ある種を滅ぼしてしまったのが人間の傲慢なら、ある種を保持する、あるいはある種を復活させようとするのもまた、人間の傲慢ではないのか。
そんな、おそらくは答えが出ようもない主題を、真摯に考え抜く一冊だ。
ある気候に特化しすぎた結果、元に戻そうにも戻せなくなったカエル。
人間が滅ぼした(とされる)リョコウバトを復活させようとする人々。
どんな努力も政治によって無にされるシロサイの保護プロジェクト。
著者な世界中を歩き、こうした「絶滅と向き合う人々」の話を丹念に聞いていく。
どの事例も「何が正しいのか」について、強烈に問いかけてくる。
中でも、あらゆる動物の組織の一部を冷凍して保存し、いつでもDNAを取り出せるようにするという「フローズンアークプロジェクト」は考えさせられた。
確かに種の保全は重要だ。しかし、本当に使うかどうかもわからないものを集めて満足するのは、単に人類が罪悪感から逃れるための方便ではないのか。
そう考えてしまうと、結局、生物の絶滅を阻止するということ自体が「余計な事」ではないか……そんな思いが頭から離れなくなる。
サイエンス・ノンフィクションとして読むにはちょっと哲学的すぎて、哲学書として読むには課題の羅列で終わってしまっている感があるなど、本の構成としては少々アンバランスなのが少々残念。
ただ、著者の熱意がひしひしと伝わってくる一冊だ。
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絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ 単行本 – 2018/9/27
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【最新情報】
・2019年2月号「ELLE JAPON (エル・ジャポン)」に、書評が掲載されました! (翻訳家・鴻巣友季子氏)
・2018年12月22日付「日本経済新聞」にて、書評が掲載されました! (筑波大学教授・渡辺政隆氏)
・2018年11月22日号「週刊文春」の「今週の必読」にて、書評が掲載されました! (評者は養老孟司氏)
・2018年11月3日付「読売新聞」にて、書評が掲載されました! (明治大学教授・加藤徹氏)
・2018年10月27日「日刊ゲンダイDIGITAL」にて、書評が掲載されました!
・2018年10月27日号「週刊東洋経済」にて、書評が掲載されました!
⇒厳重に「保護」された滅菌室にしか存在しない、
絶滅寸前のカエル。
⇒周囲を軍隊に警備されて繁殖を強いられた、
地球上に2頭しかいないキタシロサイ。
⇒50億羽を200年足らずで絶滅させた張本人に
DNAから「復元」されつつあるリョコウバト。
痛々しいほどに懸命な人間と、
隔離された哀れな動物を前に、ふとよぎる禁断の疑問。
「いっそ、絶滅してしまったほうが――」
人が介入すればするほど、「自然」から遠ざかっていく。
答えのない循環論法に陥った
自然保護/「種の再生」テクノロジーの現場に迫る。
コロンビア大学が生んだ新進気鋭のジャーナリスト、この世の矛盾を暴く!
全米で数々の賞を獲得した傑作ノンフィクション、いよいよ日本上陸!
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・2018年10月27日「日刊ゲンダイDIGITAL」にて、書評が掲載されました!
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⇒厳重に「保護」された滅菌室にしか存在しない、
絶滅寸前のカエル。
⇒周囲を軍隊に警備されて繁殖を強いられた、
地球上に2頭しかいないキタシロサイ。
⇒50億羽を200年足らずで絶滅させた張本人に
DNAから「復元」されつつあるリョコウバト。
痛々しいほどに懸命な人間と、
隔離された哀れな動物を前に、ふとよぎる禁断の疑問。
「いっそ、絶滅してしまったほうが――」
人が介入すればするほど、「自然」から遠ざかっていく。
答えのない循環論法に陥った
自然保護/「種の再生」テクノロジーの現場に迫る。
コロンビア大学が生んだ新進気鋭のジャーナリスト、この世の矛盾を暴く!
全米で数々の賞を獲得した傑作ノンフィクション、いよいよ日本上陸!
- 本の長さ408ページ
- 言語日本語
- 出版社ダイヤモンド社
- 発売日2018/9/27
- 寸法13.6 x 2.9 x 19.6 cm
- ISBN-104478067317
- ISBN-13978-4478067314
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商品の説明
出版社からのコメント
8種の生きものが、8つの問いを投げかける――
種の保全と再生にまつわるジレンマをつく傑作ノンフィクションの目次をご紹介します。
はじめに 「生命維持装置」につながれた黄色いカエル
第1章 カエルの箱舟の行方【キハンシヒキガエル】
「飼育下繁殖」された生きものは自然に帰れるのか?
第2章 保護区で「キメラ」を追いかけて【フロリダパンサー】
異種交配で遺伝子を「強化」された生きものは元と同じか?
第3章 たった30年で進化した「砂漠の魚」【ホワイトサンズ・パプフィッシュ】
「保護」したつもりで絶滅に追いやっているとしたら?
第4章 1334号という名のクジラの謎【タイセイヨウセミクジラ】
「気候変動」はどこまで生きものに影響を与えているのか?
第5章 聖なるカラスを凍らせて【ハワイガラス】
「冷凍標本」で遺伝子を保護することに意味はあるか?
第6章 そのサイ、絶滅が先か、復活が先か【キタシロサイ】
「iPS細胞」でクローンをつくれば絶滅は止められるのか?
第7章 リョコウバトの復活は近い?【リョコウバト】
「ゲノム編集」で絶滅した生きものをよみがえらせることは可能か?
第8章 もう一度“人類の親戚"に会いたくて【ネアンデルタール人】
「バイオテクノロジーの発展」がわたしたちに突きつける大きな問い
おわりに 「復活の科学」は人類に何をもたらすのか?
種の保全と再生にまつわるジレンマをつく傑作ノンフィクションの目次をご紹介します。
はじめに 「生命維持装置」につながれた黄色いカエル
第1章 カエルの箱舟の行方【キハンシヒキガエル】
「飼育下繁殖」された生きものは自然に帰れるのか?
第2章 保護区で「キメラ」を追いかけて【フロリダパンサー】
異種交配で遺伝子を「強化」された生きものは元と同じか?
第3章 たった30年で進化した「砂漠の魚」【ホワイトサンズ・パプフィッシュ】
「保護」したつもりで絶滅に追いやっているとしたら?
第4章 1334号という名のクジラの謎【タイセイヨウセミクジラ】
「気候変動」はどこまで生きものに影響を与えているのか?
第5章 聖なるカラスを凍らせて【ハワイガラス】
「冷凍標本」で遺伝子を保護することに意味はあるか?
第6章 そのサイ、絶滅が先か、復活が先か【キタシロサイ】
「iPS細胞」でクローンをつくれば絶滅は止められるのか?
第7章 リョコウバトの復活は近い?【リョコウバト】
「ゲノム編集」で絶滅した生きものをよみがえらせることは可能か?
第8章 もう一度“人類の親戚"に会いたくて【ネアンデルタール人】
「バイオテクノロジーの発展」がわたしたちに突きつける大きな問い
おわりに 「復活の科学」は人類に何をもたらすのか?
著者について
M・R・オコナー(M. R. O'Connor)
ジャーナリスト。2008年、コロンビア大学ジャーナリズムスクール修了。現地取材でアフガニスタン、ハイチ、スリランカにも赴いた。『ニューヨーカー』、『アトランティック』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』、『フォーリン・ポリシー』、『スレート』、『ノーチラス』等に寄稿。初の著書となる本書は、アルフレッド・P・スローン財団の支援を得て執筆。2016年にマサチューセッツ工科大学のナイト・サイエンス・ジャーナリズム・フェロー。ニューヨーク・ブルックリン在住。
大下英津子(おおした・えつこ)
翻訳者。上智大学外国語学部英語学科卒業、ニューヨーク大学ギャラティンスクール修士課程修了(アジア系アメリカ女性作家文学専攻)。『火成岩』(文渓堂)、「シーラ」「ポンペイ再び」(『アメリカ新進作家傑作選2007年』所収、DHC)を翻訳。翻訳協力多数。
ジャーナリスト。2008年、コロンビア大学ジャーナリズムスクール修了。現地取材でアフガニスタン、ハイチ、スリランカにも赴いた。『ニューヨーカー』、『アトランティック』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』、『フォーリン・ポリシー』、『スレート』、『ノーチラス』等に寄稿。初の著書となる本書は、アルフレッド・P・スローン財団の支援を得て執筆。2016年にマサチューセッツ工科大学のナイト・サイエンス・ジャーナリズム・フェロー。ニューヨーク・ブルックリン在住。
大下英津子(おおした・えつこ)
翻訳者。上智大学外国語学部英語学科卒業、ニューヨーク大学ギャラティンスクール修士課程修了(アジア系アメリカ女性作家文学専攻)。『火成岩』(文渓堂)、「シーラ」「ポンペイ再び」(『アメリカ新進作家傑作選2007年』所収、DHC)を翻訳。翻訳協力多数。
登録情報
- 出版社 : ダイヤモンド社 (2018/9/27)
- 発売日 : 2018/9/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 408ページ
- ISBN-10 : 4478067317
- ISBN-13 : 978-4478067314
- 寸法 : 13.6 x 2.9 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 157,028位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 134位動物・植物
- - 281位環境・エコロジー (本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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2020年8月19日に日本でレビュー済み
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9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2021年1月3日に日本でレビュー済み
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生物保護を単純に良いことと学校で教わる多くの方々でも、では、もし、蚊、ハエの類いが絶滅の危機に瀕していたなら、保護するであろうかと疑問をもったであろう。本書は、保護、絶滅種の再生に携わる人々の証言、意見を通して、その疑問へ解答を求める人々の、一歩となる書である。
従い、本書を読んだとて、何ら解答が得られるわけではない。寧ろ、新たな疑問に苛まれるであろう。
しかし、安直にネットで答えが得られる現代において、本書の用な、皆が知恵を出すべき提言は重要と思うのである。
従い、本書を読んだとて、何ら解答が得られるわけではない。寧ろ、新たな疑問に苛まれるであろう。
しかし、安直にネットで答えが得られる現代において、本書の用な、皆が知恵を出すべき提言は重要と思うのである。
2020年10月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者がサイエンティストでは無くジャーナリストだからか、文章がわかりやすさよりも演出や感情への訴え方を重視した書き方になっている。その事が本書ではマイナスに作用しているように思える。この本の内容は、それだけで十分に読者の心を動かしうるものだと思う。だからこそ、変な脚色をせず、もっと事実をわかりやすく伝えるように努力するべきだったのではないか。
2019年3月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
絶滅危機の動物に対する保護や人間の関わり方に疑問を投げかけた、保全生物学に関するサイエンス系ノンフィクション。絶滅の瀬戸際にある、もしくは既に絶滅した動物に対する様々な保全の取組事例が、各々章立てで紹介される。種の保全を目的とした人間の干渉や、生態に関する技術進歩が進む昨今において、これらの動物は、そもそも救うべきなのか。
登場するのは以下の動物たちだ。貧困撲滅を目的としたダム建設と環境保護の板挟みの中、多大なコストをかけて飼育下繁殖される、キハンシヒキガエルという新種のカエル。個体群の回復を目的に、別種のピューマと異種交配させることで遺伝子の強化が図られる、フロリダパンサー。わずか30年で別種へと進化したことで、生物の保全とは進化の操作だと気付かされる、ホワイトサンズ・パプフィッシュ。個体数の増減は気候変動の影響を大きく受けると判明した、タイセイヨウセミクジラ。冷凍保存した遺伝子を使い、将来個体を誕生させる試みが実施されている、ハワイガラス。コンゴ政府の権力闘争に翻弄されるキタシロサイ。そして、絶滅した動物をゲノム編集で蘇らせようとする計画はリョコウバト、そしてなんとネアンデルタール人にまで話が及ぶ。
わたしたち人間が生きのびるために天然資源を消費し続ける以上、種の絶滅はその代償であるとし、種の絶滅そのものを著者は遠慮がちに肯定する。種の保存に対する人間の過大な干渉は、その種の自律性が失われ、無意味な行動ともなりかねない。種の保存とは、むしろわれわれ人間のエゴなのかもしれない。
登場するのは以下の動物たちだ。貧困撲滅を目的としたダム建設と環境保護の板挟みの中、多大なコストをかけて飼育下繁殖される、キハンシヒキガエルという新種のカエル。個体群の回復を目的に、別種のピューマと異種交配させることで遺伝子の強化が図られる、フロリダパンサー。わずか30年で別種へと進化したことで、生物の保全とは進化の操作だと気付かされる、ホワイトサンズ・パプフィッシュ。個体数の増減は気候変動の影響を大きく受けると判明した、タイセイヨウセミクジラ。冷凍保存した遺伝子を使い、将来個体を誕生させる試みが実施されている、ハワイガラス。コンゴ政府の権力闘争に翻弄されるキタシロサイ。そして、絶滅した動物をゲノム編集で蘇らせようとする計画はリョコウバト、そしてなんとネアンデルタール人にまで話が及ぶ。
わたしたち人間が生きのびるために天然資源を消費し続ける以上、種の絶滅はその代償であるとし、種の絶滅そのものを著者は遠慮がちに肯定する。種の保存に対する人間の過大な干渉は、その種の自律性が失われ、無意味な行動ともなりかねない。種の保存とは、むしろわれわれ人間のエゴなのかもしれない。









