絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書) (日本語) 新書 – 2018/1/8
更科 功
(著)
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本の長さ249ページ
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言語日本語
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出版社NHK出版
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発売日2018/1/8
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寸法18.2 x 11.3 x 2 cm
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ISBN-104140885416
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ISBN-13978-4140885413
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
人類の進化史が語る「私たち人間が存在するのは偶然なのか」
この地球上で何十億年も続いた生物進化はその枝先の一端に人間という生物を生み出した。人間の由来と進化についてチャールズ・ダーウィンが思索をめぐらした一九世紀以来さまざまな学説や憶説が飛び交った。人間がこの世に存在するのは必然の結果なのか、それとも偶然の産物にすぎないのか――この大きな疑問は科学のみならず宗教・思想・政治の次元にまで広がっていった。
私たちは人間は他のすべての生きものたちとは本質的に異なる別格の存在だと考えがちだ。しかし、本書を読むと、現代人(ホモ・サピエンス)にいたる道程は偶然と危険に満ちていて、人類進化の途上で生まれては消えていった数々の近縁な「人間たち」がかつていたことを知る。もちろん人間の歴史をたどる上で科学的根拠は不可欠だ。本書は近年急速に蓄積されてきた祖先人類の化石資料の知見や化石DNAの新しいデータをふまえて、われわれ現代人がどのような進化史をたどってきたのかをわかりやすく解説している。
今から七〇〇万年前、類人猿たちにより森林から草原へと追い立てられた最初期の人類は直立二足歩行を獲得した。見晴らしがよい草原で生きることになった祖先人類たちは、つねに肉食動物に襲われる危険に直面することになる。しかし、四〇〇万年前に出現したアウストラロピテクス属の人類は一夫一婦制を通じて子どもをたくさん産むことにより、外敵に襲われるリスクを回避しようとしたと著者は説明する。そして二四〇万年前には現代人に連なるホモ・ハビリスが出現する。集団的な社会生活と道具の使用による文化進化はホモ属の大脳をさらに発達させた。
三〇万年前、ヨーロッパに出現したネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)は、同じころアフリカに現れたホモ・サピエンスとは時代的に共存もした姉妹種である。身体的に屈強でより大きな大脳をもつネアンデルタール人が最終的にホモ・サピエンスによって絶滅に追いやられるまでの経緯は本書の中でもとりわけ興味深い物語だ。ひょっとしたら私たちホモ・サピエンスは今ここにいなかったのかもしれない。
仮説としての物語はそれを支持する証拠があるかどうかでその可否が判定される。断片的に残されたさまざまなデータを紡ぐことにより錯綜した人類進化の歴史を編み上げるためには客観的な論証がたいせつであることを著者は随所で強調する。これからも、新しい知見が得られるたびに、人類進化の物語は書き換えられていくにちがいない。
評者:三中信宏
(週刊文春 2018年3月8日号掲載)内容(「BOOK」データベースより)
著者について
1961年、東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)現東京大学総合研究博物館研究事業協力者。専門は分子古生物学で、主なテーマは「動物の骨格の進化」。著書に『化石の分子生物学』(講談社現代新書、 講談社科学出版賞受賞)、『爆発的進化論』(新潮新書)など。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
1961年、東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。東京大学総合研究博物館研究事業協力者。専門は分子古生物学。著書に『化石の分子生物学』(講談社現代新書、講談社科学出版賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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上位レビュー、対象国: 日本
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明晰な文章で書かれており、新たな知識を得ることもでき、著者の親切な人柄も感じられて、楽しい読書体験でしたが、先述の目的から考えると、物足りませんでした。星三つ。
ネアンデルタール人とホモサピエンスとの交雑があったか、そして、帯にもある、ホモサピエンスがネアンデルタール人を絶滅させたか、という疑問については、きわめて限定的にしか触れていません。すなわち、交雑はあった、ホモサピエンスがネアンデルタール人を殺した証拠となる骨の化石上の傷は見つかっているが、絶滅させたというには、その数が足りない、絶滅は、気候変動への対応など、直接の殺戮以外の理由で起こりうる、ホモサピエンスはおおむね平和的な種だった、というだけ。同種の間で組織的な大量殺戮を何度もしたことのあるホモサピエンスが、もちろん平和的である時期があることや、他の動物の例を踏まえて、その境界を分ける要因はなになのか、定説がないならば科学者は今後如何にアプローチしていくことが可能か、掘り下げてほしかったです。
そして、本書でも紹介されている、現在の黒人のDNAにはネアンデルタール人のDNAがなく、白人と黄色人種にのみ多く見られるという、人種差別の論拠を提供しかねない驚愕の事実には、だからなにがどうなのか、科学的にどう考えるべきか、全く触れていません。著者ができることが限られるということなら、これらについての最新報告や、学説ごとの学者名など、読者がフォローしていく案内を提供いただくと良かったように思います。
進化を発見してから永く押し黙ってしまったダーウィンのようにではなく、これら社会的、文化的、政治的に影響を及ぼすことについて、著者をはじめ自然人類学者はどういう事実や知を提供できるのか考えて、研究成果を提供してほしいと願います。
確かに、本書は書名の通り、多くの原人、旧人、の絶滅史を説明しており、書名と内容の間の齟齬はないのですが、それなら、不用意な帯はつけない方が良かったでしょう。
絶滅史部分は、やや細かすぎて、頭に入りにくかったですが、これは、読者が記憶する努力をしないといけませんね。また、高校の世界史と生物の教科書では、ネアンデルタール人のことをもっと詳しく説明する必要があるでしょう。
という固定観念を読書前に私は持っていました。
その固定観念を作者が一つ一つ、ゆっくりと化石から
分かった事実を拾い上げながら崩してくれるたびに
(なるほど!)と思う事しきりでした。
特に良いなと思ったのは、「化石からでは分からない事実」について
作者が想像し、言及している点です。
滅んでいった人類たちが、例えば「見たものを瞬間的に覚えることができる」、
という驚異的な記憶力を持っていた可能性がある、などと考えますと、
自然と化石に向かう姿勢が謙虚になると思います。
そんな作者の姿勢にとても共感しました。
今までは、人類は進化するにつれSFで描くところのグレイのような姿かたちになっていくのかと思っていた。しかしグレイのような身体で子供をたくさん残せるとは思えない。むしろ身体は立派だが頭は小さくなり、グレイとは真逆のように進化していくのだろうか。それは進化と言えるのか?
著者の更科さん、NHKさん、過去を振り返るだけでなく未来を見透すような視点での次作を期待します。
人類の誕生から、我々ヒトが生まれ現在私がこのレビューを書くに至るまで様々な進化が生まれ、また多くが絶滅していった。なぜ他の人類が絶滅し私たちは生き残っているのか、そこに確実に言えるというものはない。しかし様々な学者の方々が想像し、証拠を元に新たな考察を行いそして正否を証明してきた。すでに語り合える存在ではない絶滅した人類をこれほどまで「存在させる」というのは本当に素晴らしいことだと思う。著者は最後に人は一人ではできることが少ない、協力関係が重要といったことを述べているが、まさにその通りでこの人類史を知ることができたのも私の知らない他の多くの人のおかげである。そしてそれをわかりやすく書き記してくれた著者のおかげである。