明治期の国学者、井上哲次郎が儒学の四書五経の中の五経の一つである『礼記』の中にある「人倫上に明らかにして、小民下に親しむ」(上に立つものが君臣、父子、夫婦、朋友、長幼の間で守るべき道を明らかにしてはじめて人民は和楽する)という一節から「倫」の字を取り、これに「道理」の「理」をつけて「倫理」という言葉を造語して、これを英語のEthicsの訳語としたといわれています。この由来は福沢諭吉が英語のSpeechに「演説」という訳語を当てたことの意味的・語感的洒脱さに比べると何となくかび臭く新鮮さに欠けます。
「経営倫理」と聞いてピンとこなくとも、CSR、コンプライアンス等の言葉を聞くと「ああ、ウチでもやっている」と思い至るサラリーマンは多いようです。『辞典』の編集後記が「進化論的過程を経てできあがった」と書いているだけあって、内容的には多様性に富んでいると感じました。用語を引いて意味を調べることが『辞典』の本来の活用方法だが、用語の解説を一つ一つ順を追って読んでいくのもまた結構楽しく、引くのも良いが読んでも楽しめる『辞典』という感想を持ちました。
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