手話は独立した自然言語である 本書には、ろう者本来の手話に明るい光の射した18世紀後半から19世紀にかけて書かれた7編の手記や論文が収められています。それから百年もしないうちに手話は弾圧されていきます。その直前の時期、ろう者と手話が「発見」されつつあった時代の、ろう者の心のうちや、教育家の情熱が伝わる興味深い内容です。
仮想の手紙形式で、ろう者である自分の考えを綴ったフォントネイの自伝。パリの町で貧しくも自活していたろう者デロージュが、口話主義に反対し自然手話を擁護した小冊子。聾教育史上、最も有名なド・レペ神父の著作から、教育者としての立場を述べた部分と「方法的手話」で複雑な文法を説明するクライマックスの抜粋。その「方法的手話」を批判したシカールの教程本は今日的視点からは多くの欠点を抱えながらも、実践的で生き生きとした教育の現場を目の前によみがえらせます。
日本版オリジナルとして、5年前に評判を呼んだ「ろう文化宣言」の続編、木村晴美・市田泰弘両氏による「ろう文化宣言以後」や、一目でわかる「聾教育論争史概念図」、「18世紀の聾教育年表」を掲載。収載されたテキストと今日の論点とのつながりがよくわかるように工夫された一冊です。
読売新聞書評欄でも紹介されました。(平成13年1月28日朝刊)
啓蒙思想の花開いた18世紀後半は、聾教育と手話にもまた明るい日の射し始めた時代であった。本書に収められた7編のテキストは、その1764年から1840年の間にフランスで書かれたものである。百年を経ずして再び口話主義の暗黒に戻る運命の下、それらは先駆的であり、論争的であり、また思索的であり、愛情溢れるものであった。「ろう文化宣言以降」を掲載した日本版。
内容(「MARC」データベースより)
聾教育の黎明期、18世紀後半から19世紀にかけて書かれた7編の先駆的な論考。口語主義が主流となる前の手話にとり幸福な時代の空気を映す。日本版オリジナル論文も掲載。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
レイン,ハーラン
世界的に有名な言語心理学者。著者に『アヴェロンの野生児研究』(邦訳、福村出版、1980)、『心が開くとき』(1984)、『アメリカ手話学の近況』(共著、1980)、『善意の仮面』(1992)等がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)