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空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫) 文庫 – 2011/5/28
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- 本の長さ209ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2011/5/28
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101352410
- ISBN-13978-4101352411
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
1955(昭和30)年、東京生れ。千葉に育つ。中央大学中退。外務省勤務、コピーライターを経て、’85年、毎日童話新人賞を受賞し、作家活動に入る。2005(平成17)年、小説『楽園の鳥カルカッタ幻想曲』で泉鏡花文学賞受賞。’06年、奈良市に移住し、’07年より、奈良少年刑務所「社会性涵養プログラム」講師。宮沢賢治学会会員。児童文学からノンフィクションまで幅広い著作がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2011/5/28)
- 発売日 : 2011/5/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 209ページ
- ISBN-10 : 4101352410
- ISBN-13 : 978-4101352411
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 6,667位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
著者について

千葉県立千葉高等学校卒。外務省、広告制作会社勤務、フリーランスのコピーライターを経て、1986年、毎日童話新人賞を受賞、童話作家としてデビュー。以後、童話・絵本・小説・ノンフィクションと幅広く活躍。2006年より奈良市在住。
http://ryomichico.net/
1991〜1997年、衛星放送ラジオ局「セント・ギガ」に600篇以上の詩を提供。
1992年、野辺山宇宙電波観測所十周年記念絵本『ほしがうたっている』(絵・高橋常政、思索社)を制作。
2004年、兵庫県立西はりま天文台の2メートル望遠鏡「なゆた」完成記念絵本『遠くをみたい 星の贈りもの』(画・東逸子、パロル舎)を制作。
2005年、大人を主人公とした最初の小説『楽園の鳥 カルカッタ幻想曲』(講談社)が第33回泉鏡花文学賞を受賞。同年、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構の助成を受けて制作した絵本『イオマンテ めぐるいのちの贈り物』(画・小林敏也、パロル舎)が小学館児童出版文化賞候補作に選出。
上記以外の作品に、子どもを主人公とした小説『小惑星美術館』『ラジオスターレストラン』『ノスタルギガンテス』『星兎』(以上パロル舎)『夢見る水の王国』(角川書店)、先住民文化関連絵本『父は空 母は大地 インディアンからの手紙』『おおかみのこがはしってきて』(いずれもパロル舎)、絵本『黒い太陽のおはなし 日食の科学と神話』(絵・佐竹美保、小学館)、ノンフィクション『マザー・テレサへの旅 ボランティアってだれのため?』(学研)『しあわせの王様 全身麻痺のALSを生きる舩後靖彦の挑戦』(小学館)など。
幼稚園・保育園向けの月刊絵本誌でも数多くの作品を発表し続けている。それらの中から絵本『おおきくなったらなんになる?』(鈴木出版)『ほしのメリーゴーランド』(フレーベル館)などが単行本化されている。アジア各国で翻訳出版された作品も多い。
金沢歌劇座で2012年に上演されたオペラ「ラジオスターレストラン 星の記憶」では原作・脚本を担当した。
カスタマーレビュー

上位レビュー、対象国: 日本
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吉野家でベジ丼を食べながら、何気に開いて読み始めたんだけれども、もう、最初っから泣けて泣けて……。日曜の午後、吉野家でぐしゃぐしゃになって泣いているオヤジを見かけても、どうかそっとしておいてあげてください。きっと、とっても素敵な本に出会ったんだと思います。
ぼくは悲しい事件を耳にすると被害者よりも加害者のほうに思いが振れてしまいがちなのだけれど、それは単に被害者の気持ちを想像するのが難しいというだけでなく、加害者になるかならないかの違いは、本当に紙一重だと思っているから。この詩集を読んでみると、本当にぼくが犯罪を起こさないでいるのは、親をはじめとした、これまで出会った人たちのおかげなんだと思わずにはいられない。
この詩集は「社会性涵養プログラム」と呼ばれる奈良少年刑務所の更生教育の一環として行われた「物語の教室」で生まれた詩を集めたもの。
まずぼくは「涵養」という言葉を知らなかった。
調べてみると「雨水や河川の水が地表から地下に浸透して地下水となること」を指すらしいが、比喩として「水が土に自然に浸透していくように、無理をせず、ゆっくりと養い育てる」という意味があるんだそうだ。
この「社会性涵養プログラム」は「ソーシャル・スキル・トレーニング」と「絵画」と「童話と詩」という3つのプログラムで構成されている。「童話と詩」を担当した編者は「言葉を中心とした情操教育をしてほしい」という以外、なにも縛りのない依頼だったと書いている。
事細かにその様子があとがきに書かれているのだけれど、簡単に書くとこうだ。
最初は童話を読む。登場人物に扮し、ロールプレイにのように朗読する。
次に詩を読む。
そして詩を書く。
たったそれだけらしい。詩の題材も自由。書けない子どもにだけ「好きな色」というテーマが出されるらしいが、他に特別なメソッドがあるわけじゃない。
詩集の後半では「母」というテーマでいくつかの詩が載っている。読んでみて改めて思う。母は偉大だと。ここに載っている詩では、ほとんどの場合、父は悪者か不在だ。現代の父親不在は深刻なのかもしれない。だからこそ父をうたった詩も読んでみたいと思った。
この教室で魔法のように子どもたちが変わっていく背景として、編者の 寮 美千子さんは教官や刑務官の存在とその役割を強調している。彼らが普段から子どもたちに注いでいる愛情と導きがあってこそ、この魔法が実現していると。
乾井教官というかたの言葉が紹介されている。
「思いを汲んで、寄り添い支え、手塩にかける」
ぼくは刑務所の刑務官や教官のイメージががらりと変わった。
本当に奇跡的な言葉がたくさん散りばめられている詩集だから、他にもたくさんの驚きと感動に出くわすはずだ。
You Tubeなどには朗読している動画もある。文字として引用もできるけれど、やはり詩は朗読して聴くと実にいいものなので、聴いてみていいなと思ったら、ぜひ本も!
その際、吉野家はもちろん、電車の中とかスタバとか、人の目のあるところで読むのはおすすめしません。
文庫本のあとがきにアマゾンの読者レビューに載っていた詩が紹介されている。僕もこんな気持ちで接する人でいたいし、社会もそうあってほしい。そう、せつに、せつに、せつに願ってやまない。(現在はレビューには掲載されていないもよう)
『やがて出て行く君たちへ』 Lehman Packer
君はいずれここを出て行くのだろう
時に暖かく
時に厳しい
世間に出て行くのだろう
つらい時、みじめに感じた時には
この詩を書いたときのことを思い出してごらん
君の心に向き合った時のことを
君の心に優しいものを見つけた時のことを
思い出してごらん
その思いを言葉に表せた時の喜びを
伝えた時に感じた胸の高鳴りを
受け止めてくれた友を
その賛辞を
思い出してごらん
世界でただ一つの詞をつむいだ君を
君に幸あれ
君の心に安らぎあれ
一家にひとり、
おおらかなおかあさんがいることが
どれだけ世の光になるかを改めて思った。
家庭科のテキストにしてほしい詩集。
…今年でおかあさんの7回忌です。
おかあさんは病院で
『つらいことがあったら、空を見て。そこにわたしがいるから』
とぼくにいってくれました。
それが最期の言葉でした。
おとうさんは、体の弱いおかあさんをいつも殴っていた。
…ぼくは心に誓った。
母さんを守ろうと
けれども どうすることもできず
なにもできない自分が悔しくて
母さんは 殴られても殴られても じっと耐え
涙もみせず やさしい声で ぼくに言った
「だいじょうぶ すぐに 恐くなくなるからね」
いつか強くなって ぼくが母さんを守るんだ
って思ったのに ごめん 遅すぎたね
母さんは 天国へ 逝ってしまった。
…いちどでいいから
かおをみせてよ おかあさん
だきしめてよ おかあさん
いちどでいいから
ぼくのなまえを よんでよ おかあさん
そしたら
ぼくから つたえたいことがあるんだ
「うんでくれて ありがとう」
…もらったもんが 大きすぎるから
恩返しなんて おれにはできひん
でも
悲しませることは もうせえへん
もうせえへんよ おかん
…よく笑う母が心の救いです
母の日に一度はしたい肩たたき
書いたのはどんな子なんだろうか。想像しようとしても、顔が闇に沈んでしまう。なのに吸い着けられるように、詩の言葉から目を逸らすことが出来ませんでした。
「頑張って生きて行って欲しい」などと簡単に言えません。希望はいつでもあると思う一方、自分の心に残った苦しさを表す言葉を探しています。
某施設に置いてあり、待ち時間に見ていたらこれから人と話すというのに泣いてしまってちょっと気まずかったですが、逆に言えば場所を選ばないくらいこの本にのめり込んで感情移入してたわけなので、本当に引き込まれたんだと思います。
自分には年頃の息子がいますが、重ね合わせる部分もあったし、たとえ子供がいなかったとしても自分の子供時代のことを重ね合わせていたと思います。
特に自分の育てられ方も愛情を持って育ててもらったと思うし、息子に対しても普通の親子だと思います。
ただ大人になってこういう若者の心の叫びを聞くと、なんとかならないものかと思うと同時に自分の親にも感謝するし、もっと言えば人間ってなんだろうと思いました。
ただただ、愛を注ぎ続ける大切さ。それはお互いにとって一番大切なことだと思ったし、叶わなかった少年たちもどこか希望を持っていることがさらに感動を深めました。