毎年2月7日は北方領土の日だ。
戦中世代の私は、この日が近付くと、日ソ不可侵条約を一方的に破棄して
すでに沖縄も失い、広島への原爆で青息吐息の日本に火事場泥棒的に侵攻してきたソ連に対し腹の底から怒りを感じる。
本書は数年前に発行された時から、読みたい本として目を付けていたが、あまりの長編に二の足を踏んでいた。
今回思い切って読み始め、ようやく上巻のみ読み終えたところです。
終戦間際の大本営は来る本土決戦に備えて大動員計画を策定する。
しかし、玉砕的決戦ばかりではなく、あるていど和平への布陣も考えていたようだ。
大動員計画の結果、すでに2回の応召を果たし、戦地で指3本を失った退役曹長の佐々木
東京外語学校卒で敵性語の英語の翻訳に従事していた45歳の片岡直哉
などにも召集の赤紙が回ってくる。
上巻では、このほかに体躯貧弱で岩手医専卒、東京大学医学部在学中の菊池忠彦を加えた3人が
運命の見えない糸に引かれて同じ列車で応召
根室から1000キロ、ソ連のカムチャッカ半島先端と目と鼻の先の占守島(シムシュとう)へと赴くところで終わっている。
実は本書を読む前は占守島などという名前は聞いたことがなく
北方4島や樺太などへのソ連の侵攻の読み物だと思っていたが
じつは最果ての地、占守島の攻防戦の話らしいと分かった。
これから中巻、下巻とどのような展開になっていくのだろうか。
作者は市井の人々の日常生活の描写からはじまって
予期せぬ赤紙を貰い、ただただ戦争に巻き込まれていく人々を
大河小説の手法で書き込んでいる。
話には色模様もないし女性はわき役だ。
それでも、ぐいぐいと先を急いで読ませtる著者の筆力は大したものである。
本書の中で多用されている東北弁の会話は
想像力を逞しくしないとついていけない読者もいるのではないか。
次巻意向を楽しみに読もう。
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