先々週の土曜日、秋田の蔵巡りに出掛ける前に急遽この本をアマゾンで取り寄せた。
酒造りのいろはから丁寧に書かれている。固い本のはずなのに、どんどん進む。
当たり前のことを当たり前にやる人のすばらしさが面白いのだと、文章にしても伝わらないかも知れないが、高橋杜氏や蔵元がいい酒を造るために淡々とこなしていく当たり前のことは、どんなに大変なことでも、当たり前だからと妥協はしない。
日本一大きな蔵にはなれないかも知れないが、日本一清潔な蔵にはなれるだろうと掃除の手間を惜しまない。
生憎の荒天で秋田空港に着陸出来るかどうかわからない中、機中で本を読み進めた。
高橋杜氏の酒造りがすごい。見守る蔵元の度量もすごい。それを描く藤田さんの筆力もすごい。
読み終えたとき、不覚にも目頭が熱くなった。
そんな本だ。
飛行機は秋田空港に降りた。能代大館も含めて東北の空港が全滅だったあの日にだ。奇跡的だ。
どんなに胸躍らせながら蔵に向ったか。そして、本に書かれていたことに何一つの虚構も脚色もなかったことを知った。
高橋杜氏と蔵元の笑顔の向こうに、まだお会いしていない藤田千恵子さんの『すごいでしょ』という笑顔が見えた気がした。
美酒の設計は紛れもなく旨い。この本を読んだ後は必ず飲んで欲しい。
四谷の萬屋おかげさんで飲むか、秋田の天洋酒店に頼むか・・・或いは、この酒蔵に出掛けて高橋杜氏の笑顔を拝んだ後に買い求めるか。
どれも楽しい選択だ。
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