ダンジョン飯からするとずいぶん雰囲気が違いますが、あちらがビジネスならこちらは素顔ぐらいの立ち位置でしょうか。初期の作品なのでまだ描きたいものを描くという気持ちが溢れていて読み手はその才気を楽しむ、そういう作品集といえる。
絵は一見すると荒くみえるが、拙いのではなく線を選んで引いている。手の表現などは独特だがキャラクターの心の動きと見事にリンクしている。構図も決まっている。レベルが高い。
ストーリーはプロットを一ひねりしているので一見するとオチが行方不明に見えるが、実際にはちゃんと納得できる。ただ、この才気を見ると逆にダンジョン飯が物足りなく感じられる。
表紙はケンタウロスこと馬人間とサルから進化した猿人間の「現代神話」。ビジュアルがユニークなのでファンタジーかと思えば完全に社会派。多様性と共生をテーマに、社会と家庭の二つの視点から描くという難易度の高い構成はすごい。それが5巻とか10巻とかの長編ならともかく50頁ほどの短編なのが驚きだ。
こうした質の高い作品を書く人はマニアックな方に行きがちだがビジネスに目覚めたのは良かったと思う。マニアックなままなら才能を知る人は限られるがビジネスベースに乗れば多くの人の目に触れる。ダンジョン飯のアニメ化が待ち遠しいし、その実績にのって本作品集の短編が映画にでもなればと、思う。
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