現実に漠然とした不満・不安を持つ主人公が、夫の田舎で義母や義祖父と敷地内同居をすることになったことがトリガーとなり、この「現実世界」と隣り合って存在する「異世界」との中間のような空間に入り込み、現実には存在しない 「黒毛の動物」 や 「穴」 と出会い、精神の内面の不安定・無気力さ、そして人生そのものにスタックして、あたかも穴に嵌っているような自分に気付く(たぶん)・・・・、その程度のお話。
おそらく、村上春樹氏の短編集 『はじめての文学』 、その他にも掲載されている、 「かいつぶり」 とか 「緑色の獣」 のような、現実⇔非現実(異世界)を行き来する作品にインスパイアーされて、もしくはヒントを得て書いたのでしょうが、中途半端で、描き切れてないように思います。
わたしは、とりわけ芥川賞の場合、必ずしも作品に、明示的意味性や結論らしきもの、ましてや大団円のようなものを求める読者ではありませんが、作品として我々の前に提示する以上、ある程度の強靭さを持つ物語の枠組みとか、最低限の内容の調和・整合性や収斂は必要だと思います。
年に2人「芥川賞」作家が “自動的に生産” され、次々と消えてゆくという文学界の原理が分かるような気がしました。
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