本書の表紙絵が小さな女の子と彼女の本棚のものですが、編集者が執筆者に出したお題は、本棚にまつわる幼少時からの記憶や大人になっての物語なのでしょうか、幼少時のことを書いた作品が多めの印象があります。ほかに、実家の書架から自立し巨大な書架を建設するまでの作品が数点、書架に収められた本の中身のことが数点あります。己の書架の変遷を書いた作品は、概ね詰まりません。蔵書の多さに苦しむことは、程度の差こそあれ想像しやすく、驚くような話にはなりません。雑誌寄稿文をまとめた安易さのゆえ、迫力不足。減点一転。
面白かったのは、内田樹、池上彰、祖父江慎、鹿島茂、磯田道史。読み物に仕立て上げてあります。唐沢俊一、井上ひさしのエッセイがそれに続きます。
内田は講談社版「少年少女世界文学全集」シリーズ50巻を毎月読んだ由。うちにもあった。恥ずかしいことにほとんど読まずに古本屋に行ってしまいました。なかでも内田の評価するケストナー「飛ぶ教室」を読まずにいたことは悔やまれます。いまからでも読まずに死ねないと思います。
本棚を語るなら、中身を語らないといい本にはなりません。写真を添えて、虫眼鏡でだれが何を愛蔵し、読んだのか、のぞき見するのが本棚に関わる本の醍醐味ではないでしょうか?写真がないなら本棚の中身を語ってくれないと。
池上は本棚の中身と所蔵に関わる苦労をバランスよくかつ正直に書いて、人柄をにじませています。
祖父江はピノッキオだけを集めた書架がある由。写真もあります。ユニークな読み方、蒐集の仕方があることをよく切り取っています。
鹿島は所蔵というか、書籍購入のための苦労話がすさまじい物語になっています。この人の本は原稿稼ぎに過ぎないから、品質(鹿島の本気度)を疑いながら買うべきか再考しようと思います。
磯田は職業柄、数少ない和書の古書の所蔵家。震災のさなかにも蔵書を繙くおのれの書物馬鹿ぶりを描く技が冴えています。
唐沢は蔵書する対象と動機が誠にユニーク。こういう人が少数世の中にいることは驚きでありそれを知ることは楽しみ。
井上はここでの行き過ぎた恨み節をユーモアに変えていたらよかったのに。
やっぱり蔵書家の書架の写真をのぞき見する野次馬本がいいですね。
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私の本棚 (新潮文庫) 文庫 – 2016/1/28
新潮社
(編集)
本棚は、すでにいっぱい。ほしい本は、まだまだある。――夢、憧れ、苦労、奮闘。23編の名エッセイ。
- 本の長さ233ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2016/1/28
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101274711
- ISBN-13978-4101274713
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
23人の愛書家が熱く綴る名エッセイ!
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2016/1/28)
- 発売日 : 2016/1/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 233ページ
- ISBN-10 : 4101274711
- ISBN-13 : 978-4101274713
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 502,808位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 6,895位近現代日本のエッセー・随筆
- - 7,244位新潮文庫
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
5つ星のうち3.2
星5つ中の3.2
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ベスト100レビュアー
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本書は新潮社の雑誌、Yom Yom 1〜23号に掲載された23人の読書家による、本棚にまつわるちょっといい話が収録されています。
トップ・バッターは小野不由美さん:ずっと本の並んだ自分の本棚が憧れだったそうですが、現実には増加する本に対応できず、本は前後2列が当たり前、そして、本棚の増加、最後はより広い空間を求めて転居、最終的には家を建てて理想の本棚を作りますが、現実は・・・
赤川次郎さん:若い頃の本棚のイメージは、緑だったそうです(河出書房新社から出ていた世界文学全集が緑色だった)。当然、今の本棚にはミステリが並んでいますが、まとめて並べてあるのは、唯一、アガサ・クリスティだけだそうです・・なぜだって?その解答は本書を読んでください・
井上ひさしさん:かって、本が増えすぎ、建売住宅の床が抜けたことがあるそうです。それで、離婚を機に、山形県川西町に蔵書7万冊を寄贈することになり、遅筆堂文庫が誕生しますが・・・
内澤旬子さん:最初の一ページから奥付まで心底ほれぼれ惚れ抜いて、背を眺めるだけでうっとりする本・・・百冊弱、それで十分、しかし、現実は・・・・・・
、 都築響一さん:編集者という職業柄、日本の各地、そして、世界のいろんな場所の本好きに出会い、素晴らしい蔵書を見てきて、やっと気が付いた事、それは「コレクションって結局はカネの勝負だ」。悟りを開き、それで蔵書をブックオフに引き取ってもらっていましたが、最終的には自身でWeb書店を開業することになりました。
池上彰さん:高齢だった父親はあまり私の相手をしてくれず、暇を持て余したときは、読書好きだった父親の蔵書を覗き見していました(私もよくしていました)。そして、中学生になるとSFにはまり、高校時代は岩波新書、そして、NHKに就職・・・気付いてみれば、本棚に囲まれ、机の前に座っていた父親と同じように・・・
いろんな人が本、本棚にまつわる話を述べています。本好きの人にはピンとくる話ばかりだと思いますが、そうでない人にはどうなのかな?
しかし、エッセイを書いている人の簡単な紹介ぐらいは記すべきだと思いますが、それで星1つ減じています!!
トップ・バッターは小野不由美さん:ずっと本の並んだ自分の本棚が憧れだったそうですが、現実には増加する本に対応できず、本は前後2列が当たり前、そして、本棚の増加、最後はより広い空間を求めて転居、最終的には家を建てて理想の本棚を作りますが、現実は・・・
赤川次郎さん:若い頃の本棚のイメージは、緑だったそうです(河出書房新社から出ていた世界文学全集が緑色だった)。当然、今の本棚にはミステリが並んでいますが、まとめて並べてあるのは、唯一、アガサ・クリスティだけだそうです・・なぜだって?その解答は本書を読んでください・
井上ひさしさん:かって、本が増えすぎ、建売住宅の床が抜けたことがあるそうです。それで、離婚を機に、山形県川西町に蔵書7万冊を寄贈することになり、遅筆堂文庫が誕生しますが・・・
内澤旬子さん:最初の一ページから奥付まで心底ほれぼれ惚れ抜いて、背を眺めるだけでうっとりする本・・・百冊弱、それで十分、しかし、現実は・・・・・・
、 都築響一さん:編集者という職業柄、日本の各地、そして、世界のいろんな場所の本好きに出会い、素晴らしい蔵書を見てきて、やっと気が付いた事、それは「コレクションって結局はカネの勝負だ」。悟りを開き、それで蔵書をブックオフに引き取ってもらっていましたが、最終的には自身でWeb書店を開業することになりました。
池上彰さん:高齢だった父親はあまり私の相手をしてくれず、暇を持て余したときは、読書好きだった父親の蔵書を覗き見していました(私もよくしていました)。そして、中学生になるとSFにはまり、高校時代は岩波新書、そして、NHKに就職・・・気付いてみれば、本棚に囲まれ、机の前に座っていた父親と同じように・・・
いろんな人が本、本棚にまつわる話を述べています。本好きの人にはピンとくる話ばかりだと思いますが、そうでない人にはどうなのかな?
しかし、エッセイを書いている人の簡単な紹介ぐらいは記すべきだと思いますが、それで星1つ減じています!!
ベスト500レビュアー
井上ひさし、椎名誠、赤川次郎、児玉清、南伸坊、内田樹、小泉武夫、池上彰、田部井淳子、鹿島茂、磯田道史、福岡伸一ら、愛書家23人の“自分の本棚”に関わるエッセイ集。2013年出版、2016年文庫化。
本好きというのは不思議なもので、自分の関心のある分野の本をたくさん読みたいのは当然ながら、読書論や読書案内どころか、何の役にも立ちそうもない、本屋や他人の書斎・本棚について書かれた本にまで興味は広がっていくのである。。。
本書も、23人のプロの愛書家が、増え続ける本と如何にして闘い、折り合いをつけ、付き合っているのかを、とりとめもなく(著者の皆様、失礼!)綴っているだけで、なんらかのハウツーを教えてくれるわけでもないのだが(笑)、そのエピソードはなんとも愉快である。
イラストレーター・南伸坊の、本棚を見ていると自分の頭を整理するために四六時中本の並べ替えをしているので、それを止めるために作った“フタのついた本棚”。エッセイスト・中野翠の、「私はこれらの本をたいせつに思っているんだ、私の心のまんなかあたりはこういう本で成り立っているんだ―ということを目に見えるようにハッキリさせておきた」いという“祭壇のような本棚”。。。等々
僅か一畳分のスライド本棚1架で遣り繰りをする身には、なんとも羨ましくも楽しい作品集。
(23人の愛書家の本棚にどんな本が並んでいるか(=お奨め本)が書かれているわけではありません。念のため)
(2016年2月了)
本好きというのは不思議なもので、自分の関心のある分野の本をたくさん読みたいのは当然ながら、読書論や読書案内どころか、何の役にも立ちそうもない、本屋や他人の書斎・本棚について書かれた本にまで興味は広がっていくのである。。。
本書も、23人のプロの愛書家が、増え続ける本と如何にして闘い、折り合いをつけ、付き合っているのかを、とりとめもなく(著者の皆様、失礼!)綴っているだけで、なんらかのハウツーを教えてくれるわけでもないのだが(笑)、そのエピソードはなんとも愉快である。
イラストレーター・南伸坊の、本棚を見ていると自分の頭を整理するために四六時中本の並べ替えをしているので、それを止めるために作った“フタのついた本棚”。エッセイスト・中野翠の、「私はこれらの本をたいせつに思っているんだ、私の心のまんなかあたりはこういう本で成り立っているんだ―ということを目に見えるようにハッキリさせておきた」いという“祭壇のような本棚”。。。等々
僅か一畳分のスライド本棚1架で遣り繰りをする身には、なんとも羨ましくも楽しい作品集。
(23人の愛書家の本棚にどんな本が並んでいるか(=お奨め本)が書かれているわけではありません。念のため)
(2016年2月了)
2016年2月18日に日本でレビュー済み
本棚を作ると言うことは、蔵書を整理する楽しみと同時に、つい書物を購入しそれがあっと言う間に増殖し、ついには部屋を家を侵略してしまう。そういう嘆きと同時にそのことを楽しんでいる心理がどの執筆者からも伺えます。誠に読んでいて微笑ましく愉快です。
ところが、何人かの執筆者はどうもテーマを勘違いしているようで、例えば金子國義氏などは、自分の蔵書の貴重さと珍しさを開陳するのに夢中で、誠に読んでいる方はつまらない。祖父江慎氏はピノキオに関する蘊蓄を延々と繰り広げるだけで、退屈の一言です。福岡伸一氏などは何が書きたかったのか訳がわかりません。どうも客観的にテーマを分析し、それの沿って読者に興味を起こさせる記述を出来ない人は困ったもので、それだけで読み物の価値が下がります。なんとももったいないことです。
ところが、何人かの執筆者はどうもテーマを勘違いしているようで、例えば金子國義氏などは、自分の蔵書の貴重さと珍しさを開陳するのに夢中で、誠に読んでいる方はつまらない。祖父江慎氏はピノキオに関する蘊蓄を延々と繰り広げるだけで、退屈の一言です。福岡伸一氏などは何が書きたかったのか訳がわかりません。どうも客観的にテーマを分析し、それの沿って読者に興味を起こさせる記述を出来ない人は困ったもので、それだけで読み物の価値が下がります。なんとももったいないことです。






