本書『紳士協定―私のイギリス物語』を読み終わり評者にとって衝撃的に感じたエピソードを下の・・・・・内に転載したい。
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2002年2月、鈴木宗男疑惑に関連し、外務省内に調査チームが作られた。なんとその責任者に武藤氏が選ばれ、「佐藤優の悪行の数々」を調査することになった。
03年十月八日に釈放されてから数ヵ月経って、来日したロシア外務省の幹部たちが、少し遅れた「出所祝い」をしてくれたことがある。その時、ロシア側は武藤氏についてタフネゴシエ―ターだが有能で、人間的に信頼できる人物という評価をしていた。 私もその話を聞いて、とても嬉しかった。しばらく武藤氏の話が続いた後で、私は何気なく「私の調査、告発する作業の責任者を外務省は武藤氏にやらせるんですよ」と言うと、ロシア人たちは「エッ」と驚いて、しばらく黙りこんでしまった。それから、おもむろに口を開くと、こんなことを教えてくれた。
「ソ連時代の共産党中央委員会やKGBにそっくりですね。KGBでは誰かを断罪するとき、その人と親しかった人物に其の作業をさせるのですよ。何よりの踏み絵になるからね。(佐藤優『自壊する帝国』新潮社文庫、2008年、34P)
・・・・・
上に転載したのは、著者「あとがき」に記述されていたことである。(P392~393)
外務省は「伏魔殿」だと、外務大臣に就任して早々に放言した某大臣(好きになれない人物だが)がいたが、佐藤優氏に対し外務省の行った決定は、ソ連時代の共産党中央委員会やKGBの手法を用いるなど「伏魔殿」より陰湿で嫌悪感を覚えたのは評者だけだろうか。
佐藤優氏は、自身の価値基準を基にしてロシアンスクールのメンバーとして仕事に没頭しすぎたことから「出る杭は打たれる」の諺通りの結末を向かえたように思える。
本書は、氏が外務省から英語研修と、ロシア語の基礎を習得するため派遣されたロンドンでの14ヵ月の思い出を綴ったものである。
ホームステイしたファーラー家次男の12歳になるグレンと心を通わせる交流は読者を必ず魅了するだろう。
巻末でグレンのその後を知り、イギリスが階級社会だということを思い知らされ、これは現実であり小説ではないのだと気がつくのです。
同じ研修を受けるためのメンバーに親友の武藤氏もいたから、彼との会話なども興味を添えている。
佐藤優氏は、受験勉強(受験のための参考書だけ読む)だけしてきた外務官僚とは一線を画した知識人(読書量の多さと記憶力の良さに驚嘆する)であり、あらゆる場面で有能な外務官僚だったことは間違いないだろう。
評者は、かってなにかの本で読んだのだが、ある人が「最近のキャリアー外務官僚は、ワインの銘柄などには精通しているが、相手が文学、哲学、芸術などの話題に入ってくると黙ってしまう」と嘆いていたのを思い出してしまった。
友人などに読むよう進めたいと思いながら興味深く読み終えた一冊でした。
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紳士協定: 私のイギリス物語 (新潮文庫) 文庫 – 2014/10/28
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あの夏の約束を捨て、私は外交官になった。
英国研修中の若き日々を追想する告白の書。
1986年、入省二年目の私はイギリスにいた。語学研修に追われる単調な日々の小さな楽しみは、ステイ先で出会った12歳のグレンとの語らいだった。ロンドン書店巡り、フィッシュ&チップス初体験。小さな冒険を重ね、恋の痛みや将来への不安を語りあった私たちは、ある協定を結んだ……。
聡明な少年を苛む英国階級社会の孤独と、若き外交官の職業倫理獲得までの過程を描く告解の記。
【目次】
モスクワのテーブルマナー
フレミングス・ホテル
ステーキ・アンド・キドニー・パイ
ジェシー
フィッシュ・アンド・チップス
チャイナタウン
フォイルズ
コレッツ
スコッチ
郊外電車
ヨークシャープディング
家族
プール
オフィサーズ・メス
戦場のメリークリスマス
フカヒレスープ
北京ダックの飼育法
忠告
運び屋
グレン
あとがき
解説:鴻巣友季子
佐藤優
1960(昭和35)年生れ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。在英大使館、在露大使館などを経て、1995(平成7)年から外務本省国際情報局分析第一課に勤務。2002年5月に背任容疑、同7月に偽計業務妨害容疑で逮捕。2005年2月執行猶予付き有罪判決を受けた。同年、自らの逮捕の経緯と国策捜査の裏側を綴った『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』で毎日出版文化賞特別賞を受賞。以後、文筆家として精力的に執筆を続けている。主な著書に『自壊する帝国』(新潮ドキュメント賞、大宅壮―ノンフィクション賞受賞)、『獄中記』『私のマルクス』『交渉術』『読書の技法』『神学の技法』『紳士協定―私のイギリス物語』『先生と私』『いま生きる「資本論」』『世界史の極意』『君たちが知っておくべきこと』『十五の夏』(梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞)、『高畠素之の亡霊』など多数。共著も多い。
英国研修中の若き日々を追想する告白の書。
1986年、入省二年目の私はイギリスにいた。語学研修に追われる単調な日々の小さな楽しみは、ステイ先で出会った12歳のグレンとの語らいだった。ロンドン書店巡り、フィッシュ&チップス初体験。小さな冒険を重ね、恋の痛みや将来への不安を語りあった私たちは、ある協定を結んだ……。
聡明な少年を苛む英国階級社会の孤独と、若き外交官の職業倫理獲得までの過程を描く告解の記。
【目次】
モスクワのテーブルマナー
フレミングス・ホテル
ステーキ・アンド・キドニー・パイ
ジェシー
フィッシュ・アンド・チップス
チャイナタウン
フォイルズ
コレッツ
スコッチ
郊外電車
ヨークシャープディング
家族
プール
オフィサーズ・メス
戦場のメリークリスマス
フカヒレスープ
北京ダックの飼育法
忠告
運び屋
グレン
あとがき
解説:鴻巣友季子
佐藤優
1960(昭和35)年生れ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。在英大使館、在露大使館などを経て、1995(平成7)年から外務本省国際情報局分析第一課に勤務。2002年5月に背任容疑、同7月に偽計業務妨害容疑で逮捕。2005年2月執行猶予付き有罪判決を受けた。同年、自らの逮捕の経緯と国策捜査の裏側を綴った『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』で毎日出版文化賞特別賞を受賞。以後、文筆家として精力的に執筆を続けている。主な著書に『自壊する帝国』(新潮ドキュメント賞、大宅壮―ノンフィクション賞受賞)、『獄中記』『私のマルクス』『交渉術』『読書の技法』『神学の技法』『紳士協定―私のイギリス物語』『先生と私』『いま生きる「資本論」』『世界史の極意』『君たちが知っておくべきこと』『十五の夏』(梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞)、『高畠素之の亡霊』など多数。共著も多い。
- 本の長さ405ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2014/10/28
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101331774
- ISBN-13978-4101331775
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
1986年、入省二年目の私はイギリスにいた。語学研修に追われる単調な日々の小さな楽しみは、ステイ先で出会った12歳のグレンとの語らいだった。ロンドン書店巡り、フィッシュ&チップス初体験。小さな冒険を重ね、恋の痛みや将来への不安を語りあった私たちは、ある協定を結んだ…。聡明な少年を苛む英国階級社会の孤独と、若き外交官の職業倫理獲得までの過程を描く告解の記。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐藤/優
1960(昭和35)年生れ。’85年、同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。在英日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館などを経て、’95(平成7)年から外務本省国際情報局分析第一課に勤務。2002年5月、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。’05年2月執行猶予付き有罪判決を受けた。同年『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』で毎日出版文化賞特別賞を受賞した。主な著書に『自壊する帝国』(新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1960(昭和35)年生れ。’85年、同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。在英日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館などを経て、’95(平成7)年から外務本省国際情報局分析第一課に勤務。2002年5月、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。’05年2月執行猶予付き有罪判決を受けた。同年『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』で毎日出版文化賞特別賞を受賞した。主な著書に『自壊する帝国』(新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2014/10/28)
- 発売日 : 2014/10/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 405ページ
- ISBN-10 : 4101331774
- ISBN-13 : 978-4101331775
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 277,960位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
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著者について
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元外交官で文筆家。ロシア情報収集・解析のエキスパート。魚住昭/ジャーナリスト。ノンフィクションに著作多数。青木理/ジャーナリスト。元共同通信記者。『日本の公安警察』『絞首刑』など著作多数。植草一秀/経済学者。日本経済、金融論が専門。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻 (ISBN-13:978-4838721566)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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カヴァーレゲンダ偽装して、他国に入り込む人間の普段の仕事や能力の育成に関して書かれている。鬼畜米英の一つと日英同盟を結んでいた、日本の中の多極構造が垣間見える。EUの中の英国や蘭国と、アジアの中の日本は相似。なぜ、紳士協定というタイトルなのか?多分、フットボールの世界と一緒だ。
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2019年2月15日に日本でレビュー済み
外交官、新人時代の佐藤先生の体験記、イギリス、です。ヤング島耕作みたいな趣があります。あんまりこう言うのはありませんので、かつ、もう更に過去のイギリスの話ですので。貴重なものがあります。難を言えば、最後の方にイギリス少年と映画を観るシーンがあり、作者様のしたいことも分かるし、それと、ダブらせる、という、意図も分かります。まあこんなこというと、作者様に、理解力が無いと言われましょうが、読者としては、ポカン。でした。興味ない。書くことなくなったのなら、付録として当時なりのイギリスの、佐藤先生なりの情勢、政治分析の、そこの居た者としての、雑感みたいなのが読みたかったです。蘇るロシア帝国みたいなのを期待してました。しかし当時のイギリス人家庭の、やり方、ビールをキットで手作りとか、とても面白いです。(ビールに関しては今もどこかの家庭でやってるでしょうが)






