本書は、2011年まで実施されていたラーニングバーの運営と、そこから得られたノウハウについてまとめられたものです。
ラーニングバーは、「働く大人のための学びの場」をめざして筆者の中原氏が勤務する大学で開催されていました。
この場の運営には、「聞く」、「考える」、「対話する」、「気づく」を促すための仕組みがふんだんに盛り込まれています。
たとえば、プログラムの時間配分に加えて、会場のBGMや、用意する飲食物といった詳細なノウハウまで本書には記述されている。
そのため、とくにIT業界で盛んな勉強会の運営などに大いに役に立つのではないかと思います。
筆者は「教育技術、学習技術はオープンソースであるべき」という信念を持っているとのことで、このような成果が文章化されることは非常に意義があると思います。
ただ、一方で「働く大人のための学び」についての定義が本書では十分になされていないこともあり、読んでいて消化不良と感じられる部分もあった。
具体的には、参加者がどのような状態や行動を行えばラーニングバーの目的を達成したといえるのか。
また、その効果測定はどのようにおこなうのか。
こういった点が記述されていれば、ラーニングバーを自ら運営したいという読者が、その内容をより良いものへしていく手がかりとなったであろう点が悔やまれます。
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