森見登美彦のファンの方々には今更言う必要もないが、とりとめのないファンタジーをくそ真面目な調子で語る
森見節はこの作品でも健在である。この作品のテーマな何であろうかとか、なにを言いたいのだろうかと
野暮なことを考えるべきではない。ただ、只管に森見ワールドを堪能することが大事なのだ。とはいえ、この
本を古本で買ったところ、文庫を一回り小さくした紙が挟んであったが、そこには森見先生の直筆
(多分)署名がされ、しかも「森見登美彦」の安っぽいスタンプまで押されており、「僕は人間である前に怠け者
です」とサインペンで書かれているのである。これがテーマであろう。ここに登場する小和田君をはじめ、多くの
人間が、暇あればサボろうとする怠け者である。出来れば何もしたくない、何もせずにぐうたらすることが
至高の喜びとする人間たちの叫びが聞こえてきそうな作品なのだ。作者自身、そのようなメモを多分すべての
本に挟むように出版社に依頼したのであろうか(頼まれた方は邪魔くさいことである)。あるいは、森見登美彦の
かなりディープなファンが、スタンプまで作ってこのメモを記して挟んだのだろうか。ずれにせよ、将来ちょっと価値が
付きそうな気もする。大事にしておこう。
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