カミュの「ペスト」、小松左京の「復活の日」、百田尚樹「カエルの楽園2020」などコロナウイルスに関連した「疫病」をテーマにした本が飛ぶように売れている。売れるもんだから出版社はどんどん出す。
この「白い病」もその1つだ。まあ、面白ければいいが、この作品ははっきり言って面白くもなんともない。ただ、1937年に疫病をテーマに書かれた「戯曲」だというだけ、「チャペックすげー」で終わりである。もう出版社のマーケティングに先導された、コロナバイアスのかかった読書はやめるべきではないだろうか。
人間は死を意識する疫病に対して、物凄いパニックになることは2020年の上半期に皆経験済みである。
そもそも人間同士の会話やコミュニケーションなど、まともにできないのである。そんな中、戯曲だかコントだか知らないが、わけの分からんやり取りをやっとる場合ではないだろ!と思ってしまう(カミュ「ペスト」、小松左京「復活の日」もパンデミック禍ではあり得ないやり取りが多い)。
ここまで色々批判したが、古典のわりに物凄く読み易い。ほんとに岩波か?訳者の阿部賢一氏が超訳したのではないか?と思ったくらい。ここはすばらしい。解説も秀逸。しかし「面白い」を読書の判断基準にしている方にはおススメ出来ない。古典を読むのが好きな方、「チャペックすげー」と言いたい方にはおススメである。
白い病 (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 2020/9/16
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本の長さ160ページ
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言語日本語
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出版社岩波書店
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発売日2020/9/16
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寸法10.5 x 0.8 x 14.8 cm
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ISBN-104003277430
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ISBN-13978-4003277430
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
戦争目前の世界で、突如「雪崩のように」流行り始めた未知の疫病。そこへ特効薬を発見したという貧しい町医者が現れるが、施療に際し、彼は一つだけ条件を提示した―。死に至る病を前に、人々は何を選ぶのか。一九三七年刊行の名作SF戯曲が鋭く問いかける。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2020/9/16)
- 発売日 : 2020/9/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 160ページ
- ISBN-10 : 4003277430
- ISBN-13 : 978-4003277430
- 寸法 : 10.5 x 0.8 x 14.8 cm
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 72,720位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
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- - 586位岩波文庫
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2020年10月14日に日本でレビュー済み
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18人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2020年10月5日に日本でレビュー済み
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コロナ禍により、パンデミックをえがいた作品の復刊や新訳が相次いでますが、
この本もそのうちの一冊です。
とても読みやすい訳で、テンポよくサクサク読めます。
白い病という不治の病が蔓延し、誰もが打つ手なしでいたところ、
唯一治療法を知っているという貧困地区の医者が大学病院の教授をたずねてやってくる、
といったところから物語は始まります。
戯曲ですが、小説のように読みやすく、風刺や、言葉の端々に含蓄もあり、
非常におもしろい作品でした。戯曲に対して抵抗感や苦手意識があるかたも、
パンデミックに直面したひとつの国の物語として、とても読みやすいと思います。
カバーイラストにあるおどろおどろしくも惹きつけられる絵も、
読み進めていくうちに、なんの姿を描いているのか、なぜこうなったのか、
はっきりと浮かび上がってきます。
ページ数も少なくさらっと読んでしまえますが、内包しているものは多く、
貧困層と権力者、パンデミックに右往左往する人間の姿など、胸に深く響いてきます。
私はおもしろかったと思うし、物語としても好みの作品でした。
この本もそのうちの一冊です。
とても読みやすい訳で、テンポよくサクサク読めます。
白い病という不治の病が蔓延し、誰もが打つ手なしでいたところ、
唯一治療法を知っているという貧困地区の医者が大学病院の教授をたずねてやってくる、
といったところから物語は始まります。
戯曲ですが、小説のように読みやすく、風刺や、言葉の端々に含蓄もあり、
非常におもしろい作品でした。戯曲に対して抵抗感や苦手意識があるかたも、
パンデミックに直面したひとつの国の物語として、とても読みやすいと思います。
カバーイラストにあるおどろおどろしくも惹きつけられる絵も、
読み進めていくうちに、なんの姿を描いているのか、なぜこうなったのか、
はっきりと浮かび上がってきます。
ページ数も少なくさらっと読んでしまえますが、内包しているものは多く、
貧困層と権力者、パンデミックに右往左往する人間の姿など、胸に深く響いてきます。
私はおもしろかったと思うし、物語としても好みの作品でした。
2020年12月8日に日本でレビュー済み
猖獗を極める疫病「白い病」の感染に怯える人々。その治療法の公表は、為政者たちが戦争を止めることが条件であると訴える医師ガレーン。「人が亡くなるのを放っておくのか」という記者の批判に対し、「では、人々が殺し合いをするのを、あなたは放っておくのか?なぜだ?……鉛の玉やガスで人を殺してもいいとしたら……私たち医師は何のために人の命を救うのか?」と反論するガレーン。その言葉には、軍医として戦場で多くの無残な死を目の当たりにしてきた者の重みと、危機の最中にありながら、「国家と民族の栄光」の名の下、なお互いに憎悪を募らせ、殺し合うことを止めようとしない人間たちへの怒りが感じられます。衝撃と皮肉の入り混じるラストには唸らされました。コロナ禍にありながら、ヘイトやポピュリズムが荒れ狂う現在(いま)の有様を、泉下のチャペックはどう見ているでしょうか。殺し合いなどしている場合ではないのです。
2020年11月2日に日本でレビュー済み
短い作品で物語として面白いとは思いませんが、、読めば、何かを考えさせられる作品ではないでしょうか。
戦争に向かう独裁国家の元首や市民と、不治の病の治療法を唯一知る医師が掲げる理想主義との対決が物語りの軸となります。
印象的であったのは、それぞれの人がそれぞれの欲を実現するために良かれと思ってしていることが結果的に戦争や破滅に自分たちを向かわせていくこと、狂騒した人々の前に理想も理性もねじ伏せられてしまう、恐ろしさでしょうか。
エンターテイメントさを重視するハリウッド映画では、独裁者を倒せば問題解決と単純化していますが、この戯曲では民衆の妄動こそ恐ろしいものと捉えているようです。
第一次世界大戦で多くの人が死ぬことを、第二次世界大戦前夜のナチズムの台頭を、目の当たりにしていたチャペックのメッセージはそれだけ重いものだと思います。
時間が経てば別の感想、別の見方を持つかもしれませんが、それだけ考えさせられる話だと思います。
戦争に向かう独裁国家の元首や市民と、不治の病の治療法を唯一知る医師が掲げる理想主義との対決が物語りの軸となります。
印象的であったのは、それぞれの人がそれぞれの欲を実現するために良かれと思ってしていることが結果的に戦争や破滅に自分たちを向かわせていくこと、狂騒した人々の前に理想も理性もねじ伏せられてしまう、恐ろしさでしょうか。
エンターテイメントさを重視するハリウッド映画では、独裁者を倒せば問題解決と単純化していますが、この戯曲では民衆の妄動こそ恐ろしいものと捉えているようです。
第一次世界大戦で多くの人が死ぬことを、第二次世界大戦前夜のナチズムの台頭を、目の当たりにしていたチャペックのメッセージはそれだけ重いものだと思います。
時間が経てば別の感想、別の見方を持つかもしれませんが、それだけ考えさせられる話だと思います。
2021年3月9日に日本でレビュー済み
1937年の作品。独裁者である元帥が戦争準備を進めつつある国において、治療法のみつからない未知の感染症が蔓延している。チェン氏病と呼ばれるこの病に罹った患者は、初期に皮膚に白い斑点が現れ、やがて臭気を放ち、肉を腐らせて死んでいく。そして感染者は45歳から50歳以上の年齢の人間に限られている。隔離する以外に打つ手のない大学病院長(枢密顧問官)のもとに、治療法を知るという町医者ガレーン博士が現れる。ガレーンは大学病院で貧しい患者のみに治療を施して全快させ、治療薬の有効性を証明する。貧しい人間のみにしか治療を施さないガレーンは、薬の配合を教える交換条件の要求内容で人々を驚かせる。
戦争の熱狂に批判的な眼差しを向ける、全三幕の戯曲。幕ごとのタイトルは「枢密顧問官(大学病院の院長)」「クリューク男爵(軍需企業の経営者)」「元帥(独裁者)」と、物語の舞台となる独裁国家の重要人物から取られている。カバーの紹介文にはSF戯曲とあるが、パンデミックの発生と病状が描かれる以外、いわゆるSFらしさはない現実的な展開。帯にある「閣下、握手はできません…私は…<白い病>なんです」というセリフの使われ方は想像とは違い、感動的なシーンではなかった。筋を追うだけなら、かなり短時間で読める。
戦争の熱狂に批判的な眼差しを向ける、全三幕の戯曲。幕ごとのタイトルは「枢密顧問官(大学病院の院長)」「クリューク男爵(軍需企業の経営者)」「元帥(独裁者)」と、物語の舞台となる独裁国家の重要人物から取られている。カバーの紹介文にはSF戯曲とあるが、パンデミックの発生と病状が描かれる以外、いわゆるSFらしさはない現実的な展開。帯にある「閣下、握手はできません…私は…<白い病>なんです」というセリフの使われ方は想像とは違い、感動的なシーンではなかった。筋を追うだけなら、かなり短時間で読める。