現状、つのだのスポーツ系漫画は読むのが難しいし、色々あっての本作以降、ほぼ完全にホラー専門になった訳だが、本作はそれ以上にレディコミでのホラージャンルの確立になった様な作品である。
それ以前から、楳図かずおなどが少女誌でホラー漫画を確立していたが、その読者が大人になって、その層に向けた作品が本作である。
本作は週刊女性にて連載され、本作の前に夏目雅子主演でドラマ化された虹子の冒険の原作である銀座花族を連載していたが、TVなどでも70年代から続くオカルトブームが残っており、本作は読者にも支持されたようだ。
形式としては、実話風にし、読者女性の興味のあるポイントを題材にする事で、掲載誌らしいゴシップ感の強い内容になっている。
本作の成功が、数年後、ハイティーンから大人の女性向けのハロウィンやサスペリアと云う雑誌の創刊に繋がった。
しかし、オウム事件やノストラダムスの大予言が外れ、経済不況が続き、ネットが一般化した事で、オカルト漫画誌自体が消え、レディコミ分野では本来の少女漫画らしい状況による不幸モノがメインに戻っている。
(リアルな世相が良い時の不幸の原因は原因をオカルトに求めやすいが、状況が悪い時は自分より悲惨なものがあると云う話がウケる)
そう云う意味では、本作は今読むにはきつい部分も多い。
レディースコミックとしても創成期の時期に当たるが、漫画誌でなく女性誌掲載の本作は、段々性描写やそれっぽい会話が強くなっており、内容的には今のレディコミと大して変わらないが、オカルトに原因をもっていく辺りがどうも胡散臭く見えてしまい、子供の頃には強く感じたつのだのリアル感が逆に仇になっている様に感じた。
今だと人間の方が怖く、そこに持っていく話が主流な訳で、割と主体となるキャラの不幸の原因をオカルトに全て持っていくタイプは何だかなぁと云う感想になってしまう。
全体としての大きな話があるタイプは今も読めるのだが、こう云う読切タイプでのオカルト系はシリアスにすればするほど、今となっては読むのがつらくなるのがよく判ると云う意味では、本作は良い例だろう。
つのだ作品の場合、自身がオカルトに傾倒していた事もあって、その辺のリアルさが諸刃の剣になってしまっている。
根源的な恐怖に通じる楳図作品や、もっとオチャラケを入れて人の業をオチに持って来るタイプに比べ、フェイクドキュメンタリー的な作品は陳腐化が早く進行しやすい。
本作がまたウケる時代が来るとも思えないしね。
真夜中のラヴ・レター 大合本 全5巻収録 Kindle版
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言語日本語
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出版社ゴマブックス株式会社
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発売日2018/6/26
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ファイルサイズ487284 KB
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登録情報
- ASIN : B07F1CW18Z
- 出版社 : ゴマブックス株式会社 (2018/6/26)
- 発売日 : 2018/6/26
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 487284 KB
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- 本の長さ : 1156ページ
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初代「うしろの百太郎」「恐怖新聞」より後に描かれたつのだじろうの恐怖マンガのいわゆる”期待の”新作/続編は殆どが絵柄もストーリーも題材もどこか散漫としていて物足りなさを感じたものです。
そんな中、レディースコミック雑誌に連載された本作「真夜中のラブレター」はブレの無いシリアスさで読者の心に迫ります。
リアルタイムで読んだ時は題材がレディース向け、つまり女性に纏わるもののみだと分かっていたので、男である自分にとってどうかと思いましたが、読後は ”これこそがつのだ心霊マンガの第三の刺客だ!” と得心したのを覚えています。
力の入れ具合は丁寧な絵にも表れており、中盤から終盤にかけては初代恐怖新聞やうしろの百太郎並みの(トラウマになりかねないほどの)インパクトのある描画が見られます。
今回改めて読み直しましたが、実に重厚かつ濃厚。全巻を一気に読み切りました。
「恐怖新聞」の”白の頁”のみを「うしろの百太郎」のレポート形式で展開する、といった内容で、後心霊科学研究所ではなくつのだ先生本人と彼が信頼を置く実在の霊能者達が実際に携わった事件を題材にしたものと考えれば間違いありません。
心霊現象に悩まされる人々が次々につのだ先生に相談を持ちかけ、事件に巻き込まれていく様はまさに恐怖新聞さながらです。
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心霊現象に悩まされる人々が次々につのだ先生に相談を持ちかけ、事件に巻き込まれていく様はまさに恐怖新聞さながらです。
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