発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2017/4/28
小倉ヒラク
(著)
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本の長さ384ページ
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言語日本語
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出版社木楽舎
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発売日2017/4/28
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寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
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ISBN-104863241127
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ISBN-13978-4863241121
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商品の説明
出版社からのコメント
著者について
発酵デザイナー。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作、ワークショップを開催。東京農業大学で研究生として発酵学を学んだ後、山梨県甲州市の山の上に発酵ラボをつくり、日々菌を育てながら微生物の世界を探求している。絵本&アニメ『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。2015年より新作絵本『おうちでかんたん こうじづくり』とともに「こうじづくりワークショップ」をスタート。のべ1000人以上に麹菌の培養方法を伝授。自由大学や桜美林大学等の一般向け講座で発酵学の講師も務めているほか、海外でも発酵文化の伝道師として活動。雑誌ソトコト『発酵文化人類学』の連載、YBSラジオ『発酵兄妹のCOZYTALK』パーソナリティも務めている。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
発酵デザイナー。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作、ワークショップを開催。東京農業大学で研究生として発酵学を学んだ後、山梨県甲州市の山の上に発酵ラボをつくり、日々菌を育てながら微生物の世界を探求している。絵本&アニメ『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。2015年より新作絵本『おうちでかんたん こうじづくり』とともに「こうじづくりワークショップ」をスタート(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社より
【目次】

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はじめに〜発酵をめぐる冒険に、いざ出発! 〜COLUMN1 発酵ってそもそも何ぞや? |
PART1:ホモ・ファーメンタム 〜発酵する、ゆえに我あり〜第一章のテーマは「ヒトと発酵の出会い」。微生物のはたらきが自分たちの世界を豊かにすることに気づいた時、ホモ・ファーメンタム(発酵するヒト) が生まれました。日本の創世記にも「神のカビ」が大事な役割を果たしています。 【メイントピックス】ヒトと発酵の出会い / 麹(こうじ)の起源 / 発酵と神さまの関係性 COLUMN2 発酵と腐敗を分かつもの |
PART2:風土と菌のブリコラージュ 〜手前みそとDIYムーブメント〜第二章のテーマは「手前みそとDIY ムーブメント」。レヴィ= ストロースによるブリコラージュの概念を下敷きに、発酵食品を手づくりする楽しさと味噌の奥深さに迫ります。なぜ今、こんなにも手前みそムーブメントが盛り上がっているのでしょうか? 【メイントピックス】ブリコラージュとは何か? / 手前みそは楽しい! / オープンな文化の醸しかた COLUMN3 発酵文化の見取り図 |
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PART3:制限から生まれる多様性 〜マイナスをプラスに醸すデザイン術〜第三章のテーマは「発酵文化の多様性」。僕が日本各地で出会った個性的な発酵食品を解説しながら、土地に伝承されてきた郷土食文化の奥深さを紐解きます。現代の科学の目で見てみると、奇想天外に見える発酵食品も合理的にデザインされていることがわかります。 【メイントピックス】すんきの無塩乳酸発酵 / 碁石茶の二段発酵 / くさやの複雑系発酵 COLUMN4 発酵菌と酵素の違いとは? |
PART4:ヒトと菌の贈与経済 〜巡り続けるコミュニケーションの環〜第四章のテーマは「生態系を巡る贈与の環」。文化人類学の主要テーマである「交換儀礼」と、微生物学の主要テーマである「エネルギーの代謝」を重ね合わせながら、生態系のなかでどのように物質やエネルギーが循環しているのかを見ていきましょう。 【メイントピックス】クラ交換とは何か? / 生物のエネルギー代謝 / 生態系における贈与経済 COLUMN5 恥ずかしくて人に聞けないお酒の基本 |
PART5:醸造芸術論 〜美と感性のコスモロジー〜第五章のテーマは「酒とヒトの感性」。甲州ワインと日本酒の製法と歴史を系譜的に見つつ、人間にとって美とは何かをしつこく掘り下げていきます。醸造技術の詳細解説と文化論が入り交じる、本書でいちばんの読みどころです。 【メイントピックス】甲州ワインの歴史と製法 / 現代における日本酒の系譜 / アートを感じる人間の感性とは? COLUMN6 醸造とは何か? |
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PART6:発酵的ワークスタイル 〜醸造家の喜怒哀楽〜第六章のテーマは「醸造家の働きかた」。日本酒・味噌・醤油・ワインのものづくりに関わる四人の醸造家を紹介しながら、仕事の哲学や、組織やビジネスのモデルづくりの方法論を取り出していきます。発酵の仕事って、奥が深い……! 【メイントピックス】醸造家の仕事の現場 / 発酵とビジネスの関係性 / 手づくりであることの意味 COLUMN7 発酵ムーブメントの見取り図 |
PART7:よみがえるヤマタノオロチ 〜発酵の未来は、ヒトの未来〜第七章のテーマは「バイオテクノロジーとヒトの未来」。最先端のバイオテクノロジーと伝統的な発酵技術を比較しながら、これから僕たちがどのように生命と向き合っていくべきなのかを考えていきます。ヒトはヤマタノオロチの剣を使いこなせるのでしょうか? 【メイントピックス】冷たい社会と熱い社会 / クリスパーとゲノム編集 / ヒトはどこまで生命を触れるのか? |
あとがき〜いざ、次なる冒険へ! 〜 |
本文「はじめに〜発酵をめぐる冒険に、いざ出発! 〜」より
皆さまはじめまして。発酵デザイナーの小倉ヒラクです。
「発酵デザイナー?いったいナニモノ?」
まあそうなりますよね。
僕は、目に見えない微生物の世界のナビゲーター。普段意識しないけれど、実は僕たちの暮らしを支えている発酵菌たちのエヴァンジェリスト(伝道師)として、日本はもちろん世界の東西南北あちこちを巡りながら、世界中で育まれた不思議な発酵文化を皆さまに伝える仕事をしているのです。
「伝えるだって?どんな風に?」
そのためにこの本があるのだ!
昨今、CMや雑誌の特集でよく見かける「発酵」というキーワード。一般的には「美味しい」「健康にいい」と実利的な側面で語られることが多いけれど、実は文化的に紐解いてみるともっと奥深い魅力を発見することができます。
例えば。身近な発酵食品である味噌を紐解けば、アナタが住む土地の歴史が明らかになる。あるいは、ヨーグルトがなぜ健康に良いのかを調べると、ミクロの生命の秘密が見えてくる。
「発酵のひみつ」をひとたび知れば、見えないはずの微生物たちと友だちになれる。
「微生物の視点」を借りれば、この社会のカタチが今までと違って見える。
この本を読めば、発酵の仕組みがなんとなくわかるのはもちろん、微生物と人間の関わり、僕たちが長年培ってきた暮らしの文化の奥深さ、日本人がどのように「見えない自然と向かい合ってきたのか」というスタンス、そして美味しさや美しさを感じる人間の認知システムのカラクリなど、色んな「ひみつ」が見えてくる。
文化の本質は隠されている。目に見えない自然のシンボルである微生物たちは、隠された「ひみつ」をこっそり教えてくれるメッセンジャー。
微生物の目線で社会を見てみよう。そこには「ホモ・ファーメンタム(発酵するヒト)」が愉快に食卓を囲んでいる姿が見えるはずだ。
発酵文化人類学とは何か?
それでは本編を始める前に、本書のタイトルにもなっている「発酵文化人類学」の定義をしたいと思います(なぜなら僕が勝手につくった造語だからね!)。
大学時代に僕が学んでいたのは、文化人類学。十代の終わり頃からバックパックをかついで世界中あちこち旅して、色んな文化を見て回るのにハマっていました。そんなバックパッカー少年にとって、文化人類学は「なぜ世界にはこんなにもたくさんの文化があるのか」という疑問に答えてくれる学問だったのですね。
僻地にせっせと足を運んで宝飾品や器を集めたり、祭りや入れ墨や建築の細かい特徴を写し取ってコレクションにしたり。旅が終わったら書斎に戻ってきて、素材を分類して分析し、具体的なオブジェやモチーフの裏に潜む「文化のひみつ」をあぶり出す……という文化人類学者の姿は、バックパッカーやってモラトリアムを満喫していた自分を勇気づけてくれる憧れの存在でした。
そして時は流れ、僕はデザイナー兼発酵研究家という不思議な仕事をするようになり、僻地にせっせと足を運び、お味噌だのお酒だの、醸造用の道具だの、蔵の土壁のカケラだのをせっせと収集し、自宅に持ち帰った素材を顕微鏡で覗き込みながら日夜微生物の世界の研究に没頭するようになっていました。
「あれっ……なんかこれって大学時代に夢中だった文化人類学の研究に似ているぞ?」
と気づいた瞬間に「発酵+文化人類学」という発想が浮かんだんですね。普通だったら絶対に交わらないはずの線がつながってしまった。しかしだ。考えてみれば発酵の道も文化人類学の道もそれぞれ「交わらないはずの線がつながった学問」だと言えるのですね。
発酵の道は「生命工学と社会学の交差点」。お酒が発酵する現象は、化学式に変換できる=生命工学。けれども、どうして人それぞれ好きなお酒が違うのかは、化学式にはできない=社会学。
文化人類学も同じような構造になっています。様々なオブジェや民話をデータとして分解して共通項を再構築して体系化する=情報工学。けれども、どうして人類がこんなにも多様な文化を生み出したのかを考えるには、データを超えた仮説を生み出す想像力がいる=社会学。
具体的なモノからスタートし、抽象的なメソッドとして体系化する。その時、歴史の奥に隠された「世界のひみつ」の扉が開く。その扉を開けるにはクリエイティブな感性と広い視野でものを見る思考力が試される。
これはまさに、文化人類学からスタートし、デザイナーを通過し、発酵に行き着いた僕にしかできない試みではないか……? と勝手に思い込んでしまったが最後、各地で面白い発酵食品や微生物を見るたびに「僕は今、発酵文化人類学者なのだ!」とがぜん研究モードになっているわけなのでした。
さて、では「発酵文化人類学」を暫定ですが定義してみましょう。発酵文化人類学とは、
発酵を通して、人類の暮らしにまつわる文化や技術の謎を紐解く学問
のこと。生命工学=バイオテクノロジーの応用研究のように、新しい技術や商品を開発するのではなく、すでにあるものを集めて編集しなおし、文化や技術の歴史に新しい視点を持ち込む。つまり、発明するものは「技術」ではなく「視点」。
「発酵」や「微生物」というキーワードによって、今まで関係ないと思われたものの関連性が明らかになったり、当たり前すぎて見落としていた文化の重要性が思いもかけないスケールで浮上してくる……そんなことを目指していきたいと思っています。押忍!
登録情報
- 出版社 : 木楽舎 (2017/4/28)
- 発売日 : 2017/4/28
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 384ページ
- ISBN-10 : 4863241127
- ISBN-13 : 978-4863241121
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 21,191位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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それ以外の発酵関連や新政酒造の話が気になって購入しました。
他の方も書かれていますが文章にクセがあり、ボケやツッコミが展開されたり小中学校の先生が生徒に語りかけるような口調が所々に有ります。
個人的には苦手で、必要性を感じませんでした。
むしろ削って、コンパクトにまとめてもらった方が読み進めやすかったです。
敬語で書かれているすぐそばから口調が変わったりで受け止めるのに忙しさを感じました。
後半に差し掛かり、日本酒パートになると自分が学んできた事と異なる事例(歴史や造りに関して)を見受け、そこから内容に対する不安感が押し寄せました。
更にガッカリしたのは新政酒造に関する文章の何割かが普通にブログに載せてある内容そのものであった事です。
本の方が文章量は多いのですが、それでもこれはどうなのかと…
ブログみたいな文章である事が腑に落ちたというか、それ以降は読むのを中断してしまいました。
共感できる考え方なども有り、面白い部分も有りましたがマイナスに感じた要素が勝ってしまいました。
私が知りたかったことが全て書いてあり、まだ半分までしか読んでませんが、すごく内容が充実しており、価格以上の価値があります。あと半分読むのが楽しみです。
参考文献が章の終わりに書かれているが、実はかなり「硬派」な内容ばかりだ。恐らく評価の低い人はこの本を読んでもいないのだろう。批判するならせめて「参考文献の半分位は読んでから言え」といいたい。ちなみに私は7割は読んでいた。だからこの本は割としっかりしていると太鼓判を押しておく。文化人類学的なフィールド・ワークの視点もいい。内容の解説が「大雑把」な印象を感じるなら、ちゃんとこれらの本を読んでみることだろう。「視野が広がる」良著であることがわかるはずだ。「話の裾野、視点が広がる」本は間違いなく良い本である。私なりの本のセレクト方法の根拠だ。この本はそれにフィットした。それとこの本はクリエイターの人達がまず読むといい。
大学時代にマルセル・モース「 贈与論 」、レヴィ=ストロース、グレゴリー・ベイトソン、マリノフスキー、カール・ポランニー辺りは読んでいたので、私的にはなじみ深かった。けれど著者は、松岡正剛の「千夜千冊」のサイトで紹介されていた著書を読みまくっていたと思われる節がある(恐らく間違いない!)。なぜそう思うかは、千夜千冊で紹介されていた本が結構あったからだ(笑)。ブルーノ・ムナーリ(第1286夜)、カール・ポランニー(第151夜)、ベイトソン(第446夜)、ドミニク・チェン(第1577夜)などだ。著者が、別府輝彦「 見えない巨人―微生物 」(第1623夜)に即座に反応して読んでいたことからも明白だ。著者の直感としてこのリンクを辿ってドミニク・チェンやブルーノ・ムナーリなどに到達したかもしれないと思える。私的には、さらにエムラン・メイヤーの「 腸と脳 」、モントゴメリー&ビクレーの「 土と内臓 (微生物がつくる世界) 」、デイヴィッド・モントゴメリー「 土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話 」、「 土の文明史 」、ポール・G・フォーコウスキー「 微生物が地球をつくった 」もお勧めしておきたい。微生物と酵素の関係が今後に地球を左右すると言っても過言ではない。ヴィーガンのユヴァル・ノア・ハラリの著書で「 ホモ・デウス 」があるが、私がこの本の主張に反対する根拠はこの本の内容の中にある。
小泉武夫氏に免疫不全を指摘されて、発酵物によって改善してからこの発酵文化に携わることで、「発酵デザイナー」なる肩書きを持つ様になった経緯が書かれている。随分と「今どき」の「繋がりの経済」を意識した行動を彷彿している。昨今の仕事を獲得したデザイナーの多くの方々に不足しているのは、こういう視点だと言いたい。仏教でこれを「縁起」という。カオスを恐れず、掛け値なしの本気の好奇心を持って、リスクを背負い繋がりだけで「経済」を突破しようとする。まず著者には応援をしておきたい。
私的にはこの本は「発酵「経済」人類学」と銘打つべきだったと個人的には思っている。かつて栗本慎一郎氏は著書「 経済人類学 」で「交換」がソーシャル・コミュニケーションであると喝破した。カール・ポランニーを足掛かりにして一時期には生命論まで範囲を広げニューアカのブームで有名になった。「朝まで生テレビ」に出演し、明大を辞職。衆議院議員になり、「料理の鉄人」出演したり、脳梗塞にかかるも自力で復活。最後は人類の起源と歴史を探求し引退してしまった。そんな彼を、私は私淑していたのだが、この裾野に広げ方が栗本慎一郎氏の思考法によく似ている。悪文だったため、あらぬ誤解受けた人であったが、実は小倉氏と考え方が近いのではないかと私は思う。経済活動は社会に埋め込まれた存在だった古代では、それが「経済」という概念を持っていなかったし、「生命の営み」という広域な定義で捉えなおさないといけない、と栗本氏はずっと言い続けていた。そのせいで私はこの悪文も引き継いでしまった(笑)。
この本はまだ小倉氏の初著書なのでまだこれからどう動いてくれるかを楽しみにしたい。
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