傑作の誉れ高いファースト『第三の男』よりもトラックが明るくなり、アゲ系の曲が増えたとしばしば指摘されるが、私が見る限りそれほどの変化は認められない。とにかく肝心なのは、童子のラップだ。ヤンキーメンタリティー丸出しの前向きなリリックは相変わらずだし、安定したフローと固い韻踏みも健在。「今 つかめなくても それじゃ
遠回りでも 後悔だらけでも 笑って言えりゃいいんじゃねぇの」(蜃気楼第二章)の一節が一番心に響いた。ただひとつだけ難を言えば、童子の場合feat.は無用だということ。単独で十分聞かせる声質と力量を持ったラッパーだけに、ABC勢やLITTLEなどのお約束ゲストはかえって余計に感じてしまう。