新聞の書評で本書の存在を知ったのだが、私は元々登山やまして探検に関心があるわけではなく、本書の舞台であるツアンポー峡谷やチベットに関心があるわけでもなく、当然筆者についても何も知らなかった。正直言ってそこまで本書には期待していなかった。しかし、筆者の確かな文章力と特に後半の手に汗握る展開によって本書に目が釘付けされてしまい、あたかも自分が筆者の「探検」に部分的に参加したような気持ちにさせられ、爽快感や達成感まで感じさせられてしまう。朝日新聞勤務で鍛えられたということなのだろうか、筆者の文章力は特筆すべきものがある。
写真がほとんど無く、筆者の文章によってツアンポー峡谷の雄大な風景を想像するしか無いのだが、チベットの奥地の人たちの昔ながらの暮らしぶりや中国との関係性は実に興味深い。かのシャングリ・ラ伝説は、元々チベット発祥だったことを本書を読んで初めて知った。筆者は、探検で生死の境を経験することで生きるということの意味を確認したと述べており、探検家の考え方が初めて分かった気がした。それにしても、グーグルマップで全世界の画像をお茶の間で見ることができる現代においても、未だに人類未踏の土地があり、そこを踏破しようとする人、しかも日本人がいたということはなかなかに衝撃的であった。現代にも「探検」が存在することを教えてくれる渾身の力作である。
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