仲のいい池上さんと佐藤優氏の対談シリーズ。
本書は、60歳前後の男性サラリーマンをターゲットに、勉強を材料として、著者たちが対談したことを編集したエンタメです。これまでの彼らの著作を読んだ方には、特に新しい情報はありません。星一つ減点。
しかし、おっかなそうな表情の二人の写真の表紙、書名の「知的」「再武装」ということば、60個の極意だかヒントだかを目次にする校正、「45歳は重要な折り返し地点」といって読者層を無理に45歳前後まで広げる営業手法、随所の書籍紹介などの撒餌を惜しみなく撒いて、獲物たる読者を捕らえようと、巧妙に編集者が売れる作品に仕上げています。
では面白くないかというと、まあ、そうでもなく、「良心の人」池上さんの正直さと「怪物」佐藤優氏の「韜晦」(「年間読書人」さんのAmazonレビューより引用)を狙った皮肉や露骨な描写が随所にちりばめてあり、楽しめます。
なかでも、SNS、特にYouTubeに時間を使わないこと、Newsサイトの断片的な情報に惑わされないこと、人生の残り時間を計算して生きること、など、説得されることは多かったです。また、佐藤優氏が、今でも公文式で国語と数学を勉強しているとか、短い睡眠時間に耐えられると威張っていたけど実は昼間は眠かったとか、彼のやくざ映画の話題や知識不足OBの外務省OBの揶揄や自分の無呼吸症候群の話題は相変わらず面白いです。
池上さんが時折反撃代わりに佐藤氏をからかおうとするところもあります。佐藤氏も反撃しており、ヒント55で、「最初から答えは決めておいて、そこのところに落ちる言葉が出てくるまでねちっこくする。」「池上さんも、これは選挙の特番でときどきやっていますよね。来ないかな、来ないかな、キターッ、ど真ん中って。」「アハハ、バレたか(笑)。」
からかうためにからかうという佐藤氏の手法が意味をなしていない箇所もあります。佐藤氏は、ユヴァル・ノア・ハラリが、彼の著作「ホモ・デウス」において「(スペンサーの社会進化論のように優れたものが生き残る、と考えるのか、ダーウィンの進化論のように生き残った者が生き残る、と考えるのか)両義的に読め」て「どっちを考えているのか分からない」と、批判しています。ハラリは、それが成功するものもしないものもある前提で、つまり、ダーウィン的立場で、富裕層は生き残りやすいように遺伝子操作を活用しようとするだろう、といっているので、佐藤氏の狭い尺度を当てることは、的外れのようです。
また、トマ・ピケティについて、マルクスの資本論を知らない、とこき下ろしています。そうなのかもしれません。それはともかく、ピケティのメッセージは、格差拡大の事実とその原理を説明しているものなのだそうなので、マルクスの理解の深さと広さで、ピケティを評価するのもどうかと思います。
さらに、語学の勉強法については、読者は語学教育法の専門家の助言を求めた方がいいでしょう。池上さんはそもそも語学の勉強法を述べません。彼はそれには時間を使っていないのでしょう。正直者です。佐藤優氏は外務省職員時代にロシア語教育をみっちり受けているとのことですが、今でもロシア語やチェコ語や琉球語をマンツーマンで勉強しているとか、多くの人のやらないことをやっていると言って驚かせるものの、英語について、英検準一級レベルを目指せというにとどまっており、具体的な勉強法には触れていないので、本書は多くの人の参考にはならないでしょう。そもそも体験談として外国語の勉強法を述べる資格があること(=ご自身の語学力レベル)を示していません。
読書家のみなさまには、エンタメとして消費する以上に、情報として佐藤氏の著作を読むならば、情報ごとに情報源としての信用度を検討することをお勧めします。そのように客観的批判精神をもつことは、佐藤氏が本書で主張する、勉強の意味するところでもあると思います。
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知的再武装 60のヒント (文春新書) Kindle版
人生で最も役に立つのは、達人が明かす極意です。本書は60の極意から成っています。
人は人生において、二つの大きな転換期を迎えます。一つ目は45歳の人生の折り返し地点です。そこで重要なのは「知的再武装」をすることです。「知的再武装」はよりよく生き、よりよく死んでいくための、人生の必須課題です。では、「知的再武装」で、何をどう学ぶべきか。その点について、二人の勉強の達人が、秘中の策を惜しげもなく教えてくれる。時間は有限な財産であるから、そこでやってはいけないこともある。それは何なのかも明言してくれます。もちろん、稀代の読書家の二人なので、厳選した読むべき書籍も推薦してくれます。二人が提案するのは、学び直しに当たって、何を準備すればいいのか、いかにして継続させるのかです。映画・小説は当然のこととして、時代劇ですら、どうすれば勉強の対象になるかを開陳してくれます。
二つ目に重要なのは、60もしくは65歳で定年を迎えてからです。実は、ここに人生の最大の正念場が待ち構えています。それを「60の壁」と二人は呼びます。ここでの対処を間違えると、その後の人生はかなり惨憺たるもにしかなりません。会社の再雇用は受けるべきなのかどうか。二人は受けるべきではないとします。そして最大の関門は、家庭です。ビジネスパーソンが家庭に入り込むのがどうして難しいことなのかを本書は明らかにします。それを乗り越えるには三つの対話術があります。定年から95歳までの長い長い第二の人生を、心の健全さを保ちながら生きていくためにどうすればいいのか、本書はその知恵を授けてくれます。
人は人生において、二つの大きな転換期を迎えます。一つ目は45歳の人生の折り返し地点です。そこで重要なのは「知的再武装」をすることです。「知的再武装」はよりよく生き、よりよく死んでいくための、人生の必須課題です。では、「知的再武装」で、何をどう学ぶべきか。その点について、二人の勉強の達人が、秘中の策を惜しげもなく教えてくれる。時間は有限な財産であるから、そこでやってはいけないこともある。それは何なのかも明言してくれます。もちろん、稀代の読書家の二人なので、厳選した読むべき書籍も推薦してくれます。二人が提案するのは、学び直しに当たって、何を準備すればいいのか、いかにして継続させるのかです。映画・小説は当然のこととして、時代劇ですら、どうすれば勉強の対象になるかを開陳してくれます。
二つ目に重要なのは、60もしくは65歳で定年を迎えてからです。実は、ここに人生の最大の正念場が待ち構えています。それを「60の壁」と二人は呼びます。ここでの対処を間違えると、その後の人生はかなり惨憺たるもにしかなりません。会社の再雇用は受けるべきなのかどうか。二人は受けるべきではないとします。そして最大の関門は、家庭です。ビジネスパーソンが家庭に入り込むのがどうして難しいことなのかを本書は明らかにします。それを乗り越えるには三つの対話術があります。定年から95歳までの長い長い第二の人生を、心の健全さを保ちながら生きていくためにどうすればいいのか、本書はその知恵を授けてくれます。
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2020/3/19
- ファイルサイズ16933 KB
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
池上/彰
1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。73年NHKに入局。94年から11年間にわたり「週刊こどもニュース」でニュースを解説し、人気を博する。2005年NHKを退職後、作家、フリージャーナリストとして活躍。著書多数
佐藤/優
1960年東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省に入省し、在ロシア連邦日本国大使館などに勤務。その後、本省で主任分析官として活躍。2002年背任と偽計業務妨害容疑で逮捕・起訴。09年有罪確定(懲役2年6カ月、執行猶予4年)。13年に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。73年NHKに入局。94年から11年間にわたり「週刊こどもニュース」でニュースを解説し、人気を博する。2005年NHKを退職後、作家、フリージャーナリストとして活躍。著書多数
佐藤/優
1960年東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省に入省し、在ロシア連邦日本国大使館などに勤務。その後、本省で主任分析官として活躍。2002年背任と偽計業務妨害容疑で逮捕・起訴。09年有罪確定(懲役2年6カ月、執行猶予4年)。13年に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B085XVPWVP
- 出版社 : 文藝春秋 (2020/3/19)
- 発売日 : 2020/3/19
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 16933 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 206ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 48,144位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 111位文春新書
- - 663位エッセー・随筆 (Kindleストア)
- - 884位近現代日本のエッセー・随筆
- カスタマーレビュー:
著者について
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ジャーナリスト。1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。1994年から11年にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年よりフリーに。今さら聞けないニュースの本質をズバリ解説。テレビでも大活躍中(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 池上彰の知らないと恥をかく世界の大問題37 イラスト図解版 (ISBN-13: 978-4047318229 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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カスタマーレビュー
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2020年8月20日に日本でレビュー済み
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Amazonで購入
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
VINEメンバー
Amazonで購入
池上彰、佐藤優両氏からの定年後の過ごし方について「知」の再武装として学びの実践的な方法を「ヒント」として提示してくれています。
興味深いですね〜
この本で指摘されている45歳はすぎて、数年で定年を迎える年齢ですけど示唆されることが多かったです。
特に「いかに学ぶか」「いかに学び続けるか」の章は学びの実践が具体的に示してあって参考になりました。
時間が限られる中で、手を出していく時の判断基準であるとか、何を気にして、何をこだわるのか。
映画についても言及されていましたが、「なるほど!」
今は、あまり映画を見ていないだけに、楽しみが増えた感じです。
そのような実践書ではありつつも、2人の会話なので所々に教養エッセンスがあります。
他の著書同様に刺激の多い一冊でした。
定年後が楽しみです!
興味深いですね〜
この本で指摘されている45歳はすぎて、数年で定年を迎える年齢ですけど示唆されることが多かったです。
特に「いかに学ぶか」「いかに学び続けるか」の章は学びの実践が具体的に示してあって参考になりました。
時間が限られる中で、手を出していく時の判断基準であるとか、何を気にして、何をこだわるのか。
映画についても言及されていましたが、「なるほど!」
今は、あまり映画を見ていないだけに、楽しみが増えた感じです。
そのような実践書ではありつつも、2人の会話なので所々に教養エッセンスがあります。
他の著書同様に刺激の多い一冊でした。
定年後が楽しみです!
2020年4月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この2人の真似をするのは難しいけど、少しでも意識は高く持ちたいものだ。全部じゃなくても取り入れられるものは、取り込もう。





