今時珍しい作画スタイル。細い線、太い線を自在に操り、若干デフォルメの効いた、素朴に見えて卓越した技術。
他の漫画では見られない作者独自の作描と瑞々しい感性によって、登場人物は紙の上で本物の生よりも生らしく振舞い。生き生きとした感情を溢れさせています。
そしてそれに触れてしまったら、一気に物語の世界に引き込まれていきます。
今巻は最終巻に向けて伏線が回収され、主要人物の心にも大きな変化が起こる。見ごたえのある巻です。
自分の思うままに藩政を動かしてきたかに見える大村崎、武士としての覇気をなくし好々爺になったかのように見えた武部。二人が本心をぶつけ合います。
二人の生き方は藩での出世を考えてすれ違ったものでは無く、立場と自分の考える武士道の違いによる、間違いなく一人の武士としての生き様の違いでした。
瀬能一家に対する仕打ちは残虐なものででしたが、大村崎が一人の武士としての生き方を全うした故の結果だったのだなと納得する事が出来ました。大村崎は最後まで武士の筋を通しました。
そして瀬能に対する森の変化も見ごたえがあります。心の動き一つ一つが丁寧に描かれ、瀬能と森の絆が深まる過程が、実に魅力的に描かれています。なぜこれほどまでに人間の魅力と心情をきめ細かく描けるのでしょう。作者のセンスに脱帽するしかありません。
菊池に切り殺された森の部下を瀬能が抱え、優しく語りかける場面があります。思わず涙がこぼれました。
無残に切り捨てられた者と、生き残った者、両者に瀬能の優しさが届いたことでしょう。
松本大洋はやはり普通ではない才を持った、誰の物真似でもない確かな自分を持つ作家だと思いました。素晴らしい漫画です。
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