下巻は「課税の原理」の途中、第十六章から最終章の第三十一章までと、上下巻含めた解説、訳者あとがきを収録。内容としては前巻と同じく、アダム・スミスの問題系の下で、自らの示した「経済学の原理」の筋からアダム・スミスやセーやマルサスなどの学説を批判するという進み方をしている。相対的な労働量の反映である価値と、享受できる諸商品の分量で示される富の両者の区別に基づく批判や、地代は超過分の富として事後的に定まり、賃金と利潤の合計が生産力として国富を形成し、両者の比率の違いで経済状態が変化していくという視点からの議論が続いていく。解説でも触れているが、アダム・スミスの「国富論」が持っているある種歴史・文化的な読み物としての面白さはなく、議論に終始していて、記述を追っていくと冗長なところがある。しかしながらそんな純理論的なまなざしがマルクスをいたく刺激したらしいことが解説で示されていて、マルクスのテキストの読み手としての鋭さに思いが及ぶ。
また、リカードウの議論の方向性を見ていると、相対価値や比率によって思考していく傾きがあって、状況が刻一刻変わりゆく中で一定な指標を見つけようとする思考パターンが垣間見える。経済学が数理化していく流れの萌芽的な形を読み取れる。
「国富論」よりも濃密に経済学内の議論が全面に展開されている一冊。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。

Kindle化リクエスト
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。