つまり、定年60歳までの38年間×1日8時間×週5日×45週=6万8400時間というわけだ。義務教育課程9年間の合計時間は、1万4000時間程度である。
本書では、職場における学習の背景、職場における他者からどのような支援を受けているのか、職場においてどのような能力を向上されるのか、職場において誰のどのような支援が個人の能力向上に寄与するのか、職場コミュニケーションが能力向上に与える影響などが、社会調査による結果から統計を用いた分析によってまとめられている。
企業・職場における学習については、成功者による体験がベースに語られることが多いなかで、本書では定量的な調査に基づいた研究成果がまとめられている。定量的な調査とはいえ、さまざまな業務体験談をもとに裏づけされながら、本書の分析がすすめられる。
非常に興味深かった最終的な結論を引用。
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分析の結果、上司の「精神支援」「内省支援」、上位者・先輩の「内省支援」、同僚・同期の「内省支援」「業務支援」が、それぞれ「能力向上」に資することがわかった。
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本書の分析結果によれば、上司には、客観的な意見を言ったり、自己の仕事のあり方を促すような内省支援と、精神的な安息を保証する精神支援が求められることがわかった。前者は上司自身が「経験学習のファシリテータ」として機能することを意味しているし、後者で担っているのは「ストレスマネジメント」である。このことは、部下育成に関するマネジャーの行動規範、あるいは、リーダーシップのあり方に一定の問い直しが必要であることを示唆しているように思う。
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