第58回(2005年)日本推理作家協会賞 長編及び連作短編集部門 受賞作品だということで購入。
590ページにわたって、ひとつの事件とそこに至る過程を緻密かつ丁寧に描いている。
読んでいて「なるほど~」と思わされては裏切られるおもしろさと迫力の展開で、どんどん先を読みたくなる作品だった。
ただ、専門的で複雑な描写で状況を想像しにくい部分が私にはあった。大体は「そういうものなんだ」で読み流すことができる。しかし、実際に使われたトリックや偽装工作についても、細部が画像として想像しにくい上に現実味がイマイチ感じられなかったのは少しもったいなく思う。それくらい専門用語を交えて具体的に描かれており、斬新で奇抜で大胆なトリックなんだろうと思う。
それから、末尾のインタビューが秀逸で、読者が抱くであろう感想をとてもうまく拾っていると思う。
最後に、当該小説には関係ないが、著者の本で天使の囀り (角川ホラー文庫)を最初に読みたいと思い、評判を探ろうとレビューを読んだら、いわゆる「ネタばれ」を記載しているレビュワーが多くて驚いた。レビューっていつ読まれるためにあるのか。
読後の感想を共有したいというならそれでいいのかもしれないが、本を選ぶためにレビューを読む人にしてみればその本を読む楽しみを奪われることになりかねない。配慮して欲しい。
- 文庫: 608ページ
- 出版社: KADOKAWA (2007/10/11)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 4041979072
- ISBN-13: 978-4041979075
- 発売日: 2007/10/11
- 梱包サイズ: 14.8 x 10.6 x 2.6 cm
- おすすめ度: 110件のカスタマーレビュー
- Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 33,746位 (本の売れ筋ランキングを見る)