2007年、慮千恵さんの著書です。
著者は、出版当時の台湾駐日代表(大使)・許世楷氏の奥様です。
1936年・台中生まれ、日本に留学しICUへ入学、その後、許氏と結婚。
独立運動・民主化運動に係わっていたため、ブラックリストに掲載され、34年間台湾に帰ることができませんでした。
本書では、34年間の日本での生活、帰国後の台湾、大使夫人として再来日、出版当時の台湾などについて書き綴られています。
独立運動や政治的な内容はもちろんありますが、ご家族の話、文化的な話などソフトな内容も、たくさんあります。
ICUの文化祭で、「『台湾の歌を歌って』と言われて、台湾の歌を知らない自分に気付いた」というエピソードは、特に印象に残ってます。
18歳?19歳?の女性が、自国の歌を知らない。。。あまりにも寂しくて、心に穴が空くような感じがします。
でも、それが当時の普通。当時の国民党の酷さが窺えます。人間を人間と思ってないですよね?
また、ご主人・許世楷氏が、日本の学校やお役所関係者に、台湾への修学旅行を勧めている様子が書かれています。(P22)
「修学旅行は自国認識を深めるものです。」
「台湾は、日本自身の発見ができる国です。外国に行って、自分たちの祖先の偉業や歴史を見ることになります。
外国ではあるけれど、自国のことが発見できるのでは、という強い期待を持って台湾に来て欲しいと思います。」
外国で自国認識を深められる場所というのは、修学旅行先として最適ではないのでしょうか?
もちろん、大人が修学旅行気分で行くのもいいでしょうし、初めての海外にもいいと思います。
著者の「知的で優しい、それでいて言うことは言う」語り口は、とても魅力的です。
著者に魅かれて、1975年・こぐま社刊「呉鳳さま 子どもに聞かせる台湾人ものがたり」まで、読んでしまいました。
(個人的には、許・慮ご夫妻の著書「
台湾という新しい国
」を優先したいので、差をつけて「☆-1」させていただきました。)
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