
・歴史的には日本は性的マイノリティに寛容だった。LGBTQに厳しい眼を向けるようになったのは、男女差別の激しい朱子学に範を得て天皇制をコアとする家父長制の国民国家を作ろうとした明治以降。LBGTQや障害者は、すべての動物に一定の確率で生じる少数派であり存在して当たり前。ハンディのある個体やマジョリティとは性質の異なる個体が一定数含まれているのが多様性があるということで、自然の本来の姿
・言論の自由が基本的人権の中でも特に重要だと考えられているのは、言論プラットフォームにおける権力に対する適切な批判が社会をより良いものにしていくために必要不可欠だから。適切な批判とは、互いに検証可能なデータ(数字・ファクト)を用いてロジックを積んでいるもの。自分は嫌い、というのは批判ではない
・移民や難民というのは人間の歴史の上では極めて新しい言葉であり概念。19世紀に国民国家が成立し、国境を厳しく管理するようになってから。もともと人類はホモ・モビリタス(移動する人)
・人間社会の本来の成り立ちはセパレート(分離)ではなくインクルージョン(包摂)。産業革命によって工業が主役になると、ハンディのある人は工場労働には不向きなのでセパレートしようという考えが生まれる。均質な労働者は国民国家の要請する国民皆兵にも向いているので、あっという間にセパレートの発想が広がった
・日米同盟が機能してきたのは東西冷戦があったから。米がロシアや中国と対立しているときには日本列島に大きな戦略的価値があった
・活字離れに苦しむ出版業界が耳目を引く本を売ろうとしてAI脅威論ブームを作り出している
・日本の国民年金保険は自営業者向け。自営業者には定年がなく、収入があることを前提として設計されている。厚生年金保険は被用者向け。定年退職したら収入がなくなるので、在職中から企業と被用者が保険料を負担。現在の日本の一番の問題は、その間にいる人たち(非正規雇用)が大量に存在していること
・日本は自己責任論がとても強い国。自己責任論は一見正しいように見えるが、人生のスタート地点がある程度同じでないと成り立たない。ベーシックインカムは「国は平等に給付しました。後は皆さんの自己責任ですよ」と言っているように見える。BIを1人月額7万円と仮定すると、7万円×12ヶ月×1億2600万人で年間106兆円にもなる
・長生きすると誰しもいずれ病気になる。その結果、生涯にかかる医療費は減らない。予防医療は医療費がかかるタイミングを先送りしているだけで、医療費を減らす効果はない。例えば禁煙対策により肺がんになる人が減れば短期的な医療費は減るが、寿命も長くなるので一生にかかる医療費の総額はむしろ増える
・ホモ・サピエンスは過去20万年のうち19万年は定住せず狩猟採取の暮らしを続けた。栄養を蓄えることができた個体が自然淘汰で生き残った。栄養を蓄えるとは太ること。つまり、ホモ・サピエンスはもともと太りやすい体質を備えている
・1961年の国民年金保険発足のときから世代間格差は宿命づけられていた。当時すでに受給年齢に達していた人たちは一銭も保険料を負担することなく支給を受けた
・仮に公的年金が破綻するとしたら日本が国債を発行できなくなって財政を維持できなくなるとき。その場合は民間の金融機関も破綻するから金融商品も紙屑同然となる
・直感というのは、その人がそれまで生きてきた人生の全ての情報をデータベースとして脳が無意識の部分で判断していること
どの論点も面白かったですが、特に以下の箇所が学びになりました。
・考えても分からないなら、自分よりもそれに詳しい専門家に意見を求めるのが一番。利害関係者の話を聞いても公平かつ客観的な判断は下せない。憲法改正のようなイデオロギー上の争いのあるテーマとは異なり、パンデミックのようなケースでは政府の集める専門家に偏りが生じる心配はない
・人間社会はいつの時代も分断と強調、2つの方向に振り子が揺れている
・ナンバー2がナンバー1に追いついてくるとケンカが始まるというのは歴史の常。中国はあくまでもアメリカ主導の世界秩序という枠組みの中でできるかぎり自国の権益を拡大しようと考えている
・かつての派遣国は、覇権を握ったときから例外なく人口が減少傾向に。社会が豊かになったら遊びたいことがたくさん生まれてくるので出生率が低下
・製造業で要請されるのは、偏差値がそこそこ高く、素直で、我慢強く、協調性があり、上司のいうことを聞く人材。要は低学歴産業
・世の中が変わったら法律も変えるべき。だが、憲法は国のあり方を定めたもので、その国のあるべき姿でありビジョンだから、簡単に変えていいものではない
・歴史的には日本は性的マイノリティに寛容だった。LGBTQに厳しい眼を向けるようになったのは、男女差別の激しい朱子学に範を得て天皇制をコアとする家父長制の国民国家を作ろうとした明治以降。LBGTQや障害者は、すべての動物に一定の確率で生じる少数派であり存在して当たり前。ハンディのある個体やマジョリティとは性質の異なる個体が一定数含まれているのが多様性があるということで、自然の本来の姿
・言論の自由が基本的人権の中でも特に重要だと考えられているのは、言論プラットフォームにおける権力に対する適切な批判が社会をより良いものにしていくために必要不可欠だから。適切な批判とは、互いに検証可能なデータ(数字・ファクト)を用いてロジックを積んでいるもの。自分は嫌い、というのは批判ではない
・移民や難民というのは人間の歴史の上では極めて新しい言葉であり概念。19世紀に国民国家が成立し、国境を厳しく管理するようになってから。もともと人類はホモ・モビリタス(移動する人)
・人間社会の本来の成り立ちはセパレート(分離)ではなくインクルージョン(包摂)。産業革命によって工業が主役になると、ハンディのある人は工場労働には不向きなのでセパレートしようという考えが生まれる。均質な労働者は国民国家の要請する国民皆兵にも向いているので、あっという間にセパレートの発想が広がった
・日米同盟が機能してきたのは東西冷戦があったから。米がロシアや中国と対立しているときには日本列島に大きな戦略的価値があった
・活字離れに苦しむ出版業界が耳目を引く本を売ろうとしてAI脅威論ブームを作り出している
・日本の国民年金保険は自営業者向け。自営業者には定年がなく、収入があることを前提として設計されている。厚生年金保険は被用者向け。定年退職したら収入がなくなるので、在職中から企業と被用者が保険料を負担。現在の日本の一番の問題は、その間にいる人たち(非正規雇用)が大量に存在していること
・日本は自己責任論がとても強い国。自己責任論は一見正しいように見えるが、人生のスタート地点がある程度同じでないと成り立たない。ベーシックインカムは「国は平等に給付しました。後は皆さんの自己責任ですよ」と言っているように見える。BIを1人月額7万円と仮定すると、7万円×12ヶ月×1億2600万人で年間106兆円にもなる
・長生きすると誰しもいずれ病気になる。その結果、生涯にかかる医療費は減らない。予防医療は医療費がかかるタイミングを先送りしているだけで、医療費を減らす効果はない。例えば禁煙対策により肺がんになる人が減れば短期的な医療費は減るが、寿命も長くなるので一生にかかる医療費の総額はむしろ増える
・ホモ・サピエンスは過去20万年のうち19万年は定住せず狩猟採取の暮らしを続けた。栄養を蓄えることができた個体が自然淘汰で生き残った。栄養を蓄えるとは太ること。つまり、ホモ・サピエンスはもともと太りやすい体質を備えている
・1961年の国民年金保険発足のときから世代間格差は宿命づけられていた。当時すでに受給年齢に達していた人たちは一銭も保険料を負担することなく支給を受けた
・仮に公的年金が破綻するとしたら日本が国債を発行できなくなって財政を維持できなくなるとき。その場合は民間の金融機関も破綻するから金融商品も紙屑同然となる
・直感というのは、その人がそれまで生きてきた人生の全ての情報をデータベースとして脳が無意識の部分で判断していること
2020年12月21日に日本でレビュー済み
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今までにない、珍しい本。著者は、今の日本や世界が直面している問題の中から、人々の間で意見や受け止め方が分かれている22の論点を選び出し、それぞれの問題の背景や、どのような意見があるかなどを説明した上で、著者自身がどう考えるのかを解説してる。取り上げた論点は、「日本の新型コロナウイルス対応は適切だったか」、「地球温暖化は本当に進んでいるのか」、「憲法9条は改正すべきか」、「日本は移民や難民をもっと受け入れるべきか」、「経済成長は必要か」、「日本の大学教育は世界で通用しないのか」などなど。
すべての論点において、著者の考え方が必ずしも正しい訳ではない。むしろ著者は読者に自分自身ならどう考えるのかを問いかけている。社会人とくに若い人たちに、ぜひ読んでいただきたい。
すべての論点において、著者の考え方が必ずしも正しい訳ではない。むしろ著者は読者に自分自身ならどう考えるのかを問いかけている。社会人とくに若い人たちに、ぜひ読んでいただきたい。
2021年1月3日に日本でレビュー済み
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「僕がどのようにして
その答えに至ったかという思考のプロセスを
まず共有していただきたい。
そのうえで、僕のジャッジに納得するかしないか、
しないとすれば、自分はどう考えるか」
と著者は「はじめに」にて述べている。
確かに本書をスタートにして、深く考える道しるべになる。
「耳目を引く本を売ろうとして、
AI脅威論ブームを作り出している」と
著者は「人間の仕事はAIに奪われるか」の章で話す。
彼はAIが仕事を奪うのはまだ遠い話という。
私の意見⇒
確かに多くの仕事が奪われるのは先だが、
最近のAIの躍進は脅威だ。
納得できない理由⇒
「ITの出現が恐怖と言うよりも、
規模の経済が働くことの恐怖なんです」
と著書『AIの壁』で経済学者井上智洋氏が言った。
IT産業は勝者総取りしているが、あんまり新しい雇用を作らない。
コロナ下で、彼らの躍進が加速して仕事を奪っている。
著者との対話で自分の意見がより明確になる。
すっきり感が残る嬉しい本だ。
その答えに至ったかという思考のプロセスを
まず共有していただきたい。
そのうえで、僕のジャッジに納得するかしないか、
しないとすれば、自分はどう考えるか」
と著者は「はじめに」にて述べている。
確かに本書をスタートにして、深く考える道しるべになる。
「耳目を引く本を売ろうとして、
AI脅威論ブームを作り出している」と
著者は「人間の仕事はAIに奪われるか」の章で話す。
彼はAIが仕事を奪うのはまだ遠い話という。
私の意見⇒
確かに多くの仕事が奪われるのは先だが、
最近のAIの躍進は脅威だ。
納得できない理由⇒
「ITの出現が恐怖と言うよりも、
規模の経済が働くことの恐怖なんです」
と著書『AIの壁』で経済学者井上智洋氏が言った。
IT産業は勝者総取りしているが、あんまり新しい雇用を作らない。
コロナ下で、彼らの躍進が加速して仕事を奪っている。
著者との対話で自分の意見がより明確になる。
すっきり感が残る嬉しい本だ。
2020年12月19日に日本でレビュー済み
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筆者の出口治明さんの持論は物事を考えるときにはタテ・ヨコ・算数(時間軸・世界のつながり・エビデンス)で考えるということが大切との事です。そのため本書では各論点について”基礎知識”としてそれらを示し、”自分の頭で考える”編で持論を展開しています。
筆者は人間の脳はそれほど進化していなので現在残っているものの多くを受け入れ、多くの人が不都合と思うことを少しづつ変えれば良しとしています。保守的でもあり極端な悲観論には汲みしない(歴史的に悲観論は全敗している)のが一般人的です。例えばAIにより人間の仕事がなくなる、公的年金保険は破綻するなどです。
ただし日本の今の財政規律は緩すぎて将来世代に一千兆円以上の借金を背負わせているのは問題としています。社会保障費、国債償還など支出の多くの部分が削れない以上消費税増税が必要となるのは明白のようです。
筆者は人間の脳はそれほど進化していなので現在残っているものの多くを受け入れ、多くの人が不都合と思うことを少しづつ変えれば良しとしています。保守的でもあり極端な悲観論には汲みしない(歴史的に悲観論は全敗している)のが一般人的です。例えばAIにより人間の仕事がなくなる、公的年金保険は破綻するなどです。
ただし日本の今の財政規律は緩すぎて将来世代に一千兆円以上の借金を背負わせているのは問題としています。社会保障費、国債償還など支出の多くの部分が削れない以上消費税増税が必要となるのは明白のようです。