社会コロニーの中で生活する人間が、なぜ左と右に分かれるのかを遺伝学や人間の思考プロセス、思考パターン、道徳心理学などを基に、その起因に迫った書籍。
ここ最近で見た書籍の中で上位に入る程の良書と感じました。
人間科学の根底である、感情と思考両端の関係性や、集団心理など幅広い分野での解説がされており、政治、経済に興味関心がある方、はたまた会社の経営者など、さまざまな職種の方が読まれてもイメージがしやすい書籍だと感じます。
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社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学 単行本 – 2014/4/24
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リベラルはなぜ勝てないのか?
皆が「自分は正しい」と思っているかぎり、左派と右派は折り合えない。
アメリカの政治的分断状況の根にある人間の道徳心を、
進化理論や哲学、社会学、人類学などの知見から多角的に検証し、
豊富な具体例を用いてわかりやすく解説した、全米ベストセラー!
気鋭の社会心理学者が、従来の理性一辺倒の道徳観を否定し、感情の持つ強さに着目。
自身の構築した「道徳基盤理論」で新たな道徳心理学を提唱する、注目の一冊。
◆ ◆ ◆
「人間性の理解に大きく貢献する重要な一作だ」
――『ニューヨークタイムズ・ブックレビュー』
「現役の心理学者のなかでもっとも賢く創造的な一人、ジョナサン・ハイトのこの力作は、現代のきわめて重要な問題の解明を試みる、輝かしく、勇敢で雄弁な書だ」
――ポール・ブルーム(イェール大学教授・認知心理学)
「道徳の心理学的な起源と、それが政治的な対立の激化に果たしてきた役割について深くメスを入れる本書は、この無益な争いの緩和に必ずや役立つはずだ。これは過大な期待ではない」
――リチャード・E. ニスベット(ミシガン大学教授・社会心理学)
皆が「自分は正しい」と思っているかぎり、左派と右派は折り合えない。
アメリカの政治的分断状況の根にある人間の道徳心を、
進化理論や哲学、社会学、人類学などの知見から多角的に検証し、
豊富な具体例を用いてわかりやすく解説した、全米ベストセラー!
気鋭の社会心理学者が、従来の理性一辺倒の道徳観を否定し、感情の持つ強さに着目。
自身の構築した「道徳基盤理論」で新たな道徳心理学を提唱する、注目の一冊。
◆ ◆ ◆
「人間性の理解に大きく貢献する重要な一作だ」
――『ニューヨークタイムズ・ブックレビュー』
「現役の心理学者のなかでもっとも賢く創造的な一人、ジョナサン・ハイトのこの力作は、現代のきわめて重要な問題の解明を試みる、輝かしく、勇敢で雄弁な書だ」
――ポール・ブルーム(イェール大学教授・認知心理学)
「道徳の心理学的な起源と、それが政治的な対立の激化に果たしてきた役割について深くメスを入れる本書は、この無益な争いの緩和に必ずや役立つはずだ。これは過大な期待ではない」
――リチャード・E. ニスベット(ミシガン大学教授・社会心理学)
- 本の長さ616ページ
- 言語日本語
- 出版社紀伊國屋書店
- 発売日2014/4/24
- 寸法13.5 x 3.4 x 19.6 cm
- ISBN-104314011173
- ISBN-13978-4314011174
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
リベラルはなぜ勝てないのか?政治は「理性」ではなく「感情」だ―気鋭の社会心理学者が、哲学、社会学、人類学、進化理論などの知見を駆使して現代アメリカ政治の分断状況に迫り、新たな道徳の心理学を提唱する。左派と右派の対立が激化する構図を明解に解説した全米ベストセラー。
著者について
【著者】ジョナサン・ハイト Jonathan Haidt
1963年生まれの社会心理学者。
ヴァージニア大学准教授を経て、ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授(倫理的リーダーシップ)。
2001年にポジティブ心理学テンプルトン賞を受賞。
2012年には米国Foreign Policy 誌の100 Top Global Thinkers 2012入りを果たし、
翌年には英国Prospect 誌でWorld Thinkers 2013に選ばれた。
邦訳された著書に『しあわせ仮説――古代の知恵と現代科学の知恵』(新曜社、2011年)がある。
【訳者】高橋 洋(たかはし・ひろし)
翻訳家。同志社大学文学部文化学科卒(哲学及び倫理学専攻)。
訳書に、ニールセン『オープンサイエンス革命』、グリーンフィールド『〈選択〉の神話――自由の国アメリカの不自由』、ブレイスウェイト『魚は痛みを感じるか?』、ミッチェル『ガイドツアー 複雑系の世界――サンタフェ研究所講義ノートから』(以上、紀伊國屋書店)、ベコフ『動物たちの心の科学』(青土社)ほか。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ハイト,ジョナサン
1963年生まれの社会心理学者。ヴァージニア大学准教授を経て、ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授(倫理的リーダーシップ)。2001年にポジティブ心理学テンプルトン賞を受賞。2012年に『Foreign Policy』誌の100Top Global Thinkers 2012に入り、翌年には英国『Prospect』誌でWorld Thinkers 2013に選ばれた
高橋/洋
翻訳家。同志社大学文学部文化学科卒(哲学及び倫理学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1963年生まれの社会心理学者。ヴァージニア大学准教授を経て、ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授(倫理的リーダーシップ)。2001年にポジティブ心理学テンプルトン賞を受賞。2012年に『Foreign Policy』誌の100Top Global Thinkers 2012に入り、翌年には英国『Prospect』誌でWorld Thinkers 2013に選ばれた
高橋/洋
翻訳家。同志社大学文学部文化学科卒(哲学及び倫理学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 紀伊國屋書店 (2014/4/24)
- 発売日 : 2014/4/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 616ページ
- ISBN-10 : 4314011173
- ISBN-13 : 978-4314011174
- 寸法 : 13.5 x 3.4 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 42,604位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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2022年7月28日に日本でレビュー済み
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今や世界的な名声を勝ち得た道徳心理学者である著者が、科学的で公正な態度から、保守とリベラルといった政治的な主張の分断について詳細に述べた著作。
あくまでエンターテイメントとして書かれているので大変わかりやすく、読みやすく、それでいて多数の実例や学問的蓄積を踏まえていて本当にためになる。ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』にも匹敵するようなスケールの大きさを備えた一冊。世界各国で報告されている「保守陣営の伸長」がなぜ起きているのかについて、非常に深い示唆を与えてくれる。
あくまでエンターテイメントとして書かれているので大変わかりやすく、読みやすく、それでいて多数の実例や学問的蓄積を踏まえていて本当にためになる。ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』にも匹敵するようなスケールの大きさを備えた一冊。世界各国で報告されている「保守陣営の伸長」がなぜ起きているのかについて、非常に深い示唆を与えてくれる。
2022年7月19日に日本でレビュー済み
近代の西洋思想までは、理性を知性の最上位と無批判に捉えるという趨勢が強く、理性ありきで演繹的にあらゆる命題が出されてきた。
著者はこのパラダイムをひっくり返す。直感が方向を決めたら理性は方向を決めた理由を「後で」作るのだ、と。我々は日々生きていると、考えた結果により行動、言動していると思いがちだが、考える前に直感が筋道をすでに作っているという。ここに直感の抗いがたい力を見る。
この本の面白いところは、心理学だけでなく歴史、人類学、社会学などあらゆる分野の学問を統合し結論を生み出しているところだ。それでいて文章は案外読みやすいので、とても興味深く読ませていただいた。
一つだけ気になるところがあるとすれば、著者によると「乗り手が象を動かしているのではなく、象が乗り手を動かしている」とのことだが、著者自身がこの罠に陥り、直感が前述した結論を決めた上で理論を展開しているのではないか、と少し思ったところである。
しかしそれ自体も本書の良さなのかも知れない。不可避なのだから。
著者はこのパラダイムをひっくり返す。直感が方向を決めたら理性は方向を決めた理由を「後で」作るのだ、と。我々は日々生きていると、考えた結果により行動、言動していると思いがちだが、考える前に直感が筋道をすでに作っているという。ここに直感の抗いがたい力を見る。
この本の面白いところは、心理学だけでなく歴史、人類学、社会学などあらゆる分野の学問を統合し結論を生み出しているところだ。それでいて文章は案外読みやすいので、とても興味深く読ませていただいた。
一つだけ気になるところがあるとすれば、著者によると「乗り手が象を動かしているのではなく、象が乗り手を動かしている」とのことだが、著者自身がこの罠に陥り、直感が前述した結論を決めた上で理論を展開しているのではないか、と少し思ったところである。
しかしそれ自体も本書の良さなのかも知れない。不可避なのだから。
ベスト1000レビュアー
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とりあえずこれまで学んできたこと今現在の問題意識を全部盛り込んだような体裁で、学問的成果と個人の思い出話のようなものが同列に語られているので読みづらかったが、「なぜリベラルは保守に勝てないのか」という問いに対しては非常に説得力のある議論がなされている点は評価したい。本書は3部に分かれていて(著者は「とりあえずこれらを三冊の別の本と見なしてもよい」と最初にことわっている)、上記の問題提起とそれに対する答えは第2部にある。備忘録的に書いておくと第1部は、道徳は理性ではなく感情に端を発している、つまり道徳的な理屈というもののほどんどが後づけやでっちあげであるという話(道徳心理学の第一原理:まず直観、そのあと戦略的な理論化)。第3部は人間の本性は個人間の競争と集団間の競争によって形成されており、後者によって培われた高次の本性が自集団を利するかたちの道徳的物語を紡ぎ出すという話(道徳心理学の第三原理:道徳は人々を結びつけると同時に盲目にする)。
ここでは道徳心理学の第二原理(道徳は危害と公正だけではない)について掘り下げた第2章について書く。もっとわかりやすく書くと、道徳というものは人に危害を与えること、および不正を行うことを禁じるだけのものではない、ということ。具体的には 人間には少なくとも5つの道徳基盤(「ケア/危害」「公正/欺瞞」「忠誠/背信」「権威/転覆」「神聖/堕落」)がある、というのが著者の考えだ。心理学者が対象とするのはWEIRD(Western, Educated, Industrialized, Rich, Democratic)文化に属する全人類のうちでも特異なグループであり、彼らはこれらの道徳基盤のうちごく一部に極端に反応する。つまり、彼らの道徳世界は非多元的でものごとを関係性や文脈性を考慮しないものになりがちなのだ。
道徳は感情から生まれるとしたデビッド・ヒュームの没後、合理主義者の天下となり、道徳はジェレミー・ベンサム、やイマヌエル・カントのようなシステム主義者に乗っ取られてしまった。「最大多数の最大幸福」というベンサムの功利主義、普遍的道徳律たる「定言命法」で知られるカントの義務論は、共感力の欠如(この二人はアスペルガー症候群を抱えていたという説があるらしい)のたまものでもあって、便利であはるが現実を説明するには不十分なものであると著者は指摘する。それに代わるものとして著者が提案するのが「道徳基盤理論」である。社会における正義を定義する5つの道徳基盤(ケア、公正、忠誠、権威、神聖)のなかで、左派はおもにケアと公正の2つに、右派は5つすべてに依存している。特筆すべきは、忠誠、権威、神聖の核基盤においてリベラルはこれらをたいてい「無視して」いるという点だ。以下の点は、本書のなかでも最も興味深い議論で、2016年の大統領選でトランプが勝利したことに対する非常に説得力のある説明となっている。
「1960年以来民主党が示してきた道徳観は狭量で、犠牲者を救済し、抑圧された[少数派の]人々の権利を勝ち取ることにみに終始してきた感がある。つまり民主党は砂糖(<ケア>基盤)と塩(平等としての<公正>基盤)のみを提供する一方、共和党は5つの道徳基盤すべてに訴えることができたわけだ」。
これは著者がジョージ・W・ブッシュに二期続けて敗れた後の民主党本部でおこなった講演のなかで主張したことだが、当時はまだ仮説であった。この仮説はその後13万人以上を対象とした調査で実証された。オバマが2008年に民主党の大統領候補に指名されてから、著者は民主党のこの盲点について改めて警鐘を鳴らす小論を書いた。そのなかで、ジョン・スチュアート・ミルとエミール・デュルケームを対比させて、社会は構成員間の同意により成り立つというミルはリベラルとリバタリアンに、そうではなく強制的な規律の網によって安定と安全を保つことで社会が成り立つとするデュルケームは保守主義者にそれぞれアピールすると論じた。保守が5つの道徳基盤を万遍なく尊重するのに対し、リベラルはその一部のみを尊重し、それ以外を支持する心理を病理的なものとして拒絶することによって深い溝が生まれている。著者は民主党に対し、選挙に勝ちたければケア、公正以外の道徳基盤を考慮したメッセージを打ち出すように呼びかけた。
この小論には、保守派の読者から、リベラルのほうがより公正に敏感であるというのは解せないという反論が多く寄せられた。そこで著者は5つの道徳基盤のうち「公正」の定義を、貢献に応じた比例配分、怠惰な者は罰せられ勤勉な者が報われるという因果応報の側面をより重視する方向で修正すると同時に、「自由/抑圧」という6番目の基盤を新たに付け加えた。この6番目の道徳基盤は「機会さえあれば他人を支配し、脅し、抑制しようとする個体とともに小集団を形成して生きて行かなければならないという適応課題に対応するために進化した」と著者は考える。この基盤に基づく怒りを誘発するのは権力の乱用、個人の自由に課される制限、さらには極端な富の蓄積などである。抑圧への反発は保守・リベラルのどちらにもみられるが、(弱者や少数派への)ケアをとりわけ重んじるリベラルにとってより許しがたいものにうつる。一方保守はあくまでも自分たちの属する集団に対しての抑圧に敏感に反応する傾向がある。リベラルの抑圧への反発は平等を志向するものになりがちで、保守へのそれは干渉・介入されないという意味での自由を志向するものになり、これは「他のほとんどすべての関心を脇に置いてでも自由を擁護する」リバタリアン思想と相性がいい。
本書の結論としては、リベラルはケア/危害、自由/抑圧、公正/欺瞞の3つの基盤に、保守はそれに忠誠/背信、権威/転覆、神聖/堕落を含めた6つの基盤すべてに依存するとしている。ただしリベラルは弱者へのケアと天秤にかけた場合、比例配分的公正を放棄する傾向が、保守はそれ以外の道徳的目標を達成するためには弱者へのケアを犠牲にする傾向が見られる、と付け加えている。
そしてこの理論によって「富の均等な再分配を重視しているのは民主党なのに、なぜ地方や労働者階級の有権者は、一般に共和党に投票するのか」という近年のアメリカ政治における謎を解明できるとしている2016年的文脈でいえば、なぜ下層労働者階級が大富豪であるトランプをもっとも熱狂的に支持していることに民主党がかくも鈍感で打つ手を持たなかったのかということだ。民主党陣営には3つの道徳的基盤しか見えておらず、共和党(トランプ)陣営は、6つすべてが見えており、とりわけ民主党が病理とさえみなす忠誠、権威、神聖という道徳基盤への目配りができていたということではなかっただろうか。6つの基盤を前提にすれば、TPP構想からの脱退、オバマケア廃止といった滅茶苦茶にみえる政策も保守派にとっては「公正」の範疇にきっちり入るということがわかる。
この道徳基盤論に基づく2000年・2004年の大統領選の民主党の敗因分析の内容をオバマは認識していたのではないだろうか。トランプ勝利後、ヒラリーのキャンペーン戦略を草の根の運動になっていなかったと批判したことからもオバマはWEIRDなリベラルの価値感に共鳴する全国メディアを通じた発信やセレブリティの動員だけでは地域に根付いた伝統を重んじる層の支持を得ることはできないと考えていたことが垣間見れる。つまりは、アメリカで格差が広がったとか、テロリズムなどの社会不安が広がったとか、有権者がポピュリズムに踊らされているという話ではなく、たんに民主党の戦略ミスによる自滅だったという結論になる。本書を読んだ後で考えてみれば、もし大統領候補がヒラリー・クリントンでなくバーニー・サンダースであっても民主党は負けていたと思われる。
ここでは道徳心理学の第二原理(道徳は危害と公正だけではない)について掘り下げた第2章について書く。もっとわかりやすく書くと、道徳というものは人に危害を与えること、および不正を行うことを禁じるだけのものではない、ということ。具体的には 人間には少なくとも5つの道徳基盤(「ケア/危害」「公正/欺瞞」「忠誠/背信」「権威/転覆」「神聖/堕落」)がある、というのが著者の考えだ。心理学者が対象とするのはWEIRD(Western, Educated, Industrialized, Rich, Democratic)文化に属する全人類のうちでも特異なグループであり、彼らはこれらの道徳基盤のうちごく一部に極端に反応する。つまり、彼らの道徳世界は非多元的でものごとを関係性や文脈性を考慮しないものになりがちなのだ。
道徳は感情から生まれるとしたデビッド・ヒュームの没後、合理主義者の天下となり、道徳はジェレミー・ベンサム、やイマヌエル・カントのようなシステム主義者に乗っ取られてしまった。「最大多数の最大幸福」というベンサムの功利主義、普遍的道徳律たる「定言命法」で知られるカントの義務論は、共感力の欠如(この二人はアスペルガー症候群を抱えていたという説があるらしい)のたまものでもあって、便利であはるが現実を説明するには不十分なものであると著者は指摘する。それに代わるものとして著者が提案するのが「道徳基盤理論」である。社会における正義を定義する5つの道徳基盤(ケア、公正、忠誠、権威、神聖)のなかで、左派はおもにケアと公正の2つに、右派は5つすべてに依存している。特筆すべきは、忠誠、権威、神聖の核基盤においてリベラルはこれらをたいてい「無視して」いるという点だ。以下の点は、本書のなかでも最も興味深い議論で、2016年の大統領選でトランプが勝利したことに対する非常に説得力のある説明となっている。
「1960年以来民主党が示してきた道徳観は狭量で、犠牲者を救済し、抑圧された[少数派の]人々の権利を勝ち取ることにみに終始してきた感がある。つまり民主党は砂糖(<ケア>基盤)と塩(平等としての<公正>基盤)のみを提供する一方、共和党は5つの道徳基盤すべてに訴えることができたわけだ」。
これは著者がジョージ・W・ブッシュに二期続けて敗れた後の民主党本部でおこなった講演のなかで主張したことだが、当時はまだ仮説であった。この仮説はその後13万人以上を対象とした調査で実証された。オバマが2008年に民主党の大統領候補に指名されてから、著者は民主党のこの盲点について改めて警鐘を鳴らす小論を書いた。そのなかで、ジョン・スチュアート・ミルとエミール・デュルケームを対比させて、社会は構成員間の同意により成り立つというミルはリベラルとリバタリアンに、そうではなく強制的な規律の網によって安定と安全を保つことで社会が成り立つとするデュルケームは保守主義者にそれぞれアピールすると論じた。保守が5つの道徳基盤を万遍なく尊重するのに対し、リベラルはその一部のみを尊重し、それ以外を支持する心理を病理的なものとして拒絶することによって深い溝が生まれている。著者は民主党に対し、選挙に勝ちたければケア、公正以外の道徳基盤を考慮したメッセージを打ち出すように呼びかけた。
この小論には、保守派の読者から、リベラルのほうがより公正に敏感であるというのは解せないという反論が多く寄せられた。そこで著者は5つの道徳基盤のうち「公正」の定義を、貢献に応じた比例配分、怠惰な者は罰せられ勤勉な者が報われるという因果応報の側面をより重視する方向で修正すると同時に、「自由/抑圧」という6番目の基盤を新たに付け加えた。この6番目の道徳基盤は「機会さえあれば他人を支配し、脅し、抑制しようとする個体とともに小集団を形成して生きて行かなければならないという適応課題に対応するために進化した」と著者は考える。この基盤に基づく怒りを誘発するのは権力の乱用、個人の自由に課される制限、さらには極端な富の蓄積などである。抑圧への反発は保守・リベラルのどちらにもみられるが、(弱者や少数派への)ケアをとりわけ重んじるリベラルにとってより許しがたいものにうつる。一方保守はあくまでも自分たちの属する集団に対しての抑圧に敏感に反応する傾向がある。リベラルの抑圧への反発は平等を志向するものになりがちで、保守へのそれは干渉・介入されないという意味での自由を志向するものになり、これは「他のほとんどすべての関心を脇に置いてでも自由を擁護する」リバタリアン思想と相性がいい。
本書の結論としては、リベラルはケア/危害、自由/抑圧、公正/欺瞞の3つの基盤に、保守はそれに忠誠/背信、権威/転覆、神聖/堕落を含めた6つの基盤すべてに依存するとしている。ただしリベラルは弱者へのケアと天秤にかけた場合、比例配分的公正を放棄する傾向が、保守はそれ以外の道徳的目標を達成するためには弱者へのケアを犠牲にする傾向が見られる、と付け加えている。
そしてこの理論によって「富の均等な再分配を重視しているのは民主党なのに、なぜ地方や労働者階級の有権者は、一般に共和党に投票するのか」という近年のアメリカ政治における謎を解明できるとしている2016年的文脈でいえば、なぜ下層労働者階級が大富豪であるトランプをもっとも熱狂的に支持していることに民主党がかくも鈍感で打つ手を持たなかったのかということだ。民主党陣営には3つの道徳的基盤しか見えておらず、共和党(トランプ)陣営は、6つすべてが見えており、とりわけ民主党が病理とさえみなす忠誠、権威、神聖という道徳基盤への目配りができていたということではなかっただろうか。6つの基盤を前提にすれば、TPP構想からの脱退、オバマケア廃止といった滅茶苦茶にみえる政策も保守派にとっては「公正」の範疇にきっちり入るということがわかる。
この道徳基盤論に基づく2000年・2004年の大統領選の民主党の敗因分析の内容をオバマは認識していたのではないだろうか。トランプ勝利後、ヒラリーのキャンペーン戦略を草の根の運動になっていなかったと批判したことからもオバマはWEIRDなリベラルの価値感に共鳴する全国メディアを通じた発信やセレブリティの動員だけでは地域に根付いた伝統を重んじる層の支持を得ることはできないと考えていたことが垣間見れる。つまりは、アメリカで格差が広がったとか、テロリズムなどの社会不安が広がったとか、有権者がポピュリズムに踊らされているという話ではなく、たんに民主党の戦略ミスによる自滅だったという結論になる。本書を読んだ後で考えてみれば、もし大統領候補がヒラリー・クリントンでなくバーニー・サンダースであっても民主党は負けていたと思われる。
2019年2月2日に日本でレビュー済み
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とりあえず、分厚く内容もとんでもなく濃く社会科学、文化人類学、心理学、脳神経科学や遺伝学などありとあらゆる科学の"最新の知見"を経て徹底的に"人間性"についてメスを入れて述べてあります。
とにかく"ヒトの心"をついに解き明かしてしてまった・・・!!
圧倒的なスケールの著作!!
ジョナサン ハイト・・・。
日本ではマイナーな学者さんですが、数々の世界的な賞を取っています。
わたしが数百冊読んだ社会科学者の中では、
間違いなくズバ抜けた超Sの天才な先生です!!。
前作の「幸せ仮説」
も素晴らしいのですが、それを読んでからだと、
この大著作の、その凄さ!!鋭さ!!、、広大さ!!・・・
が理解できると私は考えております。
(注.)また、私は中道左派でしたが、読んだ方の思想が改変されてしまうような、思想的に
【危険】な大著作だと申し上げます。
(素晴らしさが理解できない方が、ほとんどだと考えておりますので、"TEDの動画"を見てみるのを是非ぜひおススメします。)
私は何百回読んでも飽きないので本がボロボロになっていました・・・なので何冊も買いだめして置きます。(笑)
では、レディー・・・ゴー!!。。。
とにかく"ヒトの心"をついに解き明かしてしてまった・・・!!
圧倒的なスケールの著作!!
ジョナサン ハイト・・・。
日本ではマイナーな学者さんですが、数々の世界的な賞を取っています。
わたしが数百冊読んだ社会科学者の中では、
間違いなくズバ抜けた超Sの天才な先生です!!。
前作の「幸せ仮説」
も素晴らしいのですが、それを読んでからだと、
この大著作の、その凄さ!!鋭さ!!、、広大さ!!・・・
が理解できると私は考えております。
(注.)また、私は中道左派でしたが、読んだ方の思想が改変されてしまうような、思想的に
【危険】な大著作だと申し上げます。
(素晴らしさが理解できない方が、ほとんどだと考えておりますので、"TEDの動画"を見てみるのを是非ぜひおススメします。)
私は何百回読んでも飽きないので本がボロボロになっていました・・・なので何冊も買いだめして置きます。(笑)
では、レディー・・・ゴー!!。。。
2019年9月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「政治的に左寄りの人と右寄りの人がどうして分かれるのか」「リベラルはなぜ勝てないのか」ということについて、どちらの陣営の意見が正しいかというのではなく、心理学者が人間の特性から説明した本ですごく面白い。
人間の正しさの基準は6つ。それぞれが進化的な基盤を持つ。保守のほうが多くを掴んでいる。
あと、育ちより遺伝子のほうが政治傾向に影響するらしい。
保守はリベラルより、脅威に強く反応し、新しいものに弱く反応する遺伝子を持っている。つまりリベラルは、自分の危機に鈍感で、新しいものに興味をひかれやすい人間がそうなる。
世の中の保守とリベラルの割合がこうなっているのは、それが最適な割合だからこうなってきたのだろう。この割合の集団が一番存続しやすいという感じなんだろう。進化論的に。
僕はどっちかというとリベラル寄りの考えだけど、リベラルが勝てないのはしかたないのかなーと思った。
人間の正しさの基準は6つ。それぞれが進化的な基盤を持つ。保守のほうが多くを掴んでいる。
あと、育ちより遺伝子のほうが政治傾向に影響するらしい。
保守はリベラルより、脅威に強く反応し、新しいものに弱く反応する遺伝子を持っている。つまりリベラルは、自分の危機に鈍感で、新しいものに興味をひかれやすい人間がそうなる。
世の中の保守とリベラルの割合がこうなっているのは、それが最適な割合だからこうなってきたのだろう。この割合の集団が一番存続しやすいという感じなんだろう。進化論的に。
僕はどっちかというとリベラル寄りの考えだけど、リベラルが勝てないのはしかたないのかなーと思った。





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