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神々の乱心 上 (文春文庫) Kindle版
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言語日本語
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出版社文藝春秋
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発売日2000/1/7
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ファイルサイズ1629 KB
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
宮中に何事か画策する謎の新興宗教。昭和8年。東京近郊。梅広町の「月辰会研究所」から出てきたところを尋問された若い女官が自殺した。自責の念と不審から「月辰会研究所」をマークする特高課第一係長・吉屋謙介。やがて渡良瀬遊水池から、2つの死体が…。巨匠松本清張が渾身の力を揮った絶筆1700枚。
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内容(「MARC」データベースより)
昭和8年、東京近郊・梅広町の「月辰会研究所」から出てきたところを尋問された若い女官が自殺した。自責の念と不審から月辰会研究会をマークする特高課第一係長・吉屋謙介。やがて渡良瀬遊水地から、二つの死体が…。
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登録情報
- ASIN : B079TPTSPS
- 出版社 : 文藝春秋 (2000/1/7)
- 発売日 : 2000/1/7
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1629 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 441ページ
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 78,010位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 407位芥川賞受賞(26-50回)作家の本
- - 1,971位評論・文学研究 (Kindleストア)
- - 1,995位文春文庫
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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星5つ中の4.1
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年4月12日に日本でレビュー済み
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97年2月発行の2刷、なのに、何と、活版印刷されたもの。文春に問い合わせたら、まだその頃は凸版印刷では活版を使う時があったという。僕にとってはこの活字のでこぼこ感は涙が出るほど懐かしく嬉しい。内容は、もう圧巻というしかないほど、昭和の軍国主義時代の人間像が俯瞰されていて、細かい事実も、興味津々。日本の暗黒部が、ただし、さらっとした印象を残すように、淡々と描かれる。人名、お香、服装、皇室の慣習、もうこれでもかとばかりに、細密画のような描写が続く。それに僕は酔っている。良いなあ清張は。粗製濫造のミステリーとは大違い。
16人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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この本は大分前に買って、途中で読むのを止めてしまったのですが、家の中で行方知れずとなってしまっており今回買いなおして読了しました。吉屋謙介と萩園泰之の動き(接近と離間の交互運動)を通じ、標記の2つの謎が何となく絡まっていく、そして更にうねりを加えて螺旋状に深まっていく様が圧巻の上巻でした。最初の部分を乗り越えると、物語が躍動しはじめるわけですが、そこがキモでしたね。
一方で私見ですが、こりゃ飛躍だろう、というかここまで登場人物の頭で判るっていうのはちょっと出来過ぎあるいは強引だろうという箇所などは、正直かなり多かったですね(143~4頁、191~2頁、204頁、287頁、342頁、358頁、366頁、370頁、440頁)。この辺は、清張も老いたということだったんでしょうか。なお、文中で何度も出てくる「江東茂代治」というのは、伊東巳代治のことなんでしょうね(95~6頁、269~70頁、297頁、364頁)。
佐賀県東松浦郡七山(237頁、384頁)は義理の親類がいるので訪れたことがあり、小倉城内の松本清張記念館も最近行ったばかりですので、何となく愛着をもって読めたことも記しておきたいと思います。さてさて、間髪入れず下巻を読みます。
一方で私見ですが、こりゃ飛躍だろう、というかここまで登場人物の頭で判るっていうのはちょっと出来過ぎあるいは強引だろうという箇所などは、正直かなり多かったですね(143~4頁、191~2頁、204頁、287頁、342頁、358頁、366頁、370頁、440頁)。この辺は、清張も老いたということだったんでしょうか。なお、文中で何度も出てくる「江東茂代治」というのは、伊東巳代治のことなんでしょうね(95~6頁、269~70頁、297頁、364頁)。
佐賀県東松浦郡七山(237頁、384頁)は義理の親類がいるので訪れたことがあり、小倉城内の松本清張記念館も最近行ったばかりですので、何となく愛着をもって読めたことも記しておきたいと思います。さてさて、間髪入れず下巻を読みます。
2018年6月14日に日本でレビュー済み
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悪名高い特高警察の係長を主人公の一人に配し、宮中の女官と怪しげな新興宗教の動きを他方に描くストーリーの展開が、この著者としてはとても異例な感じがするが、編集部のあとがきを見ると著作の構想が昭和から平成の代替わりの時期とのことで、なるほどと思った。
あの時は天皇の代替わりに伴う古色蒼然とした宮中祭祀が延々と続き、宮中の保守勢力の存在を強く意識させられた。また、オウム真理教などの怪しげなカルトが活発に活動していた時期でもある。
こうした時代背景を意識して、昭和史の暗部である満州の特務機関と大本教などの新興宗教の活動を掘り起こして描こうとしたのが、この著作である。
残念ながら著者の死去で物語の落としどころが見えず、また展開がやや散漫になっているが、取り上げられることの少ないテーマなので興味深く読めた。
あの時は天皇の代替わりに伴う古色蒼然とした宮中祭祀が延々と続き、宮中の保守勢力の存在を強く意識させられた。また、オウム真理教などの怪しげなカルトが活発に活動していた時期でもある。
こうした時代背景を意識して、昭和史の暗部である満州の特務機関と大本教などの新興宗教の活動を掘り起こして描こうとしたのが、この著作である。
残念ながら著者の死去で物語の落としどころが見えず、また展開がやや散漫になっているが、取り上げられることの少ないテーマなので興味深く読めた。
2020年8月13日に日本でレビュー済み
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昭和8年、埼玉県比企郡梅広町に、月辰会という謎の教団があった。埼玉県特高課吉屋謙介は、そこから出てきた宮内省皇后宮職の女官北村幸子を尾行し、東武東上線の梅広駅前で声をかけて尋問する。数日後、彼女は故郷奈良県吉野で入水自殺してしまう。吉屋は月辰会を不敬な野心を持った新興宗教教団と推理し、調査を始める。北村幸子の上司で、幸子が「御霊示」と記された月辰会の封書を届ける先だった深町掌侍こと萩園彰子の謎の存在がうかぶ。彰子の弟萩園泰之は華族次男の親睦団体「華次倶楽部」の幹事を務めながら、幸子の自殺に関心を持ち調べ始める。萩園と吉屋の2人が事件の謎解き役になって筋が進む。元女官の足利千世子。彼女は引退した身でありながら、宮中、特に貞明皇后と通じているらしい。栃木県佐野に住んでいるが、近くの渡良瀬遊水地で死体が上がるなど、謎の殺人事件が連続して起こる。鏡が大きな役割を果たす。三種の神器八咫鏡に擬された鏡と、半月形で裏に稲妻模様が入った凹面鏡という2つの鏡が登場する。1つは盗掘された内行花文鏡であり、いま1つは月辰会会長平田有信が満州から持ち帰った多鈕細文鏡で、神鏡として月辰会地下の「聖暦の間」に安置されている。萩園は幸子が生前、多鈕細文鏡を教団内で見たという話から、月辰会が大正10年に起きた「大連阿片事件」と関係があり、その首謀者はかつて満州にいたのではないかと考える。昭和9年、宮城内にある振天府で起きた昭和天皇誕生祝い会食の献立表くぎ打ちの怪事件が天皇への魘魅(呪詛術)であることをつかんだ萩園は、そこにも月辰会の影を見る。平田は、かつて本名秋元伍一で関東軍特務機関に所属し、大連阿片事件の密偵を務めていた。事件発覚後退職、満州の宗教を調べる旅に出た秋元は、新興宗教「道院」に目を付ける。道院の江森静子の行う降霊乱示の法に魅せられ、静子とともに駆け落ちして日本に戻る。平田有信と改名、埼玉県梅広町で新しい宗教を興す。栃木県、埼玉県で相次ぐ殺人事件を追う吉屋も、自分が常に萩園の後を追っていることに焦りを感じながら、ようやく「大連阿片事件」との関連に気づく。萩園が月辰会に潜入させた幸子の兄友一の報告で、畠田専六元憲兵司令官をはじめとした陸軍将官らが教団内で「神宝」と称された偽の神刀を拝観していることを知った萩園は、月辰会を宮中に接近させようとしている平田の野望に気づき、慄然とする。月辰会に入会しながら宮中に仕える女官や元女官の動きが克明に描かれ、その向こうに、宮中でいまだ大きな権力を握っている貞明皇后の存在が暗に示される。月辰会の内部でも、表向きは男性の平田が教祖として主導権を執っているように見えながら、実はそうではなく、シャーマンで斎王台と呼ばれる静子が真の力を持ってる。斎王台の静子が風邪をこじらせ、斎女と呼ばれた娘の美代子が代わって乱示を行っているとき、突然静子が地下の「聖暦の間」にやってくる……「お、斎王台さま」と声を上げる平田。静子は美代子に、自分が見ている前でもう一度神占いをやってみなさいという。母の異様な姿に恐れをなす美代子。取りなそうとする平田を、静子は一喝。「ここではわたしが斎王台。絶対の権威です。美代子もあんたもわたしの家来じゃ。そこに坐って助手らしい代役をしている若い男は何者か知れぬが、ここを出て行っておくれ」こう命令されると、平田も逆らえない。静子は自分が乱示をやってみせるといい、神のお告げである文字を棒で砂盆に書き始める。静子が文字を書く。平田がそれを紙に写し取る。美代子は静子の文字を棒でなぞる。静子は美代子を自分の跡継ぎにしようと考えているのだが、ここでは「下手くそ。愚か者。御神鏡さまに恥しい!」と美代子をののしる。美代子に近づくと、その手から棒を取り上げた。砂が散った。あっと云うまもなかった。「婀呀」静子は叫ぶなり、力をこめて棒を二つにへし折った。T字の頭が裂けた。静子は無言で平田の手をつかむなり、引っ立てた。強い力だ。平田はよろめいた。そして平田は静子の部屋に連れて行かれ「脱ぎなさい」と命じられ、脱いだ祭服を静子にハサミで切り刻まれる。そして布団に押さえ込まれ、美代子への嫉妬に狂った静子にされるがままとなる。教祖という表向きの権力者と違うところに権力がある。こうした関係を、ある意味、宮中の似姿として描いたのではないか。……平田白身は、静子による魘魅、呪いの力で昭和天皇を排除することを考えていたのであろう。実際には、静子は逆に平田に対する憎しみが高まり、呪いをそちらに向けてしまった。最後まで、静子は平田を上回る力を持ち続けたことになる。『神々の乱心』の意味。神々とは、昭和天皇につながる神々ということ。神話時代のアマテラス、孫のニニギ、さらにその曾孫にあたる神武天皇からずっと続いて昭和天皇まで至っているという主張が、万世一系の思想体系である。それを担保しているのが、アマテラスから受け継がれてきたとされる三種の神器にほかならない。そこに神々から伝わる神器をそろえて、秩父宮を天皇にまつり上げようとする勢力がいる。昭和8年、皇太子が生まれたが、月辰会は血統よりも神器をもっている方を正統とした南朝正統論を踏襲する形で、本物の神器は秩父宮がもっていると称し、昭和天皇から皇太子へと継承される皇位を否定しようとした。つまり「乱心」を起こした。秩父宮と貞明皇后が非常に親しいことは、濠によって隔てられた別世界であり、普通に生活していれば見えない。清張氏が提示しているのは、別の側面。皇室の人たちの間にも確執があり、それが、ときには皇位継承にまで関わってくるような問題をいう。そうしたことを目に見える形で書くこと。女性が持っている権力性を書くこと。『神々の乱心』から、大正天皇が亡くなったあとに残った皇后が、皇太后としてその後も君臨している昭和初期の宮中の実態が見えてくる。清張氏以前、こんなことを指摘した人は誰もいない。物語では、斎王台静子が、月辰会の「聖暦の間」で絶大な権力をふるっている。その姿は古代的で、シャーマンであるとともに権力者でもある古代天皇を彷彿させる。清張氏は、よく似た構造が昭和の宮中にもあったのではないか、人に見えない宮中の奥で、女性が権力をもつ構造が生きているのではないかということを示唆している。物語の終盤で、吉屋は栃木県と埼玉県の殺人事件の捜査が暗礁に乗り上げ、萩園は月辰会にスパイとして送り込んだ北村友一との連絡が途絶え、情報がなくなる。2人の謎解きが行き詰まったまま、平田が斎王台静子に対し、自らの野望を打ち明ける場面の途中で物語は未完で終わる。平田は時機を見て、月辰会が持っている三種の神器こそ本物の三種の神器だと発表するつもりと言う。大丈夫なのかと問う静子に対し、平田は「おれには目算がある」と応じる。平田の目算とは何なのか。物語はこのあと、どのような結末を迎える予定だったのか?。ここまでの展開と「編集部註」にある構想から、一つの筋を考えてみる。それは、二二六事件をモデルとするクーデターが起きるという筋書。女官を退職してすぐに月辰会に入信した足利千世子は、貞明皇后に月辰会への入信を働きかける。静子の「お諭し」をもとに、秩父宮をツクヨミに擬する教義を平田がつくり、法華宗を信奉している貞明皇后を改宗させる。同時に、月辰会内部で権力交代が起こる。平田のはからいで、静子に代わって美代子が斎王台となり、友一が助手になる。静子は狂乱するものの、かえって霊能力が高まる。美代子の乱示により、決起の「お諭し」が下される。足利千世子が住んでいる佐野の喜連庵が中心となり、月辰会の神器を崇拝する元憲兵司令官畠田専六グループによるクーデターが起こる。宮城を襲撃し、昭和天皇を孤立させる間に、平田は神器を奉じて大宮御所に潜入。そして、大宮御所を訪れた秩父宮に神器を献上し、新たな天皇として即位させようとする。その瞬間、雷が響いて平田に当たり、クーデターは失敗に終わる。平田が美代子に興味を持っていると思い込み、嫉妬に燃える静子の魘魅は、昭和天皇ではなく、平田に向けられていた。平田は、静子による魘魅、すなわち呪いの力で昭和天皇を排除することを考えていたのであろう。しかし、静子は逆に平田に対する憎しみが高まり、呪いをそちらに向けてしまった。最後まで、静子は平田を上回る力を持ち続けた。「編集部註」によると、清張氏は物語の結末について、担当編集者の藤井康栄氏と「教祖は最後は死ぬ。劇的なクライマックスを作ろう。シャッポと雷とどっちがいい?」「それはだんぜん稲妻ですよ」「そうだなそうしよう」。宮中の派閥抗争を利用して野望に手をかけた平田が、悪天候をついて皇太后の居所大宮御所に入ろうとしたとき、稲妻が閃く。皇宮警察に取り押さえられる。やがて来る平田の死。月辰会は壊滅へと向かう。清張氏の見事な構成力、学識に感服。謎解きを絡めて味付けしているが、主役は月辰会の狂乱を通して描かれる「呪力で昭和天皇排除」計画の挫折。旧満州と昭和初期日本の風物+相次ぐ殺人+解けない謎+古代史学=昭和史のみならず古代史にも精通した清張氏ならではの輻輳した求め難い興奮と緊張の機会をいただいて感激。入手できたのは、1997年初版本。文字の大きさは、文庫本と同じで小さいが、余白が適度にあって、手に馴染み好ましい。上巻、月と星の霊紋からケイズ買いまで、大連阿片事件と遊水地の他殺体を主に状況説明を積み重ねて盛り上げてゆく。401ページ。下巻、味から月辰会の犯罪で、横穴墓の白骨から殺人事件の謎が深まり、危機情報、銃器商の追跡で殺人の謎解き、月辰会の犯罪でクーデター計画へ迫る場面で未完に終わる、編集部註でその後の予測。380ページ。読解かなり困難なるも、物語の筋は、特高吉屋と彰子弟萩園の謎解き役により、あらかた分かり易く解説される。解けぬ謎を残したまま、御所で大暴れして皇宮警察に取り押さえられ、やがて来る平田の死で終結となる。清張氏の大労作に畏敬を表し、5星。写真:「神々の乱心=上、下巻」表装。「月辰会」紋章。
5つ星のうち5.0
松本清張氏企図壮大な歴史小説「神々の乱心」。新興宗教、阿片、不可解な殺人、問題多岐に亙る。近代国家日本の宮中に古代王朝のシャーマニズム的宗教の名残りが生き続ける。
ユーザー名: toshikita、日付: 2020年8月13日
昭和8年、埼玉県比企郡梅広町に、月辰会という謎の教団があった。埼玉県特高課吉屋謙介は、そこから出てきた宮内省皇后宮職の女官北村幸子を尾行し、東武東上線の梅広駅前で声をかけて尋問する。数日後、彼女は故郷奈良県吉野で入水自殺してしまう。吉屋は月辰会を不敬な野心を持った新興宗教教団と推理し、調査を始める。北村幸子の上司で、幸子が「御霊示」と記された月辰会の封書を届ける先だった深町掌侍こと萩園彰子の謎の存在がうかぶ。彰子の弟萩園泰之は華族次男の親睦団体「華次倶楽部」の幹事を務めながら、幸子の自殺に関心を持ち調べ始める。萩園と吉屋の2人が事件の謎解き役になって筋が進む。元女官の足利千世子。彼女は引退した身でありながら、宮中、特に貞明皇后と通じているらしい。栃木県佐野に住んでいるが、近くの渡良瀬遊水地で死体が上がるなど、謎の殺人事件が連続して起こる。鏡が大きな役割を果たす。三種の神器八咫鏡に擬された鏡と、半月形で裏に稲妻模様が入った凹面鏡という2つの鏡が登場する。1つは盗掘された内行花文鏡であり、いま1つは月辰会会長平田有信が満州から持ち帰った多鈕細文鏡で、神鏡として月辰会地下の「聖暦の間」に安置されている。萩園は幸子が生前、多鈕細文鏡を教団内で見たという話から、月辰会が大正10年に起きた「大連阿片事件」と関係があり、その首謀者はかつて満州にいたのではないかと考える。昭和9年、宮城内にある振天府で起きた昭和天皇誕生祝い会食の献立表くぎ打ちの怪事件が天皇への魘魅(呪詛術)であることをつかんだ萩園は、そこにも月辰会の影を見る。平田は、かつて本名秋元伍一で関東軍特務機関に所属し、大連阿片事件の密偵を務めていた。事件発覚後退職、満州の宗教を調べる旅に出た秋元は、新興宗教「道院」に目を付ける。道院の江森静子の行う降霊乱示の法に魅せられ、静子とともに駆け落ちして日本に戻る。平田有信と改名、埼玉県梅広町で新しい宗教を興す。栃木県、埼玉県で相次ぐ殺人事件を追う吉屋も、自分が常に萩園の後を追っていることに焦りを感じながら、ようやく「大連阿片事件」との関連に気づく。萩園が月辰会に潜入させた幸子の兄友一の報告で、畠田専六元憲兵司令官をはじめとした陸軍将官らが教団内で「神宝」と称された偽の神刀を拝観していることを知った萩園は、月辰会を宮中に接近させようとしている平田の野望に気づき、慄然とする。月辰会に入会しながら宮中に仕える女官や元女官の動きが克明に描かれ、その向こうに、宮中でいまだ大きな権力を握っている貞明皇后の存在が暗に示される。月辰会の内部でも、表向きは男性の平田が教祖として主導権を執っているように見えながら、実はそうではなく、シャーマンで斎王台と呼ばれる静子が真の力を持ってる。斎王台の静子が風邪をこじらせ、斎女と呼ばれた娘の美代子が代わって乱示を行っているとき、突然静子が地下の「聖暦の間」にやってくる……「お、斎王台さま」と声を上げる平田。静子は美代子に、自分が見ている前でもう一度神占いをやってみなさいという。母の異様な姿に恐れをなす美代子。取りなそうとする平田を、静子は一喝。「ここではわたしが斎王台。絶対の権威です。美代子もあんたもわたしの家来じゃ。そこに坐って助手らしい代役をしている若い男は何者か知れぬが、ここを出て行っておくれ」こう命令されると、平田も逆らえない。静子は自分が乱示をやってみせるといい、神のお告げである文字を棒で砂盆に書き始める。静子が文字を書く。平田がそれを紙に写し取る。美代子は静子の文字を棒でなぞる。静子は美代子を自分の跡継ぎにしようと考えているのだが、ここでは「下手くそ。愚か者。御神鏡さまに恥しい!」と美代子をののしる。美代子に近づくと、その手から棒を取り上げた。砂が散った。あっと云うまもなかった。「婀呀」静子は叫ぶなり、力をこめて棒を二つにへし折った。T字の頭が裂けた。静子は無言で平田の手をつかむなり、引っ立てた。強い力だ。平田はよろめいた。そして平田は静子の部屋に連れて行かれ「脱ぎなさい」と命じられ、脱いだ祭服を静子にハサミで切り刻まれる。そして布団に押さえ込まれ、美代子への嫉妬に狂った静子にされるがままとなる。教祖という表向きの権力者と違うところに権力がある。こうした関係を、ある意味、宮中の似姿として描いたのではないか。……平田白身は、静子による魘魅、呪いの力で昭和天皇を排除することを考えていたのであろう。実際には、静子は逆に平田に対する憎しみが高まり、呪いをそちらに向けてしまった。最後まで、静子は平田を上回る力を持ち続けたことになる。『神々の乱心』の意味。神々とは、昭和天皇につながる神々ということ。神話時代のアマテラス、孫のニニギ、さらにその曾孫にあたる神武天皇からずっと続いて昭和天皇まで至っているという主張が、万世一系の思想体系である。それを担保しているのが、アマテラスから受け継がれてきたとされる三種の神器にほかならない。そこに神々から伝わる神器をそろえて、秩父宮を天皇にまつり上げようとする勢力がいる。昭和8年、皇太子が生まれたが、月辰会は血統よりも神器をもっている方を正統とした南朝正統論を踏襲する形で、本物の神器は秩父宮がもっていると称し、昭和天皇から皇太子へと継承される皇位を否定しようとした。つまり「乱心」を起こした。秩父宮と貞明皇后が非常に親しいことは、濠によって隔てられた別世界であり、普通に生活していれば見えない。清張氏が提示しているのは、別の側面。皇室の人たちの間にも確執があり、それが、ときには皇位継承にまで関わってくるような問題をいう。そうしたことを目に見える形で書くこと。女性が持っている権力性を書くこと。『神々の乱心』から、大正天皇が亡くなったあとに残った皇后が、皇太后としてその後も君臨している昭和初期の宮中の実態が見えてくる。清張氏以前、こんなことを指摘した人は誰もいない。物語では、斎王台静子が、月辰会の「聖暦の間」で絶大な権力をふるっている。その姿は古代的で、シャーマンであるとともに権力者でもある古代天皇を彷彿させる。清張氏は、よく似た構造が昭和の宮中にもあったのではないか、人に見えない宮中の奥で、女性が権力をもつ構造が生きているのではないかということを示唆している。物語の終盤で、吉屋は栃木県と埼玉県の殺人事件の捜査が暗礁に乗り上げ、萩園は月辰会にスパイとして送り込んだ北村友一との連絡が途絶え、情報がなくなる。2人の謎解きが行き詰まったまま、平田が斎王台静子に対し、自らの野望を打ち明ける場面の途中で物語は未完で終わる。平田は時機を見て、月辰会が持っている三種の神器こそ本物の三種の神器だと発表するつもりと言う。大丈夫なのかと問う静子に対し、平田は「おれには目算がある」と応じる。平田の目算とは何なのか。物語はこのあと、どのような結末を迎える予定だったのか?。ここまでの展開と「編集部註」にある構想から、一つの筋を考えてみる。それは、二二六事件をモデルとするクーデターが起きるという筋書。女官を退職してすぐに月辰会に入信した足利千世子は、貞明皇后に月辰会への入信を働きかける。静子の「お諭し」をもとに、秩父宮をツクヨミに擬する教義を平田がつくり、法華宗を信奉している貞明皇后を改宗させる。同時に、月辰会内部で権力交代が起こる。平田のはからいで、静子に代わって美代子が斎王台となり、友一が助手になる。静子は狂乱するものの、かえって霊能力が高まる。美代子の乱示により、決起の「お諭し」が下される。足利千世子が住んでいる佐野の喜連庵が中心となり、月辰会の神器を崇拝する元憲兵司令官畠田専六グループによるクーデターが起こる。宮城を襲撃し、昭和天皇を孤立させる間に、平田は神器を奉じて大宮御所に潜入。そして、大宮御所を訪れた秩父宮に神器を献上し、新たな天皇として即位させようとする。その瞬間、雷が響いて平田に当たり、クーデターは失敗に終わる。平田が美代子に興味を持っていると思い込み、嫉妬に燃える静子の魘魅は、昭和天皇ではなく、平田に向けられていた。平田は、静子による魘魅、すなわち呪いの力で昭和天皇を排除することを考えていたのであろう。しかし、静子は逆に平田に対する憎しみが高まり、呪いをそちらに向けてしまった。最後まで、静子は平田を上回る力を持ち続けた。「編集部註」によると、清張氏は物語の結末について、担当編集者の藤井康栄氏と「教祖は最後は死ぬ。劇的なクライマックスを作ろう。シャッポと雷とどっちがいい?」「それはだんぜん稲妻ですよ」「そうだなそうしよう」。宮中の派閥抗争を利用して野望に手をかけた平田が、悪天候をついて皇太后の居所大宮御所に入ろうとしたとき、稲妻が閃く。皇宮警察に取り押さえられる。やがて来る平田の死。月辰会は壊滅へと向かう。清張氏の見事な構成力、学識に感服。謎解きを絡めて味付けしているが、主役は月辰会の狂乱を通して描かれる「呪力で昭和天皇排除」計画の挫折。旧満州と昭和初期日本の風物+相次ぐ殺人+解けない謎+古代史学=昭和史のみならず古代史にも精通した清張氏ならではの輻輳した求め難い興奮と緊張の機会をいただいて感激。入手できたのは、1997年初版本。文字の大きさは、文庫本と同じで小さいが、余白が適度にあって、手に馴染み好ましい。上巻、月と星の霊紋からケイズ買いまで、大連阿片事件と遊水地の他殺体を主に状況説明を積み重ねて盛り上げてゆく。401ページ。下巻、味から月辰会の犯罪で、横穴墓の白骨から殺人事件の謎が深まり、危機情報、銃器商の追跡で殺人の謎解き、月辰会の犯罪でクーデター計画へ迫る場面で未完に終わる、編集部註でその後の予測。380ページ。読解かなり困難なるも、物語の筋は、特高吉屋と彰子弟萩園の謎解き役により、あらかた分かり易く解説される。解けぬ謎を残したまま、御所で大暴れして皇宮警察に取り押さえられ、やがて来る平田の死で終結となる。清張氏の大労作に畏敬を表し、5星。写真:「神々の乱心=上、下巻」表装。「月辰会」紋章。
ユーザー名: toshikita、日付: 2020年8月13日
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2020年12月10日に日本でレビュー済み
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皇太后宮女官が郷里の谷川で謎の入水自殺。彼女が持っていた「三日月と北斗七星」が描かれた「通行証」らしきものの正体は? それを期に相次ぐ他殺死体の発見との関係に挑む県警特高課係長の苦闘。








