現代的な家族問題への一般的な入門書としてよくできています。
ただ細かいことを言えば、問題がなくはありません。
筆者は、曖昧な概念に頼ってはいけないと述べ(「家族のみらい」は、 価値観の多様化を説明の主軸に据えたり、 散発的なエピソードに頼ったりしているだけでは見えてきません」)、実証的な研究を指向しているようです。恐らく、筆者には実証研究家としての自負があるのでしょう。
しかし、読み進めていくと、本書では、多くの基礎的概念――例えば、自由、自立、個人、価値、労働etcといった概念――が曖昧なまま使用されており、それらが非常に重要な役割を果たしていることに気付きます。本書では特に数値化しやすい経済関係をベースに議論が進みますが、それら議論をつなぎ合わせる結節点となっているのが、こうした基礎的概念なのです。いわば、筆者の言う「実証研究」は、日常的にも使用されるこうした概念を暗黙の内にリソース(資源)として利用することによってのみ組み立てられているわけです。
数字がたくさん使用され説得力があるようにも見えますが、注意深い読者は、筆者がどのように「実証研究」を構築しているのか、説得力を構築しているのか、気をつけて読むべきでしょう。
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結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書) 新書 – 2016/6/16
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私たちは、いつから「夫・妻・子」のかたちに
これほど依存するようになったのか。
結婚すること、家族を持つことが万人に難しい時代、
社会学の視点から、岐路に立つ現代社会を分析。
◎ 内容紹介
現在の私たちは、「男性は仕事、女性は家庭」という
近代以降に形作られた性別分業体制を脱し、「共働き社会」に移行しつつある。
しかし、この共働き社会では、結婚しない(できない)人の増加、
子どもを作る人の減少といった、「家族からの撤退」をも生じさせた。
結婚と家族はこれからどうなっていくのか――。
本書では、男性中心の家制度、近代化と家の衰退、
ジェンダー家族――男女ペアの家族――の誕生など、
「家」の成立過程と歩みを振り返りながら、
経済、雇用、家事・育児、人口の高齢化、世帯所得格差といった
現代の諸問題を社会学の視点で分析し、
<結婚と家族のみらいのかたち>について考察する。
◎ 目次
はじめに
【第一章】家族はどこからきたか
【第二章】家族はいまどこにいるか
【第三章】「家事分担」はもう古い?
【第四章】「男女平等家族」がもたらすもの
【第五章】「家族」のみらいのかたち
あとがき
◎ 著者プロフィール
筒井淳也(つついじゅんや)
1970年福岡県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。
現在、立命館大学産業社会学部教授。専門は家族社会学・計量社会学。
著書に『制度と再帰性の社会学』(ハーベスト社)、
『親密性の社会学』(世界思想社)、『仕事と家族』(中公新書)などがある。
- 本の長さ260ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2016/6/16
- ISBN-104334039278
- ISBN-13978-4334039271
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
現在の私たちは、「男性は仕事、女性は家庭」という近代以降に形作られた性別分業体制を脱し、「共働き社会」に移行しつつある。しかし、この共働き社会では、結婚しない(できない)人の増加、子どもを作る人の減少といった、「家族からの撤退」をも生じさせた。結婚と家族はこれからどうなっていくのか―。本書では、男性中心の家制度、近代化と家の衰退、ジェンダー家族―男女ペアの家族―の誕生など、「家」の成立過程と歩みを振り返りながら、経済、雇用、家事・育児、人口の高齢化、世帯所得格差といった現代の諸問題を社会学の視点で分析し、“結婚と家族のみらいのかたち”について考察する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
筒井/淳也
1970年福岡県生まれ。一橋大学社会学部卒業。同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。現在、立命館大学産業社会学部教授。専門は家族社会学・計量社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1970年福岡県生まれ。一橋大学社会学部卒業。同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。現在、立命館大学産業社会学部教授。専門は家族社会学・計量社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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著者について
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社会学者。計量社会学、家族社会学。
一橋大学大学院社会学研究科満期退学。
博士(社会学)。
立命館大学産業社会学部教授。
Website: https://researchmap.jp/read0192468
Blog:「社会学者の研究メモ」http://jtsutsui.hatenablog.com/
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.8
星5つ中の3.8
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トップレビュー
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2020年12月1日に日本でレビュー済み
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人生の早い段階で読んでおきたい一冊。できれば結婚前、20代前半のうちに読んで、自分なりに内容を消化しておくのが良いと思う。既婚者が読んでも得るものは多いはず(ちなみに私は既婚、二人の子持ち)。これからの自分や相手、家族との関係を考えさせられる一冊だと思う。
私個人としては、本書を読むだいぶ以前から結論は出ており、本書はそれを実際のデータで裏付けする形となった。結婚、出産(子を持つこと)、家族というしがらみは、すでに「オプション化」しているのだ。法律がどうであれ、実際の我々の多くはそれらをもはや「絶対・必須」とは考えない、否、考えられないだろう。それらが必須であり、生きていくために必要だったのは遠い昔の農耕村落時代、長く見積もっても、産業革命で多くの労働者が都市や工業地帯に集まり始めるまで、である。大多数の人々にとって、これら3つの要素はもはや「リスク」でしかない。「おひとり様」サービスが脚光を浴びていることでもわかるように、この流れが逆流することはもはや無い。これからは、いかに個である自分の周りに他の個とのネットワークを築けるかが問われる。それがうまくできれば幸せな「個」であり、できなければ不幸せで寂しい「孤」となる。この現象は今にはじまったことではないが、これからはそれがいたるところで顕著化するということなのであろう。
私個人としては、本書を読むだいぶ以前から結論は出ており、本書はそれを実際のデータで裏付けする形となった。結婚、出産(子を持つこと)、家族というしがらみは、すでに「オプション化」しているのだ。法律がどうであれ、実際の我々の多くはそれらをもはや「絶対・必須」とは考えない、否、考えられないだろう。それらが必須であり、生きていくために必要だったのは遠い昔の農耕村落時代、長く見積もっても、産業革命で多くの労働者が都市や工業地帯に集まり始めるまで、である。大多数の人々にとって、これら3つの要素はもはや「リスク」でしかない。「おひとり様」サービスが脚光を浴びていることでもわかるように、この流れが逆流することはもはや無い。これからは、いかに個である自分の周りに他の個とのネットワークを築けるかが問われる。それがうまくできれば幸せな「個」であり、できなければ不幸せで寂しい「孤」となる。この現象は今にはじまったことではないが、これからはそれがいたるところで顕著化するということなのであろう。
2018年3月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ワークライフバランス(WLB)と言えば、労働者の働き方に変容を促す重要な指標であり、
一聞するとその考え方にはメリットこそあれ、デメリットが潜むようなことはなさそうである。
本書は、結婚や家族を取り巻く情勢と経済との関係を様々な角度から検証しながら、
かなり学術的に今後の家族像を提示した内容になっている。
特にWLBが、実は格差社会の成立に一役買っているのではないかという考察は、傾聴に値するように思われる。
これから子供が結婚する親世代の人間は、来るべき日本の結婚事情を知っておくことはちょっと役に立つかもしれない。
一聞するとその考え方にはメリットこそあれ、デメリットが潜むようなことはなさそうである。
本書は、結婚や家族を取り巻く情勢と経済との関係を様々な角度から検証しながら、
かなり学術的に今後の家族像を提示した内容になっている。
特にWLBが、実は格差社会の成立に一役買っているのではないかという考察は、傾聴に値するように思われる。
これから子供が結婚する親世代の人間は、来るべき日本の結婚事情を知っておくことはちょっと役に立つかもしれない。





